2011年01月27日
昨日、遅くに加工から反物が上がってきましたので、今日は検反機で出荷のための検反を行いました。今の時代というのは、ぎりぎりの量で計画して作るので、途中天使の分け前みたいなロスが出て、最終でショートしてしまうことがほとんどです。
ショートする原因というのはいろいろとあります。まず、リネンの糸を買うと大体ですが、4%から5%程度目方にして軽いのです。これは、一般的には水分率の問題といわれますが、実際には水分率の問題ではなく、最初から少なめです。これこそが、ヨーロッパにしても中国にしても海外の品質ならびに基準ではないかといえます。どうしても、工賃を少しでも稼ごうと実質の重量で計りたがらない傾向にあります。
また、糸の太さも本当に番手通りかというと、糸のロットによってまちまちであることがほとんどです。大体、その番手であるというくらいで捕らえて置くべきだといえます。細くなることはまずありえませんが、紡績工場によって1割くらい太くなることはありえます。
糸を小割りにすると整経ロスが出ます、また、織機に繋ぐと最初と最後のロスがでます。織ると織り縮がでます。加工では加工のロスが出ます。検反すれば、糸、織、加工の問題を含めてロスがさらに出ます。糸の問題ですが、糸が硬いのと柔らかいのでは硬いほうがごつく織れるのです。糸にフシが多いとこれも糸が硬いのと同じことでごつく織れる原因になります。
織物に関しましても、織物というのは規格どおりに仕上げようとすると、幅や長さに問題があることが多いのです。規格を優先するのか品質を優先するのかの問題になります。リネンのような天然繊維の場合には、規格どおりに上げることのほうが問題が多くなるのです。同じロットの糸を使って同じ量のものを作ればほぼ同じに上げることが可能ですが、生産の量が変わるだけでも、浴比の問題や生地の自由度の問題で、加工の仕上がりは変わってきます。
途中で発生する規格とのギャップを埋めようとして、引っ張り出しすぎて幅を規格に合わせていたり、引っ張って加工して長さを長く仕上げてたりすると、物性の面で、後で洗うと縮む問題を抱えてしまいます。リネンや本麻というのは品質面においてもそれぞれの工程の職人の力が生きる繊維だと実感するところです。