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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
生成の色、オフ白の色
2011年05月21日
最近の生成の色ですが、同じ銘柄でここ数年そこそこ安定していたものの、かなり、定番カラーとしてきたものから比べると薄めになってきています。生成はやや黄味がかって悪くはないのですが、薄めの色に変わってきています。これは、ひとつの紡績工場にいえることだけではなく、世界全体としてのリネンのカラーの傾向だと思います。

昨年の作柄は例年よりも良かったことが色をピュアっぽく変えているのかもしれません。しかしながら、色というのは好みの問題で、グレーイッシュな生成を好まれる方も多く、林与としましては、生成の色がぶれること自体、アパレル向けでは頭を悩ませる問題です。オフ白に関しましても、例年よりも白度が増してきています。これは、よい傾向のような気もいたしますが、白度のばらつきもアパレル向けでは、同じものが作れないということで頭を悩ませます。

2007年でしたか、ヨーロッパで長雨が続いた年には、どの紡績工場の糸も硬くて色が濃かったのを覚えています。今はその逆の傾向ではありますが、色がばらつくこと自体、安定性の面ではよいことではありません。色と品質を安定させるために畑の違うリネンをブレンドするという手法がとられると聞いています。そこは、リネン紡績工場のノウハウになってくるのだと思いますが、今はそれが行いにくい状況なのかもしれないと考えています。

リネンの紡績業界というのは、今は活況のようですが長い目でみるとこれがよい状況とは限りません。需要が下降するときには、急速に追いやられて供給過多な状況では、価格の急激な下落が再来し何年もの存続を掛けた価格競争に直面いたします。このときには、一国の紡績産業というのが壊滅することすら起こりえるのです。ファッションやトレンドというものの怖さではそのものでないかと思います。