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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
三方善
2012年01月25日
三方善についても諸説あると思うのですが、最近は、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」となっています。私が小さなころから聞いてきたのは、「売り手よし」「買い手よし」「作り手よし」の三方よしだったのです。近江湖東地方でも場所によって、あるいは家によって伝わりは違うようです。

日本のものづくりの特色を守るためには、日本的なものづくりを守るような文化が不可欠だと思います。アメリカにいたときにビジネススクールのマネージメントの授業で、職人たちが集まってパイプオルガンを6ヶ月間かけて、ボランティアでつくるビデオを見ました。完成したときにそれに携わった職人たちは満足げにしていましたが、ビデオを見たアメリカの学生の反応はお金も貰えないのに冗談じゃないわ、みたいなコメントが多く、そういうコメントが正しいのか正しくないのか、今の日本でもかなり似たようなコメントになりそうで…。

文化に関して、資本主義のアメリカと、共産主義だといわれた中国の価値観というものが個人主義的で似通っているのも以前は不思議に思いましたが、それは個人の価値観の問題ではなく、国の制度的な問題だと思います。ひとつの制度が集団的な価値観を変えてしまいます。いろいろな個人の問題といわれることも法律や制度の不備から来ていることがほとんどだったりもいたします。

三方善が難しいのも、今の日本の制度自体が三方善の精神とはかけ離れてしまっていて、損得勘定がいろいろな制度の中で優先されがちになってしまっているのを感じます。