2024年11月27日
林与の仕事も機械関係のものづくりの会社の方がみられたら単純な仕事に思えるだろうけども、扱う人という要素が重要なので、器用さみたいなものが必要であったりする。麻糸というのは切れやすかったりするので、そのあたりが非常にやっかいだし、シャトル織機も壊れるほどに調整の幅が大きいので、機械の調整や修理にも器用さが必要だったりする。その分、似たようなもので代用もできたりするのだけど。
今の時代は、電化製品が壊れても、基盤ごと取り替えたりすると思う。一つのコンデンサーとかを交換して修理のほうが珍しいことであったりする。まだ、そういう交換ができるのが組み立て的な機械の世界で、織物は出来上がった布という製品でも、一本の糸を入れ替えるということは非常に困難だったりする。
こういう仕事というのはスピード感、手先の器用さや根気みたいなものが重要で、スピード感、器用さ、根気をもってやってても、難度の高いものだと1時間1mとか2m織れるかどうかみたいな仕事だったりして、成り立たせてゆくのは難しいなあと思える作業。目の良さも非常に大事なので高齢になると仕事も難しくなるので、経験者でも50歳くらいまでが生産性ももって普通に作業ができる。50歳を超えると何十年の経験者でも仕事としては難しくなってくるのが普通。20代から30代前半が作業のできるピークだろう。
林与にしても最初から難しいとは思わなかったからやれているんだろうと思う。ただ最初に思ったのは時間を捨てるような仕事だなあという印象。ただ単に一つの仕事をしていたらそんな感じでたいした仕事もできなかっただろうけども、できることをいろいろやろうと時間のなかフルに動いて仕事をしたので、やらされている感もなく、ものごとも分かって仕事を最初のころからやってきた。
今は、1か月追っても200mほどしか織れない織物も多くなってきている。ときには、1か月で50mしか作れない織物もあったりで、140番手のアイリッシュリネンハンカチ生地は織るだけでも1か月に一人の人間が付きっ切りで50mくらいしか織れていない、それでも綺麗にキズなく段なく織れれば成果。難度の高い織物というのは成り立たせることは難しいなあと思えたりする。将来、時間ができたらまたチャレンジしようとは思うが、その前に、綛をチーズアップする作業もあるし、整経作業も糸の節をとりのぞきながらで半年ほど一台の整経機が専用になった。糸が特殊なだけでなく、それを生かすためには織の現場でも特別な作業が必要だったりする。