2011年02月21日
シャトル織機で織ったリネンを販売しているのですが、生産性を重視してしまうので、今では本当に珍しいものなのです。林与にもシャトル織機とレピア織機がありますので、通常のアパレル向けはレピア織機を使用いたします。
林与の工場では、手の込んだもの主体で作っています。出機さんがありますが、そこには一番簡単なものをお願いしているのですが、この前も計算すると40日で300Mほどでした。お休みの日もありますので、1台のシャトル織機で1日10Mでしょうか。
林与も1日1時間に2Mくらいを目標に自分の工場でも織っているのですが、リネンの細い番手になってくるとよく切れますのでこれが難しいのです。ビンテージアイリッシュリネンハンカチ生地は一人の職人が付きっ切りで1日2Mから3Mほどでした。
今、ヨーロッパでもシャトル織機で追った日本の生地はデニム生地をはじめ、非常に高く評価されています。これは、日本で織ったというよりも日本のシャトル織機というのは昔の日本製の電化製品や自動車と同じで、日本の機械技術のピークの技術が込められているのです。
北アイルランドのダマスクで有名な老舗のウィーバーさんでも、生産に使われている織機はもうレトロなシャトル織機ではなく、伝統織物というよりも電子ジャガードなど最新の織機をつかった最新式の織物になってしまっています。伝統的なアイリッシュリネンの織の世界が残っていると思われるとがっかりされるかもしれません。
これは、昔の織機というのは味のあるよいものを織ることができるのは織物の経験者なら誰もが承知しているところなのですが、機械のメンテナンスや生産性を考えるとやってはおりますがなかなか大変です。新しい機械だと機械メーカーの方が部品交換や主に修理してくれるので職人さんが不要になります。大手の織物工場さんでは職人さんが不要ななのはこんな理由からで、職人さんが消え始めるとより簡単に織れる機械を求めることになるのです。逆も真なりで、簡単に織れる機械を手にすると技術の必要がなくなり職人は消えてゆくのです。不思議なことに昔の織機は進化していくとより職人の技術が必要になりましたが、今の織機というのは技術を不要にするために誰でも使えるように進化しています。
ビンテージなよい糸を使うときには、極力、シャトル織機を使うことにしています。レピアで織るほうが何倍も手軽なのですが、せっかくのよい糸を使うならよい織物を作りたいと、織り工程においてもシャトル織機をあえて使うのです。