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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
アイリッシュリネン100番生成
2009年06月16日
今、アイリッシュリネンの細番手100番手の生成というのを織っています。弊社に30年以上眠るビンテージなアイリッシュリネンに2度糊という糊を付けて織っています。毎日それなりに織ってはいるのですが、織り始めて3週間以上掛かって40Mほどです。動力織機を使って段ができないように織るのは手織りと同じくらいだけの手間だけでなく、高度な技術が要求され大変です。

あまり織れない理由は、原糸そのものが柔らかいことと、規格をスペシャルな高密度バージョンにしたこととがあるかと思っています。デッドストックアイリッシュリネンは織り上がりが非常に柔らかいです。普通は、加工で柔らかくする柔軟剤やタンブラー加工、バイオ加工などを施して柔らかくします。そうでないと、リネンの芯が残るような硬さになるのです。このアイリッシュリネンは糸の良さに何も加えず、水洗いだけで柔らかく仕上げようと考えています。

普通は、高密度にすると硬くなるのですが、このアイリッシュリネンならきっと柔らかく上がると信じています。このリネンを使って何がつくりたいかと言いますとブルージーンズと白いTシャツの上から羽織ってかっこいいなあと思えるような生成のサマーコートです。コートが完成しましたらお披露目します。

このアイリッシュリネン生成は、30年以上昔に、ハードマン社のSION MILLで製造されたものです。15年ほど前までは、まだ、いくつかの紡績会社のアイリッシュリネンを仕入れて織っていたのですが、私が見た糸の中では、キリリ社というブランドのL60番手の生成が最高でした。本当に黄金色で糸が光っていて、もうあんな生成は目にすることができないとおもいます。ハードマン社も、現在では北アイルランドでは製造をしておられないので、北アイルランドでのリネン紡績がなくなり、もう事実上アイリッシュリネンの糸自体を手に入れることができなくなったのです。実際、残念ながら、アイリッシュリネンとして販売されている布や製品のほとんどが、よほど、由来のはっきりしたものを除いては、実際はアイリッシュリネンではない、というのがリネン業界の認識です。

画像は、アイリッシュリネン100番手生成の糸とその糸を織っている織機です。