2025年01月20日
これからの分か世代の人には週に40時間働いて成り立つような仕事のほうが良いだろうと、織物の仕事というのはその程度の仕事時間では食べていくのも難しい話が普通。まあ、無理をして織物の仕事もしないほうが、やったとしても問題ばっかりになるだろうし、一つの生地を織り上げるのにも1時間に1mほどしか織れないものも多いし、キズが近い感覚で2か所はいるだけでそれまで何時間かけて織ったものも駄目になってしまう。
織るだけでもそのような手間だけども、織る前の準備工程といわれる整経作業も一回勝負の仕事で、ちょっと失敗しましたが許されない。あと加工出し前の検反さぎょうも、糸を縫ったりも必要で細かい作業。でもそういうハードルの高さがあるから、織っている林与でも自分のつくった1枚のキッチンクロスにでも価値を感じる。
今の時代のアパレルでの展示会ベースでの生地開発というのは時間的にも受けることは難しいような状況で、織れるか織れないかが本当に微妙だったりすることも多い。オーガニック系の糸などは特に回を重ねるごとに糸質が弱くなりがちで、正直なオーガニックなんだろうとは思う。でも、そういう糸って、織ることも本当に難しい糸で横糸に使うくらいしか使えないとかで、高い糸なのに非常に残念。
白無地で織るというような想定の糸が多くて、先染めで経糸に織るという織物となると難度が極端に上がってしまう。10年ほど前には、中国でも大手が70番手くらいまで先染めで織れるようになって、林与は150番手の先染めを特別なモノづくりとして織ることができていた。今は、糸自体も150番手は入手も難しくなっているけども、入手できたとしても織るのは相当難しくなっているだろう。100番手も先染めでは今は無理になってしまっている。
経験が出来るときにそういう経験もしておけて良かったなあと思うし、そういう経験は自分との戦いのような世界。どこまで追い求めるかをとことん追い求めて、まったく織れなかったものが、突然何事もなかったかのように普通に織れ出す。春の雪解けのように思える瞬間。今の時代には、そういう経験を積むなんてことも織物業界にいても難しい。糸を機結びで結んだり縦繋ぎで繋ぐことも難しいくらいの糸や糸を触るだけで壊れてしまうような糸も案外多いから織れる方が不思議だけども。そういう経験というのは今経験しようとしてもチャンスもあまりないだろう。
切れにくい糸ならシャトル織機もそれほど難しくはないかもしれないが切れる糸で柄が入ると、横糸切れすらも、柄ズレの起こりやすくなり、シャトル織機のドビーの構造というか、横糸切れの時のドビーカードを戻すことやギアをもどすこと、慣れでできるようになるとかでもなく、最初から正しくできることが当たり前とおもって、最初から毎回正しくやる人だけが織れる織物だったりもする。柄モノを織ることは麻糸は切れやすいゆえに非常に難しい。
林与は、考え方も特殊なタイプだからなんとか答えが見つけ出せたようなことも多い、無制限に答えを求めづ付けなければいけない状況というのも一般的な生き方では無理だろうと思う。織機の部品の摩耗による問題などは見つけにくいことが多く、代替部品があればよいだろうけども、代替部品が見つからないときには織機をずーっととめておくことも致し方ないし、代替部品を取り寄せても同じ問題がでるようならそれはまた別の原因だから、せっかく取り寄せたのにそれが原因でなければ、必要ない部品を購入したことになる。
また、部品が壊れて、新しい部品を取り寄せても取り付けて、また一瞬で壊れてしまうことがある。そういう時にはすごい脱力感に襲われて、合成樹脂のレピアオープナーなんかが昔そうだったので、レピアオープナーをやめて、ベイクライトのタイプに交換した。あと、ややこしかったのが耳の絡み綜絖、いろんな織機のを交換するが消耗品のようにすり減ってしまったので、マグネットタイプの絡み綜絖に交換した。純正の織り方を諦めて、邪道な織り方で正しく織れるようにする。林与のシャトル織機は、初期のころのレピア織機なので設計が甘かったのだろう。使いにくい織機を買ってしまうと一生の後悔となる。シャトルが壊れるような調子の悪い織機を修理というのは、次にまた動かすと新しいシャトルが壊れたりする。直し始めて最初のころや、初めての修理の時にはよくそういうことが起る。
今、ステッキの根元のコイルも予備をつくっておかないといけないなあと思っている。シャトル織機というのは織機だけではやっていけないというのがシャトル織機で、保守部品を後ろにいくつも自分で用意しておかないと、本生産を受けているときに問題が起こって部品がないと仕事に大きく影響する。同じ織機を何台もうごかしていれば、外してとりあえずは取り換えることはできる。。