2023年09月06日
昨日はしゃがんだ姿勢からの屈伸するような作業が続いたので、今朝は階段を上るのにも両脚が痛む。普段使っていない筋肉を使いすぎたのだろう、体が本当に大事な仕事だなあと思う。
普通の会社だと、慣れた仕事をやってもらうのが仕事みたいなところがあるのだろうけども、私自身は私自身が作業のコツの積み重ね的なところで成り立っているというあたりがある。今日は、本縫いミシンを初めて使う女の子に縫ってもらったのだけども、自分でも思うが、うるさいほどにここはこうしないと駄目、ここも駄目、ここも注意みたいな話になる。基本、一回勝負で答えを出さないといけない仕事なので、そういう緊張感での経験を積み重ねて、考えなくても、問題のないものを安定して同じように速く縫えるようになることが大事だと思う。
長くやっていれば速くうまく縫えるようになるのかというと、毎回毎回1枚を失敗しないできれいに速く縫えるようになるように心がけることが大事で、それは自分との戦い。市販のものというのはそれなりに隙のないものが多いのは、縫っている人たちというのはやはり当たり前にプロだなあと思う。織物の会社なのに、縫製とかに関しても量産のものというのは普通にパートの人が縫ったりしているのだから同じ設備があるなら、普通に働いている人のレベルは超えたいなあと思う。
自分が縫製のことも知っていると、織物を製品にするときに何が可能なのかがよく分かったりして、縫製工場の人とも始末の仕方とか話がしやすく、生地を作るときに、縫製工場で失敗が起こらないようにどこまで生地の縫製時の注意書きなどが必要なのかが分かったりする。よくありがちなのは裏表というだけでなく、柄がある場合には天地と上下左右の問題。
縫製工場でも、裏表くらいしか気にされない縫製工場もあって、ブランドによっては、チェック柄などでも柄合わせもしないモノづくりブランドもあれば、柄合わせして完成度を高めるのが当り前のブランドもある。基本、綾などは右上がりが一般的な綾目方向で、左上がりに出来上がっている服などをみると違和感を感じたりもす綾目
林与のほとんどの無地ライク生地は、両面同じ加工を施してあり、裏表の区別なく綺麗な方向を表として使える。でも、本来は織機の織前での表が表で、それが加工も通じて表として加工されて、林与の場合は紙管に内巻きが表の状態でということになる。基本、検反面が表で内巻きに巻かれる。織機で織っているときの表が表でないといけない理由には、布を巻き取るシリンダーには布が滑らないように鮫肌やペーパーが巻いてあるので、裏面というのはダメージを受けることになる。だから、織前での表を表とするのが正しい。
でも、麻織物の場合には、それほど糸のダメージは気にする必要がないので、ドビーの動きなども加味して、ドビーに負担が掛からないように、3/1の綾などは、1枚しか上がらないように裏側を織機上での表として織ることが多かったりすることも多かったりする。こういうのは、誰も教えてくれることのないことで、自分が経験をしながら問題にぶつかりながら問題を回避するために、方法を見出して行くもので、ストールを織るときにも、スチール製の鮫肌は糸にダメージが残りやすいので、サンドペーパーに変えたり、鮫肌の上にテープを巻いたりしてダメージをやわらげたりすることで、問題なく織れるようにしたりとか。いろいろやってみて正しい答えができる方法が正解ということも多い、でも、織機に掛かる負荷や織機の正しい使い方の意味なども検討しながら、例外的な織機の使い方は検討してゆくべきだと思う。織る織物によって、織り方の正解は変わって来る。
シルクの織物工場で、シルクを織るときに、テンプルを使っておられないのをみて、シルクの表面がダメージを受けるからテンプルなしで織っておられるんだなあと感じたり、それもシルク工場の工夫の一つである。地元の工場に置いてあった昔のシャトル織機にもテンプルがついていなかったのはやや謎で、その代わりに太い紐を織の最前線あたりに左右に渡して織前を下げているような工夫であるとか、ベルト式シャトル織機の時代には、真鍮製のテンプルは、まだ、なかったんだろうか。