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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
夏草や兵どもが夢の跡
2011年08月31日
一番暑い時期が過ぎて、もうそろそろ秋かなあと思いながらも、夕方でも彦根にある温度計は29度を示していました。今年は予想以上には暑くはならなかったみたいですが、それでも節電をしたことで、十分と暑い夏になったのではないかと思います。8月の後半は夕立が多かったのも印象的でした。暑くなりすぎると自然の力で雨が降り、冷まされる。昔の夏らしい夏が戻ってきたような気分です。夏というのは、織物の仕事というのは本来一番暇な時期なのですが、いろいろな方との通年素材や来期に向けてのものづくりの話でゆっくりとは出来ない毎日が続きました。

春からずっと道に生える苧を眺めていると、自然って人間が手を加えなければ戻ってくるものだなあと思うのです。赤苧にしろ青苧にしろ、普通に自分で生えて、肥料もなくても、雨、風に耐えて夏の終わりまでしっかりと成長しているのです。車で20分ほどのところに安土山があり、織田信長の居城であった安土城跡というのがあるのですが、それほど有名なものであっても天守閣跡地というのは、「夏草や兵どもが夢の跡」です。また、林与はそんな自然なありのままの形が好きで、手を加えて観光地化するのは人の欲ではないかと思います。逆に、そのままに放っておいたことの偉大さというのを感じます。それはそれで、形じゃない精神的なものを大事にしてきた気がしてなりません。それはそのまま残しておいてほしい気がします。