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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
思い通りにいかないこと
2024年05月24日
仕事をしていると思い通りにいかないことが多い、特に、シャトル織機は正直だから織機に問題があると問題のある織物が出来上がってしまう。織機は問題の箇所を直してあげると何事もなかったかのようにちゃんと織物が織りあがる。

織っている織物が問題なのかどうなのかという判断は、麻糸の場合には許容範囲みたいなものが異なると、問題のない織物でも、許容範囲の違いで大騒ぎになることもある。麻織物でも後染めのものを主体に扱っておられるブランドさんだと先染めの織物というのは糸1本のムラが見えるので大騒ぎされることがある。

糸の細い部分重なるとそこが薄く見えることがあったりする。太い部分が重なると濃く見えることがある。今手に入る一番高い糸を使うほどにそんなものである。安い綿麻の混紡糸を使えばそういう問題はなくなるが、生地から漂う高級感みたいなものが消えてしまう。

林与からすると、高級感を保ちながらキズの無いものをつくるためには、織物工場だけでなく、裁断や縫製がどこまでこだわれるかで1着の服としてスキのないものになるかどうかというあたりもあって、インドの縫製工場の裁断工程を見学したり、中国や韓国のアパレルメーカーに生地を納品したときとか、布を使うことに対して最大限の努力みたいんものを感じた。

インドの縫製工場では30枚ほど重ねて裁断された一つ一つのパーツに、レイヤーごとに1から30までの小さなシールを貼って、3mの生地の中で一つの洋服が出来上がるようにしていたり、韓国のブランドの縫製工場では、送った反物を裁断前に、徹底的に検反でマーキングしてどのように糸のフシなどを避けながら裁断をするかを検討してから裁断したり、中国のアパレルは航空便で麻荷物が到着すると午後には生地の物性検査などを終えられてとか、林与が気にしているような生地のことをご自身の中に持ってやられているようなところがある。問題をなるべく解決できるような手段を手間を惜しまずに自分たちが解決しようとする姿勢があって、日本の場合には完璧なものを求めるばかりで、解決能力もなくなり難しくなりすぎているような気がする。

林与自身も麻布を作る側だけども、分業とかじゃなくトータルなソリューションとも呼べるようなモノづくりが自分の中に必要に思う。製造工程でできるロス生地などにしても自分で裁断を工夫したりすれば小物づくりに活用は可能だし、一般的な時間でしばられた商業生産では解決が難しい問題を、解決してゆくという部分が布を作るのと同じくらい、織った布を無駄にしないためには大事で、そういうのできることが本質的に良い材料をつかったものを扱えることにつながるのではないかと思っている。

量産できないような特別な麻生地を提案するのは生地のままでは難しく、自分自身で最終製品にまで仕上げることも特別な布のものづくりを提案できることにつながるだろうと思う。生地の裁断も自分の目で見極めて一番良いところをうまくつかうみたいなモノづくり。また、海外の展示会に戻ることができるようになれば、そういうものを日本のものづくりとして多くのデザイナーさんたちにもみてもらいたい。シンプルながらも高級感や力や、揺らぎの調和でぬくもりなどいい感じに思えるような麻の商品開発。