2010年11月15日
今日は、午前中に加工出しを行いまして、午後からはお客様、4時前に組合事務局でラベルつくり、夕方は彦根の小学校にゲストティチャーの打ち合わせで、その後、シンポジウムの打ち合わせ、夜の8時くらいにシンポジウムのチラシとポスターを長浜にある滋賀県東北部工業技術センターにお届けしました。
帰ってから事務的な仕事を済ませて、工場の中を確認しますとジャガードの反物が解かれていて確認作業中です。先日、チェーンベルトなども交換して非常に調子よく動いていたジャガード織機なのですが、ジャガードの縦針の動作に問題があって、微妙な目飛びが連続して起こっています。これはジャガード織機にはよく起こりがちな問題で明日の朝一番にジャガードの入念なチェックを行わないといけません。
ジャガードの縦針の加減というのは非常に微妙で、その全てがうまく動くということのほうが奇跡に思えるのですが、それが動いて柄が正しく織れるのですから、奇跡に思えることが当たり前なのはすごいことです。このジャガードというシステムをみていると昔のコンピュータシステムに近いものを感じます。パンチカードにプログラミングすると、機械がガチャガチャと動いて結果がはじき出されるのです。
ジャガード織機を動かすということは、織るという作業よりも、機械を修理する部分に力が注がれると思います。私自身思うのですが、普通の織機でもトラブルにおいては、仕組みを理解するだけでなく、部品を自分の手で取ったり外したり、また微調整のため加工するなど機械工のような作業が含まれます。
織機を持つということは、会社の中に、それを動かすだけでなく、動かすときに発生する小さな問題を常にメンテナンスする人間を持たねばならないということになってきます。昔の北アイルランドの織物がジャガード織機であったというのは非常に職人的だといえますし、平織りの織機というのは手織りの時代も含めて何千年も昔からあったことでしょうが、ジャガード織機というのは多種多様な織物が多いので、全ての機械がジャガード織機に置き換えられても不思議ではないと思ったりはしませんか?でも、それが起きないのは、導入コストが高いだけでなく、複雑な機械というのは維持コストが非常に掛かります。
逆にジャガード織機は万能ではありません。平の織物が織れるかというと、回転数が遅いので生産性が低いからというだけでなく、発生しがちな目とびの問題があるので、ジャガード織機で平の織物を織ることはなるべく避けています。林与では織ってませんが、日本で、ジャガード織機が活躍しているのは仏壇の装飾品に使われる金襴織物などの分野です。金襴織物の世界で手の込んだ世界が続いている背景には、宗派ごとにオリジナルの様式や文様があって、その文様を守り続けているからだといえます。