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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
近江商人
2012年03月17日
今朝は大阪からのお客様でした。お話を聞いていると今年は冬物が何年かぶりに好調に動いたようなムードが漂っているというのはどこもが共通した認識のようです。弊社とは関係はほとんどなくても、そういう明るい話題がないと業界というものは全体としても持たないものです。

朝一番には、仕事関係での知り合いの方からご紹介の電話を頂き、新たな取り組みが他の企業さんと進みそうです。何かをやろうとするときに、何かしらのリスクは伴うことがほとんどですので、そのリスクを逃げてはものは動いていきません。企画というのもボタンの掛け違えでスタートすると、そのボタンの掛け違えの部分を最後の最後になって、最初から直していかないといけないことも多いものです。

リネン日記の最初のころに書いたことがあるのですが、近江商人の代表格である伊藤忠兵は、都に向かう峠である逢坂山がもっと高かったらよいのになあとつぶやいたということです。近江商人なら誰もが成功を収めたわけではなく、質実勤勉だといわれた近江商人の中にも競争があって競争に生き残るためには、自らがリスクを背負って商売をしたところに成功がついてきたのだと思います。

この部分というのは、近江商人の成功を語るときの三方善以外の部分で大事なところだと林与自身は考えています。最近は、三方善の精神が成功のマニュアルのように言われることが多いですが、今の時代はエゲツない商売が多くなって合法なら何でもありみたいな時代だからこそ、経営者の間で免罪符のように三方善がもてはやされる時代になってしまったと思います。経営者がありがたがってそれを目指すものではなく、経営者が丁稚に基本を教えるときに使うのが三方善の精神で、読み書き算盤と同じあたりのものであったはずです。

自分自身で失敗を積み重ねて苦労や損をしながら経験をつんでいくことが大事だと思うのです。そういう意味では、農家の人が自然と闘いながら農作物を自分の手で育てるようなところがどの商売にとっても大事だと思うのです。他の人にゆだねることが多くなればそれだけ自分の仕事ではなくなります。また、他の人の仕事を代わって、自分がすると自分のためにはなっても、他の人のためにならないことも多いものです。経験こそが仕事そのものです。