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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
仕事
2024年04月18日
昔、夏場になって仕事が少なくなってくると林与に電話を掛けてこられて、何か仕事をもらえないかという電話をいただくことが度々あった。会社を経営されていて仕事がないというのは会社を回していくことが難しく従業員たちを養っていくことが難しいというところで、仕事というのは結局のところ自分たちが食べていくための手段なのである。

間口の狭い仕事観だと自分の仕事はこれだとなってしまうけども、他の人のやっていることなら自分もできるんじゃないかと思って、自分ができる仕事の範囲を広げておけば仕事というのは他の人のやっていることも仕事になる。極端に言えば、自分の会社の中の仕事だけでなく、他の会社の中の仕事も自分の仕事となる。たとえば、自分でパンフレットをつくるのも仕事だったりするし、生地を販売するのも仕事だったりする。

織物の世界というのも一応、ファッションとかデザインの世界なので、単に技術畑ではないというあたりが、林与には案外あっているのかもしれない。先染めの柄なんかも、柄をどこから始めるかだけで、布としてのイメージが変わって来るので、林与はそういうのも考えて布を整経したりするのを最初の時からやっていて、左右対称にみえるように違和感ないように配置する。そういうのできる人って少ないと思う。それやるだけで計算がすごく面倒で、実際に作業するとなると作業もすごく面倒になる。でも、毎回、そういうのをちゃんとやるといい布が作れ、布として残っても価値がある。

布を作るときに、そういうのできる人って業界でも少ないと思う。林与が計算してやってもらおうとしてもその説明を理解してもらうだけでも理解してもらえないことが多い。なんで、もっと簡単に、柄の始まりから整経しないんだみたいなことを思う人も多いが、縦の本数というのは決まっているので、それに当てはめる必要があって、柄をリピートしたときに最後どこで終るかが綺麗かどうかの問題。またそれが、裁断する時に柄を使いやすいように配置することにもつながることが多い。生地の裁断というのは左右対称に取ることが多いから。

一つの仕事をするときにも、無駄に思えるかもしれないけども、それなりにベストなものを作るということに徹していると、高度なモノづくりにつなげることができて、そういうのを理解できるチームで動いていると良いものが作れる。そういうのを頭の中で当たり前に組み立てることができるタイプなのでこの仕事には向いているだろう。