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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
急いでいる台を2台に
2012年03月14日
今日は、急いでいる仕事の分を2台に増やして作業をすることで納期を詰めようと準備が整いましたが、職人さんが織機を調節しておりますが、どうも、予定しているのとは違う問題がランダムに発生します。設定はまったく同じでも、こちらの台ではうまく機能して、別の台では機能しない。

単なる間違い探しをすればよいだけのことですが、シャトル織機の問題ですので部品のわずかな消耗や調整がこの問題を引き起こしている可能性は高く、良いところを触ってしまうと、今度はそこのバランスが狂ってしまって、本来の問題を直してもうまく織れないということになりかねませんので、頭を抱えて考えているばかりでそれでは仕事としては駄目な状態です。

仕事というのは、考えているだけとかが一番駄目で、考えたら考えたなりに答えにたどり着くか、何か作業に結びつかないと、少しも問題は解決しないのです。また、織ろうとしているだけで、実際に織れなければ仕事をしていないのと同じで、また、仕事をしても予定通りの問題のないものが織れなければ仕事をすればするほど問題は大きくなります。

こういう時には、昼間仕事をしていても駄目なので仕事が終わってからじっくりと夜に織機を見ます。明日までに直さないと駄目な気持ちで織機の設定を一つづつ確認していくのです。たぶん、これが原因だとわかっても織機の大掛かりな分解を必要とする場合には、思い切ってできないことも時間との兼ね合いであったりします。麻織物を皆さんが止めていかれる背景には、糸に張力がなく、ムラがあるので、糸切れが起こりやすく、織りにくいだけでなく、織機のスィートスポットの管理が、綿の糸と比べるととても難しいのです。特に細い番手を縦に使う場合や無理な規格を進行するときには生産の効率が5分の1から何十分の1に落ちます。

昔から品質を守る上では一番安全な方法をとってものづくりをすることが大事だと考えてきましたが、案外、そういう部分に普通の何倍もコストがかかることを理解してもらえるケースというものは少ないものです。海外の展示会にいっても布が違って見えるのは、少しの違いを生み出すために手間を掛けるということが大事なことなんだと実感します。高くて売りにくくても同じになってしまうよりは、残り続けて織り続けている意味を大事にしていけるのではないかと思います。