2011年02月20日
昨日は糸の番手の話に触れましたが、大体の場合、糸の番手計算を多用するのが、糸メーカーではなく、糸商さんでもなく、織る人でもなく、布の生産を企画をする人です。林与もテキスタイルメーカーなので、布を織るだけでなく企画しますので、糸計算は毎日のように行っています。混率などを計算するときにも糸計算は欠かせません。使う糸のすべての長さを計算して、それをもとに重さを出してあげるのです。
イメージからしますと、規格にもよりますが、25番手で1反が20kg、43番手で1反が15kg、66番手で1反が10kg、100番手で1反が7kg程度、縦横で必要という感覚です。シャトル織だと捨て耳がないので、使う糸の量は5%程度ですが節約できる計算になりますが、実際に縦がしっかりと入る織物になりますので、シャトル織機の場合には縦糸が4%程度余分に必要となります。シャトル織機の場合には一般的に織り縮みを大きめに計算する必要があります。一方、横糸のテンションの問題に関しても以前リネン日記でふれましたが、筬が横糸を打つときにも横糸にも余裕があるのがシャトル織機なのです。縦横ともにゆったりと織られることにより、ふっくらとした織物が織りあがるのです。
手織りするときにもシャトルを使いますので、手織りと同じような要素が布の中に含まれるのがシャトル織機の魅力です。シャトル織機の織物がなぜふっくらとしているのかということも、一般には、開口が広いというだけのことしか言われないのですが、林与が経験をもとに考えると、シャトル織機で織ったものは、レピア織機とくらべると、同じ規格の織物でも、レピア織機と比べると糸をたくさん使い、糸への負荷が非常に少なく織られている織物だといえるのです。生産効率を無視してでも、味のある織物の世界が出来上がると考えます。(ただし、シャトル織機でもテンション管理などがキツキツだと上手にしないとふっくらとした織物は出来ませんし、糸のテンションを極力少なくするような工夫は必要です。)
でも、シャトル織機はバックできませんので織り段がどうしても出来やすいので、糸が切れやすい麻織物の場合にはキズロスも大きいので、誰にでも織れる織物ではありません。また、シャトル織機というのは一台一台が癖がありますので、その癖をしって付き合ってあげないといけないのです。レピアの部品のように少し消耗すると交換が必要なのではなく、シャトルの場合には消耗する部品を大事に消耗度合いに応じて調整しながら、長く使ってあげるようなことが必要です。