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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
糸のロット差
2012年01月02日
今日も不思議な現象で、糸を替えると同じロットの糸を使っていても反物の織幅が1cmほど大きくなる現象が起こりました。これは、トップの糸で、太さが同じだとすればトップの混ざり具合が微妙に違うことから糸の硬さが異なり、糸がやわらかくなったということだと思います。整経の現場では一つ一つの節、織っている現場では糸の錘の差くらいまで見えてきます。

ピュアな糸というのは通常は高品質でなければなく、混ざる糸というのはグレードを落とすというのが一般的な方法です。双糸にするものも通常はグレードの低い単糸でよいとされます。染にしましても、均一の太さの糸を染めると均一に染まりあがりますが、糸の斑や節が多いと白っぽく、ソリッドな色には染まりあがりません。

今のリネンの紡績糸というのは均一なものというのがなくなってしまったような感じで、先染でカセで染めても中までしっかりと染めることができないケースが多いのです。太い部分というのは結局、中が薄く染まってしまいます。中までしっかりと染めようとすると特殊な方法が必要ですが、今の時代にはそれをできる染工場はないと思います。

以前海外の紡績工場が後染めが斑に染まった問題も、糸の細い太いから生じる染斑から来ていることを紡績工場の方には教えてあげましたが、この問題というのは特に、縦糸に綿やシルクを使って横糸にリネンなどを織る場合に症状が見えやすい問題です。

錘の差の問題は、リネンでは当たり前だったりして、織物を良く眺めると2倍くらい太さが違うことが多いのです。見た目で2倍違うということは、重さにすると、直径が2倍違うということですので4倍違うことになります。特に細番手になってくるとこの傾向は良くわかります。

電子はかりで糸を分析すると、2mの長さを取ってみても、どこの部分でも理論値のプラスマイナス10%くらいの範囲に収まっているので、今の紡績技術というのはすごいものだと感じます。この部分は昔の糸よりも今の糸のほうが優れています。しかしながら、昔の糸には見られなかった、今の糸特有のリピートする極端なスラブが出たり、撚りが掛からないといわれるのも今の紡績方法の影響だと考えています。