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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
カラムシ
2011年07月02日
今の季節、川沿いには、赤苧や青苧がよく見かけられます。もともと、このような草から繊維が取られ麻織物が織られていたのです。着物というのは、いろいろな草の繊維を織ったものを総称して麻と呼んでいたのが昔の織物です。昔、裃などは大麻だということですが、普段着る着物用では厳しいところがあったと思います。昔はこういう草を見て雑草とは思わなかったのでしょうが、今の時代には雑草にしかみえません。

百年以上も使われなくても自生していてくれるというのが、麻がエコである象徴の一つです。そういうのを見ると日本の自然もまだまだ残っているなあと思います。これは、別に麻だけでなく、柿の木にしても、今はたわわに実をつけてもそれを人が取って食べることがなくなっても、翌年にはしっかりとまだ実をつけてくれているのです。柿の木をみると柿の成るのを楽しみにしていた昔の価値観そのものがエコなんだと思います。毎年、自分で実をつける柿を食べるだけでも、お店で売っている果物を食べものに掛かる輸送に使われたり、冷暖房に使われたり、廃棄処分される分のCO2削減に何倍も寄与できるのです。CO2削減を考えるよりも普通に見える無駄を削減することのほうが地球環境にとっては何倍もの意味があるのにと思うことが多くあります。

今の時代、お坊さんが着る袈裟なども、リネンが使われています。これは、お釈迦様の生まれたインドでもリネンが使われていることと関係しているのではないでしょうか。本来、日本の麻なら苧麻(らミー)が使われないといけないのですが、インドでは、イギリスの植民地であったこともありリネンが使われるのです。日本のお坊さんがリネンをお召しになられるというのも不思議な気分ではあります。

今日は梅雨が明けたかのような蒸し暑さの少ないさわやかな一日で、お昼前に加工工場さんにお邪魔しまして表で30分ほど立ち話です。本麻の小幅の織物を加工工場に何百メートルか投入しました。本麻の小幅織物というのは案外あるようでないのが今の時代です。小ロットの極みとなりつくろうとするとコストが高くなり百貨店などでも販売できる上代には収まらないのです。その分、綿麻とは違う世界をお楽しみいただける贅沢です。