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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
うるう年
2012年02月29日
4年に1回の2月29日、納期に追われているので本当に一日長いだけで助かります。よく言われるのが、唯一、人間に与えられた時間というのが誰に対しても不平等がないといわれますが、時間すらも平等には与えられていないのです。人の時間を使ってしまうタイプの人と、人に自分の時間を割いてあげることのできる人とでは大きいです。それは力の差なのかもしれませんがその差は大きいなあと思います。

世代間でも同じことが言えると思います。戦前の日本の人は自分の時間を国に使うことが多かったですが、戦争が終わった後のすぐの世代というのは法律の縛りも少なくかなり自由な発想が社会的にも許された世代です。ものづくり企業が伸びたのもその影響は大きいと思います。

特に時間の面で、競争力のあるものを作ろうとすれば、今の時代の人はよほど能力と才能がなければ、他の国と比較したときに良いものを作れるということはありません。このことはすごく大事な要素です。競争が国内にあるのは、サービス産業や半貿易自由財です。貿易自由財に関しては競争は国際的ですので、国内での生産をやめて、海外に出てものづくりをされるところが多いのもうなずけるところです。国内や産地に残るからには国内や産地で残ってものを作っていることを差別化の要素としてしっかりと謳うようにしていかないと単なる価格競争に直面して負けてしまいます。

語りの面においては、品質よりも本物性や希少性のほうが大事であると思います。工業品と工芸品の差のように、工業品は一つ一つが同じでないといけないとされます。工芸品は一つ一つが微妙に違ってそこに味があるのです。実は、品質の良いものをたくさん作れば儲かるかというと、取れすぎた年のお米や秋刀魚のようでおいしくても価値はなくなります。同じ顔をしたものがたくさんあるというのはそのものの価値すらも消してしまうことになります。たとえばテンセルなんかがそうで、今は昔の価値の10分の1です。同じ1日でありながらも2月29日は、語れる希少な一日で、価値が何倍もある気がいたします。