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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
シャトル織機の美学
2010年12月08日
シャトル織機というのは、それぞれの台が微妙に違う音を奏でます。奏でます、と言っても、シャトルが叩かれる大きな音に混じっての微妙な各部位の動きによって作り出される音なので気にしていないとどの織機も煩いだけの同じ音に聞こえるかもしれません。

今日も、シャトル織機の音がおかしいので、シャトル織機が故障しているのが見つかりました。そのまま使い続けていれば、消耗品の部分だけでなく、本体を消耗してしまうので、気がついてよかったです。今日の故障は、鋳物と鋳物がこすれて、金属が粉になって消耗してしまっていたのです。

シャトル織機には油を差す小さな穴が、金属と金属がこすれあうような部分には付いていて、30箇所くらい油を差すべき場所があると思います。油差しで、順番に差していってあげるのです。時間の掛かる作業ですが、花に水をあげるような気分です。油がしみこんでいくのを見るのも楽しかったりします。たくさん油を差せばよく織れるような錯覚に陥り、たくさん油を差したい気分を抑え適量を心がけます。

今の時代、油を手で差さないといけないような機械があるのかというと、あんまりないですよね。これもシャトル織機の持つ美学だと思うのです。織機が人の手を必要としているのです。