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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ちょう、せみ、くわがた、カブトムシ、赤とんぼ
2011年07月01日
7月になっても、サイレンとスプリングです。地球温暖化の問題を考える前に、この何十年かの間に加速したサイレンとスプリング現象を考えるべきでしょう。ちょう、せみ、くわがた、かぶとむし、赤とんぼ、すべてが何十分の1の世界で、それとともに生きるべき、魚類、鳥類なども消えてしまっています。

人間が意図的に魚を放流したり蛍を放流したりして楽しむバーチャルエコロジーは、残酷です。人の手が絶えれば、死滅してしまうのです。トキに関しても、トキだけを保護しても何の意味もないのです。トキが生きられる自然環境がないのですから、トキを自然界で繁殖させようとしても無理なことだったのです。

これは動物だけの問題ではありません、人間にも言えることです。今、たくさんの方が化学物質アレルギーや体質の問題で悩まれています。人間が普通に生きることのできない自然環境になってきてしまったということです。今日の夕方には、京都のお客様のところに伺い、その脚で、五条にある田中直染料店に伺いました。

学生時代に7年間住んでいたよいイメージのある京都の街ですらもコミコミしていて住みにくさを感じてしまうのは田舎ですらもが住みにくくなっているのでかもしれません。生活環境がコンクリート化してしまうと厳しいなあと思うのです。

失ってから気づくものも多いと思います。今日は、機料屋さんが来られていましたが、この15年で近江の産地でも機屋さんというのは廃業が続きました。これは、保険や金融商品などに力を入れる政治的な方針と表裏の関係で、片方を持ち上げれば、片方が締め付けられます。100年以上続いた企業さんが消えていく背景というのも、世界で一番安いものを作る繊維産業の中の戦いだけでなく、日本人全体のビジネスモラルや価値観の変遷によるところが大きいのです。

日本的なものづくりを守ろうとしたところほど日本的な重いものを背負っておられるのでこの15年ほどで消えていかれたように思います。人が国際的に標準化したということが日本の特色が薄れてしまう一番の部分ではないでしょうか。昔、日本は教科書どおりのステレオタイプで面白くないといわれた時代があったのですが、不思議なことに、そのころのものづくりのほうが本質的で他国にない特色にあふれていたような気がします。