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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
リネンの力
2011年06月12日
昨日は土曜日だったので、工場の裏にテスト的に2年間放置してあった生成の糸を確認しました。リネンの生成の糸というのは、何もしなくても外に干しておくだけで漂白されるというのは真実でいわゆる自然での漂白です。これは特別なことではなく、藁なんかでもはじめは色がついていても、放置しておくと色が白っぽくなるのと同じ現象です。リネンというのが天然の植物から由来しているのを実感いたします。

生成の色はこのように、本来、太陽光に弱いものなのです。日の当たるところと当たらないところでは、色の変化が異なります。洗って干してあげることで、満遍なく太陽の光に当ててあげることで、全体が比較的均一に白くなっていきます。洗うときにも洗剤をあまり使わなくてもよいのがリネンの特徴で、フラックスの繊維は水にぬれると表面が滑らかになり汚れを吐き出しやすいのです。

晒というのは、白に染める(白い染料を使う)ということではありません。糸のなかの色素を抜いて白くすることなのです。生成の色にしましても畑が変わると色が違うといわれますので、畑の土(栄養)の色が繊維と繊維の間に付着しているような状態なのです。生成の色というのは一見一様に見えますが、生成の色というのは、顕微鏡でみるとまばらに色がついて汚れのように見えます。

昔、麻が高級品だったころは、百貨店ブランド向けなどは林与の場合、生成の色のロットごとのばらつきを押さえるために、また、耐光堅牢度をあげるために、生成のようなベージュ色に染めるということを行っておりました。最近ではそれも少なくなり、生成りのまま使うことが多くなってきています。

考えてみると、リネンの力というのは、徐々に変化していく部分にあるのではないかと思うところです。長い時間を掛けて変化することで自分が使った思い出なんかがそこに詰まるという部分が生まれてくるのかもしれません。変わらないものなら、また、買えばよいのですが使い込んだ良さをもつものというのは、新しくかって満足できるものではありません。