2012年04月27日
私自身は、もちつもたれつのような関係が、三方善の理想的なスタイルだと思うのです。これは日本だけの精神でなく、GIVEANDTAKEということばや、WINWIN SITUATIONというような海外で使われる言葉と同義です。
長く続くため精神だと思うのですが、商売をしていても何かよい要素があればそれを相手から取りに行くだけのタイプの人というのが多くなっているといえます。人が生きていくうえでの支えとしている特別なものを取れば自分の生きていくうえでの支えとしている特別なものを差し出さなければ、関係というものは長続きしないのです。それは時に対価だったりするかもしれません。
日本の商売って海外と違うのは、お付き合いという部分を大事にすることだと思います。損得勘定ではなくてみたいなところがあって、たぶん業界でも高いかもしれないけど林与の生地を使ってくださるところも多いのです。そういうところで林与は生かされていますので、その分、コンビニなスタイルにならずまっすぐな感じの商売を続けることが、買っていただくものに価値がこもるかと思うのです。
物を企画するということは簡単だと何度か書きましたが、商売をしている人ほど一般の人以上に物を買うことができる人というのは本当に少ないのです。ものを作る力がなくなったときにそれは物を買うしかできなくなるということなのですが、今は外国でものを作ってくれるところを探すほうが簡単だったりするものです。
最終的にものが余ったときに買ってくれるような存在が一番ありがたくて、ものが足りないときに売ってくれるような存在こそが一番三方善の精神に繋がります。これはまさに問屋機能で、この機能が働くことこそが大事で、それがなくなってしまっているのが今の、ジャストインタイムな時代の流れではないでしょうか。仕事が少ないときにリスクを背負ってものづくりしたり、忙しいときに無理をしたりするようなもちつもたれつの精神も、三方善の精神そのものだということがお分かりいただけるかと思います。
今の時代、作り手側でも暇なときには仕事がほしいけど、忙しいときには仕事がしたくないというケースのタイプの人も多いものです。暇なときに遊んでいる人が忙しいときにがんばれるかというとなかなか難しいもので、暇なときに遊んでいたら暇なときに仕事をしている人との差が広がっているだけで忙しいときにも一人前の仕事ができるかです。暇なときほど大変だという本質が見えるか見えないかで、忙しいときに仕事のありがたみがわかりがんばれる人なのかどうかもわかります。