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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
リネン紡績の変遷
2011年01月07日
昨日、夜に倉庫を整理していたら30kgほど、Zignago Tessile社のNM46.5番手の糸が出てきました。大きな巻きです。麻番で77番手の糸です。フランス原料っぽいややイエロー味をした感じの糸です。

今は、Linificio社もこのZignago社の傘下にあって、ZignagoがLinificioの名前を継承した形になってますが、この30kgのZignago社のは、Zignago色味などからして異なりますので、Zignago社がLinificio社を吸収する前のものだと思います。

Herdmans社にしても、イタリアのLinificio社にしても、本国での生産が難しくなって海外(南アフリカ、中国、チュニジア、リトアニア)に生産拠点を移転したのは、必然的な流れではないかと思います。中国やリトアニアのリネンが高い評価を得るようになったのもつい最近のことです。

実際に1990年代後半のヨーロッパの本国生産の糸ですら、60番手クラスでも、同じ機械の設定でロットによっては、織れない糸が出てきていますし、また、織り上げた糸の毛玉やフシの問題なども、Herdmans社の糸にしてもLinificio社の糸にしても機屋を悩ませる問題になってしまっていました。

糸メーカーや代理店さんが、そういう問題に対応できることはなく、結局、より安定した糸を求めてシフトが進み、技術水準が向上している、南アフリカ、中国、チュニジア、リトアニア紡績の糸などで落ち着いて来ているのだと思います。

世界規模的な半導体工場の中と、今の紡績会社の中というのは似ています。昔は、半導体工場でもリネン紡績でも紡機を直す技術が必要だったのですが、今は調子の悪いところを調節するよりも、機械メーカーのものが、悪い部品を交換することで品質を保つ時代になったのです。機械部品などは非常に高価ですので、結局、品質を維持するためには、最新の機械を入れて、どこまで稼働率を上げるかがポイントとなっています。

実際に今の時代の機械の部品というのは消耗品として作られていますので、機械メーカーが新しい機種を出してしまえば、しばらく後には保守が難しくなるので、紡績メーカーも新しいものに買い換えなければならないシステムです。

中国の糸というのは2000年頃までは40番手くらいまでしか引けないといわれて資材向けが多かったのですが、2000年を過ぎてからは、60番手クラスが当たり前になってきて、今では、中国のほとんどの紡績工場が100番手の糸まで引けることをうたい文句にしています。どこのリネン紡績メーカーもが150番手クラスに挑戦するという話を出されますので、あと5年ほど待てば150番手を超える糸も生まれてくるのではないかと思います。

以前は、リネンの100番手というと手の出ない高嶺の花だった感があり、織れるかどうかが分からないといわれる世界だったのですが、今では、どこのメーカーの糸を使用するかなど選択肢もかなり広がってきています。