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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ギア
2012年06月02日
機械のギアというのは、単純に作ってあるように見えても、37のギアは37個の山があって、50のギアには50のギアがある。そして、機械側のベースとなるギアを決めてあることで、その数字のギアをさせば、正しく回すことができるのです。私はそのことを人に優しくすごく美しいと思います。ギアというのはどの織機でも共通で、逆に織機の基調のギアを織機のタイプごとに決めることで、汎用的なギアをいつでもつかえるというのは、まさに、ユニバーサルデザインそのものです。

ベースギアが37で、45のギアをつければ、打ち込みが45本の織物ができたとしても、ベースギアが37で、35のギアをつけても、ギアが小さすぎて機械がうまく動かないというようなことがありえます。そういう場合には、ギアの比率が37対35の近い数字になるようにギアの組み合わせを選んであげます。これも、対応表があったりして、職人さんというのは普通その対応表をみてギアを決めるのですが、簡単な計算でその対応表がなくてもギアを決めることができます。

逆にベースギアが37で、80のギアをつければ、打ち込みが80本の織物ができるかというと、打ち込みが厚い場合などには、横糸が80本まで織り込むことができませんので、織前のラインがどんどんと後退していき、布がダブって織れ始め機械がしんどがります。

打ち込みをあげることができるかできないかは糸の番手だけでなく、糸の張力との兼ね合いでもあって、張力がなければ、打ち込みをあげることは難しく、糸の張力がありすぎるドビーが開ききらないなどの問題で、逆に張力不足で厚く織れないなど、厚く織るためには厚く織るためのノウハウがあります。

厚く織るときになぜあぜ棒を入れるのかも、あまり説明ができる人が少ないと思いますが、テコの原理が働いて、しっかりと糸を引っ張ることができ、糸に緩みが生じにくくなり、糸の開きがしやすくなるからです。とくに、もっもける問題の多い、密度の高いシルクや麻などを織るときにはあぜ棒を入れてあげることで織れるようになることも多いものです。