2011年04月11日
今日は一転して冬並みの寒空です。昨日、桜を見ておいて本当に良かった。子供のころというのは、桜を見るというものにはなんの興味も示さなかったですが、それは、春になると、モンシロチョウやアゲハチョウ、秋には赤とんぼで、桜というのはとりわけ特別でもなく、普通の光景に近かったのだと思います。
昨日、清水寺で見た桜以上に、私がいいなあと思う桜が、より普通に咲いている桜です。鴨川の川縁に咲く桜なんか、より人の手が掛けられずに凛としています。帰り道、大原の山の中に咲く桜なんかは、同じ木でもある日急にピンクの桜が咲くのには、その桜の木の下に何か秘密があるような気がします。また、自然の中で美しいものというのは儚いというのが美しいものをより美しく感じさせるところだと思います。
昨日散策した京都の御池を下がった通りに昭和レトロな豆腐屋さんがありました。昨日は日曜日だったのでやってられませんでしたが、その豆腐屋さんのたたずまいはそのものが芸術です。他のお店が建築業者さんが日本風に作ろうとするのに、その豆腐屋さんはトタン張りですが、何十年も続く本物であり、錆びたような色味なども歴史の重さを感じるのです。他のお店は、常に新しく見せないとお客様の目を引くことが出来ないのに、このお豆腐屋さんは普通に生活しているその本物なスタイルが素敵です。
こういうところにあるお豆腐屋さんが、スーパーと同じものを扱っているのではなく、京都の文化の一端を担っておられるようなところがあるんだと思います。京都には料亭などたくさんありますが、京都に高級料亭が残り続けるのもこういう昔ながらのお豆腐屋さんがあるからではないかと思うところです。
あいにく私は不在だったのですが、夕方、先日お越しいただきました糸加工工場の社長様が数十年前の本麻糸を持ってきてくださったようで、形にして京都の和装の世界にご提案できないものかと思っております。京都に行きまして春だったのですが、昔風な本麻のものというのは店頭では見かけることがありませんでした。祇園祭でも昔から近江上布だったといいます。京都のお店の店頭などにも近江湖東産麻布の世界が日本の伝統や文化を語る上で残っていて良いのではないかと思います。
夜に、生地屋さん向けの10日納期のものがまだ上がってこないので、加工工場さんに反物を取りに行きました。遅すぎてもう閉まってしまってて、明日出荷できるとよいなあと思います。外はすごくすごく冷たい、雪が降りそうな風で、店頭ではこれからリネン生地などが並ぶことになるのに心配ですが、今年の夏の生活スタイルは、昔の日本の夏になるのではないかと多くの方が予想を立てておられます。涼しげな麻のものを着て夏を過ごすスタイルというのが見直されるかもしれません。