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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
長栄座初日
2012年03月25日
今日は、朝から長浜で長栄座春の祭典がありました。朝9時には準備に入ろうと思っていたのに、出荷のための準備などが積もって10時過ぎに到着でした。同じく出展されておられますファブリカ村の北川陽子さんが準備を済ませておられ、手伝おうかと声を掛けてくださいます。

同じく能楽でグループ出展されておられました謡の浦部好弘先生が林与の出展を見つけて声を掛けてくださいました。先生は、国の無形重要文化財指定者、いわゆる人間国宝にも認定されておられる方なのですが、今日は先生は、衣装を展示されるために舞台衣装を展示しているとのことで、金襴華やかな衣装はロビー展示の中でもとりわけ目立っておりました。地元愛荘町でも子供に能楽文化の普及継承に力を入れておられます。

特別な世界を守ろうとすれば他と一緒の世界だと駄目だなあと思うのですが、それを社会が支えるというよりは、その方自身が人生のスタイルを変えずに守っておられることで、特別な世界が残されていくというような形なんだと思う気がします。林与とは同じ町内にお住まいというだけでなく、代々親しくしていただいていて、地場のものということで林与で織った本麻の着尺をご愛用くださっています。長男さんが私の姉と同級生、私も次男さんと同級生ということもあり、がんばれよ、というようなエールが伝わって参ります。

準備のほうは順調にできましたが、展示用に持ち込んだものが多すぎて割愛させていただくような形になってしまいました。バックには「林与」ロゴを真ん中にして、ビッグリネンの花のポスターとシャトル織機のポスターを貼りました。今回は2コマ分のスペースをいただけるということで、端から順番に、ジャガード織のリネンテーブルセンター、本麻着尺織物、ストール、キッチンクロス、ハンカチ、本などを並べることができまして展示販売などもさせていただきました。

午後からは、正面のブースで展示されていました山本玄匠氏のブースにご挨拶に参りました。夏頃に玄匠氏からはお電話をいただいておりまして作品を見たいなあとは思っていたのですがお会いしてお話を伺うこともできました。玄匠さんにとっては染が命のような職人的な部分が大事なのだと思います。でも、すべて手描きで描かれているというのが私にとってはすごいなあと思えるところです。海外でも人気なのは作風がしっかりしていて、どこか和のテイストが流れていてそこが海外で魅力なんだといえます。

毎回、仕事を超えてどこまで自分が満足するまでできるかという部分が大事なんだろうなあと思います。出来上がったものだけを見ているとそこには技術的なものしか見えないと作り方のことだと勘違いするかもしれませんが、それを真似て作る人と自分自身で作り上げられる人とでは力からすると雲泥の差に思えます。こういう卓越したマニュアルのない世界があってもよいと思います。日本のものづくりというのは本来そういうものなんじゃあないかと思うところで技術とかではなく精神的なものの違いがないと何事も薄っぺらく終わります。これは、どうやって作るのかとか作ったのかと聞かれるお客さんが多いのですが、実際に仕事をするのが大変なのはそこじゃあないんですと思うところも多いものです。