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リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記2010年2月
2010年2月
リネン日記:27
2010年02月28日
今日は、月末の日曜日、会社が動いていない合間に、私は一人、50年以上昔の手績糸とにらめっこです。幅の広めの織物を織りたかったので、縦がリネン66番手の生成の掛かっているところで、糸のテストです。

まず、シャトルの管に糸を巻くところから始ります。通常なら、糸は、シュワイターと呼ばれる糸巻機で、シャトルの管に巻くことが出来るのですが、この糸は、新聞紙に包んであるような状態のもので、手ごわさが違います。イメージからすると、乾燥した草の繊維をつなぎ合わせたようなものなので、糸というよりも繊細な藁という感じです。

何時間も掛けて巻き上げて、一本一本手織りのように織ってみました。織れた!です。生糸を織ったような光沢があり、縦のベルギーフランスフラックス原料を使用してあるリネンですら、まったく、くすんで見えます。私自身、今まで、麻で、こんな織物は見たことがありません。これが「きぬあさ」と呼ばれるものなのかという感動の世界ですが、横糸一本ごとに繊維が一本使われているような織物なので、気が遠くなります。

年代を経ているせいで、糸自体はビンテージな小麦っぽい色に変色しているので、雰囲気があってよいと思うのですが、実際に、使うとなると晒したらきっときれいな織物に仕上がると思います。いろいろな試行錯誤取り組みの中で、日本の麻織物のお手本ともいえる、アパレル向けの林与の本麻手もみ100番シリーズを生み出し、今も、麻織物の本場近江湖東産地の本麻織物を代表する商品として守り続けています。
2010年02月27日
ある生地屋さんで、良いリネンを見ました。たぶん非売品だと思うのですが、ディスプレイしてあるいくつかのワンピースです。リネンの細い糸が使ってあって、オーナーさんにリネンを見る目があるのか、そのお店をサポートしておられる方に見る目があるのか、私が見ても良い感じのものでした。

後染っぽく若干染めが甘い気がしたので、生地がインポートものなのかもしれませんが、ハンカチにするくらいのリネンの細番手のものを高密度にアパレル向けに織ってあるというのは、日本では珍しいのです。

今、リネンの100番手が中国のいろいろな紡績工場から出てきています。私が知っているだけでも複数社あるので、これからも細番手化は進んでいくものと思われます。リネンの細番手というのは、たとえば66番手と100番手では、1.5倍しか変わりませんが、すべてにおいて技術力が必要となってきます。

今や、高品位なリネンのほとんどが中国で紡績されるようになっており、まだまだ、進化の余地があるように思います。中国で紡績されたリネンとかも、実際にはヨーロッパなどで使われており、横だけに使うというケースが多いようです。本格的に先染でいけるクラスの糸がどんどんと出てくることを期待しています。昔のリネンや麻の品質が良かった時代に戻るのではないかと楽しみです。
2010年02月26日
暖かいお天気で、買い物に行くと梅の花が咲いていました。今日は、織りあがったホームファブリック向けの生機を丁寧に仕上げます。ホームファブリックなので家庭用にナチュラルかつ柔らかにに仕上げるための一工夫を欠かしません。問題になりがちな問題も極力吸収しておくためにわずかの薬品と手間を掛け、なんとか3時間掛けて5mほど出来上がりです。

暖かい日に作ると作業自体が楽しいですね。今の時代、なかなか面白いなあと思う布を見つけるのは難しいです。いろいろな方のリネンの解説がありますが、林与は、リネンや麻に対して経験から独自の見解をしていることも多いです。麻というのは強い繊維ですので、味を出すためには、手を掛けてあげる必要があります。そのままだとペプチンも多く、硬くて…。

今日出来上がった布もサマーリネンブランケットとしてどんな感じでしょうかね。冷えがちなオフィスで活躍するような布というのもありがたい存在でしょう。生成でリネンぽくって十分なのかもしれませんが、林与はリネンの先染めでストライプとかチェックとか作ってみたい衝動に駆られてしまいます。

展示会でもテーブルに掛けている布なんかは、リネンのチェックのクロスだったりして華やかです。そのテーブルクロスも社内で生機を洗って縫製してやりましたんで、市販のものほどは四辺などまっすぐではありませんが、1枚掛けるだけで雰囲気は良いです。柄と配色は私自身が考えたものなので自己満足かもしれませんが、展示会などでもいろいろな方がそのテーブルクロスにも興味を示してくださってます。

月末には2名の方にリネンが当たるリネンプレゼントやりますので、みなさん、登録してくださいね。会員登録されていると当選されると登録済みのご住所にお送りします。メルマガのみのご登録の方が当選された場合は、メールをお送りしてご住所を確認の上お送りいたします。今のところ、メルマガのほうまで手が回っていませんのでメルマガを期待してくださってる皆さんにはメルマガゼロで申し訳ないですが…。
2010年02月25日
今日、通知が届きまして、2011SS展においても、ジャパンクリエーションのデザイナーコラボをさせていただくことになりました。今回コラボしていただくデザイナーは、The Dress & Co. HEDEAKI SAKAGUCHI(坂口 英明)氏です。2010年のSSの写真などを拝見させていただくと、パリを思わせるようなフェミニンな感じのデザインで薄い素材がよいのかなあと思っていたりします。

そういえば、サンディエゴにいたときに、クラスメートにフランス人の女の子がいました。ジュディフォスターの若い頃をかわいくした感じで、なにもかもがモデルっぽい感じの人だったのですが、フランス人としてはあれが普通のレベルだというヨーロッパの人たちのコメントをいただきました。イタリア人にはかっこいい男の人が多かったのですが、それも普通だということで、日本で人気のモデルさん顔というのは、その国の普通の顔なんだなあと思ったりもしました。昔人気だったジェームスディーンのポスターがめずらしくアメリカにあったのですが、そのくらいの顔が普通であるという感覚こそが、日本人が欧米に憧れるところではないかと思うのです。ジェームスディーンは今見ても自然体な感じなので、時代遅れを感じません。欧米の自然体かつ普遍的なカッコよさに目が向いているので、普通なカッコ良さをもとめる日本人のテイストというのは案外よいんじゃあないかと思うのです。

今日も、午後から、糸商さんが見えられお話をしていました。糸を見せてもらうのですが、実際に一つの糸を見るのは数秒のことです。それを2分3分触りながら、何に使うかを考えて、そのときの工程を頭の中でザーッと走らせて問題があるかどうか考えるのです。そのときに、織の経験、染の経験、加工の経験などから、過去の失敗などをチェック項目として糸商さんと情報を交わすことで、自分の用途にとって、この糸は大丈夫、大丈夫でないということを判断します。実際に、使ってみないと分からないこともあるのですが、その前にその糸を使える用途があるのかなど、頭の中でじっくりとシミュレーションすることが大事なのです。
2010年02月24日
近江で麻織が栄えた理由は、倉庫から取り出した50年以上昔の手績糸を扱ってみるとその理由がよく分かります。よく言われる麻を扱うのに湿気が必要だということです。なぜ、小分けにして新聞に包まれていたのかなど、考えるとき、今まで保管できていたことを考えると、それが非常に適切な方法であるということがよく分かります。それ以前においても、何十年も実績のある保存方法だったのだと思います。それなりに丈夫な箱に入っているものの面白いことに新聞の包みを一つ一つ結えてあるのが藁なんです。新聞紙や藁というのは、昭和25年頃にしても、メーカーの仕事としては???だったりするので、もっと昔の糸を保管のために丁寧に入れ替えた可能性もあったりですが、箱には番手がしっかりと書いていあり、それ以外には番手を示すものがありませんので、箱の通り買ったままなんではないかと思っています。

昔の糸が残っているためには同様の保管方法でそのまま保管されている必要があるのではないでしょうか。箱から出ているような新聞包みだけの状態ですとすぐに変質してしまうので…。この風格というのが昔話に出てくるような反物が宝物だったころの世界なんだと思います。手織を終えても、手放すことなく、手織り用の相当量の糸を残し続けようとした意味を考えると、糸に置いては昔の品質の近江上布が再現できる可能性があるのではないかと思っております。

あと、麻の織物が近江で栄えた理由には近江商人の活躍があります。林与の先代にしても八幡商業高校の出身で、一流の先様とのお付き合いが、ものづくりを支えていたということがいえると思います。私は、近江商人の教育は受けてはおりませんが、林与の代々以上に頑固でして、どうせやるなら本格的というのがいつものスタンスで、流行らないスタイルではあります。
2010年02月23日
今日は、午前中、京都のお店をまわりました。百貨店のほか、京都の情緒のある町屋を店舗にしたお店などを見て回ったのですが、お天気もよいこともあって、通りに人通りも多く活気を感じました。

京都の四条から御池周辺を歩いていると、昔、林与とお取引のあった呉服関係のお店の名前が次々と目に入って来て、昔、与一じいさんが近江上布を買っていただいていたお店はほとんどが今も京都で商いをされており、良いお取引先に恵まれていたのだなあと実感します。

午後から、糸商さんが会社のほうにご挨拶に来てくださいました。糸商さんとも長いお付き合いなので、昔の話などをしながら新しい糸のほうも見せていただきました。リネンというのは非常に人気の素材なので、いろいろなほかの素材との複合が行われており、何か面白いものができそうな気分になりました。今、メランジ調や、トップ調が人気ですので、そのような展開が考えられないかと思いました。

今、糸商さんが染めた糸を小売で販売される形が増えてきました。これは、麻の世界では考えられなかったことなのですが、それだけ、小ロット化が進み、染工場というのも限られてきており、独自に、マス見本、着見本、本番と染めるということが難しくなったということでしょうねえと結論付けました。

染めて用意してある色というのは基本的な赤、青、緑、黄、オレンジ、パープル、黒などの原色を濃淡程度の色合いが多いので、先染で日本的な微妙な色合いというのは出しにくいのが難点で、たとえ、染糸が色鉛筆のカラーのように売られていたとしても、先染織物を作るときには色からオリジナルに作るというのがどうしても必要ではあり続けます。
2010年02月22日
昨日、倉庫に行ったとき、リネン30番手の網を見つけました。海で魚を取る網みたいな編んだ網です。30年くらい昔にどこかの工場に依頼して作ったのでしょうか(これは近江で作ったものではありません。)。箱に入って、ぎっしりと入っているので、売られること無く眠っていました。魚や鳥を取る以外に、なにか用途をみつけることができる人がいるなら面白いかもしれません。

ビンテージな良質の糸を使用しているのでやわらかく光沢感があります。今の糸だとリネン100%で、これが作れるのだろうかと思います。とりあえず、ショールやマフラーに良い感じなので、限定っぽい感じになるかもしれませんが販売を開始したいと考えています。

3月の末に、JFWファッションウィーク主催のアジアのデザイナーが集う、ファッションショーが東京で行われます。そのご招待状が届きましたので、出席させていただこうかと考えております。どちらかというと、展示会に関しては、上海やホンコンに押されて、日本はアジアのファッションの中心ではなくなってしまいました。ただ、救いなのは、台湾などでは、ファッション雑誌の8割が日本の雑誌で、上海でもファッション雑誌のコーナーも日本のもので埋め尽くされています。日本の企画がアジアをリードしていくことが予想されます。

今の若手デザイナーというのは、デコレーションっぽい感じのデザインが多いところが、アパレル業界などからは、実力が伴わないと評価されるところなのではないかと思います。布つくりにたとえると、奇抜な柄を組めば、それがファッションだ、という自己主張のところで終わってしまい、見る側の感性に訴えるような客観的に見てよいと思えるような共通項を欠いてしまっているのではないかと思います。その共通項というのが、脈々と受け継いだ、伝統的な色調であったり、風合いであったり、だと思うのです。それは、それぞれの国や地域で残していかなければ、他の人には残せないものだと思います。
2010年02月21日
今日は、愛荘町の町長ならびに町議会議員の選挙だったので投票に参り、午後からは、休みだったので倉庫のほうでリネンデニムをつくるための糸を探していました。倉庫の中には、今日も東洋繊維時代のきぬ麻の紡績糸が眠っているのをみつけました。きぬ麻と言ってもシルク麻ではなく、ラミー100%の糸で、シルクのような光沢があるからきぬあさとよばれるもので、たぶん、近江上布の縦糸に使う用の糸だと思います。手績糸もあるので、一度、シャトル織機を使って、服地幅で織り上げてみるのも良いかもしれません。

他にも、何千枚にも及ぶ近江上布の図案を彫った捺染の柄や近江上布のサンプル用のハギレがたぶん数百種類はあるでしょうか、日本の近代の麻織物の文化を語る資料としては、どこよりもたくさんの資料ではあると思うのですが、今、その一つをプリントで作ろうとしても、なかなか重い腰が上がらないのに、捺染で重ね合わせ染め上げ一本一本柄を合わせながら織る近江上布の特徴の一つである横絣織りで織り上げた織物というのは、作ろうと思うと、満足な、一つの柄が出来上がるまでに数ヶ月の計画ではないでしょうか。それが、なぜ、林与に数百種類以上もあるのか考えると、昔の人の仕事の質の高さに驚かざるおえません。

通常だと時代遅れになった時点で処分してしまって消え行く世界なのですが、それが今の時代まで残ることで、近江上布の栄えた過去を語る一級の資料となります。今の時代の人の感性とは違う、先人の感性で作られた柄というのが、今の時代に見返してもハイカラな感じがするのが近江上布が栄えた理由なのかなあとも思います。これに関しても、いつか、ライブラリー化あるいは製本化して残していければと思ったりもします。
2010年02月20日
今日は、ひこね繊維ものがたり講演会当日です。朝から彦根文化ホールで午後からの講演のための準備をしました。私が担当したのは、組合紹介やファブリカ村紹介のパワーポイントでのスライドです。

今日の講師は3人で、彦根の縫製の作り手側から馬場氏、売り手側から村田氏、そして、ファブリカ村を運営されています北川氏です。3氏とも講演会慣れされておられ、時間が足りないくらいにいろいろなお話をしてくださいました。最後に、決意表明ということで、本物の「ひこにゃん」も組合員として混じっての決意表明をいたしました。ひこね繊維の理事長を中心としし全員でやった、その決意表明が良い感じだったみたいで、いろいろな方からお褒めいただきました。

講演開始までの待ち時間には以前行いましたファッションショーの様子をビデオでながしたり、ホールには昔のファンデーションの歴史を語るブラジャーを展示したり、講演以外でも、彦根に縫製の技術のあることを語れるような会場構成にいたしました。

彦根市市民創造事業として行われましたひこね繊維ものがたりは、「ひこにゃんブラ」、「ゲストティチャー」、そしてこの「講演会」と3つの柱で構成されており、今日の講演会が、最後の締めで、この半年間みんなで取り組んできたことが幕を閉じました。

夜には、会社で社員の誕生会があったのですが、なぜか、誕生日の子がみんなに料理をつくってくれました。普通の誕生ケーキが一番小さいの売り場に残っておらず、カットすると寂しすぎるのではないかと思い、代わりに、いろいろなショートケーキを買ってみんなで食べました。
2010年02月19日
今、バンクーバーでの冬のオリンピックが行われています。冬のオリンピックというと私自身は、私の唯一のオリンピックを見た”長野オリンピック”を思い出します。大学の時の親友が長野の方で、オリンピック見てみたいなあというと、チケットなどを手配してくれて、生のオリンピックを見せてもらいました。

一番、印象的だったのは、オリンピックの競技よりも長野駅近くのお祭り広場です。なんか、みんなが、一体化していて、各国の応援団が、手を前の人の方に乗せ人間の列車がいたるところで走っているのです。私の友人は、オリンピックのボランティアで忙しかったのですが、食事前に一人で長野駅前に出かけていったのですが、なんか訳が分からなかったけど、外国の人から来たという方と友達気分で盛り上がれました。

今回のオリンピックで、一番の話題は国母選手だったのではないでしょうか。私自身は、オリンピック事態が運営者の手により商業化してしまったことに嘆いています。利権が絡みすぎて、なにか大事なものを忘れてしまったのではないかと思うのです。スノーボードという種目を勘違いしていないかと思ったりもします。もともと、ミーハーな遊びの世界で、楽しむことを目的に始まっているのです。それはそれで守っていかないと、スノーボードのファッションなど理解は不可能だと思います。そういうカジュアル、スポーツな世界があってよいと思うのです。

10数年前のオリンピックでは、他国が自由な入場行進をする中で、手を振ることも少なく、世界で一番日本人が、がちがちな入場行進をしていました。そこらあたりが日本がいま各国に追い抜かれてしまった一番の理由だと思うのです。他の国の人たちが伸び伸びとしていながら、実力も出し切れるようなものでないとなりません。形だけにこだわり、大事な本質を忘れてしまった、利権だけによる運営が選手の育成を駄目にしてしまったのです。莫大なお金使って何人ものコーチをつけるような馬鹿をやっていたら駄目です。

オリンピックは、選手の日ごろ磨いた能力を発揮して世界一に挑戦できる場であればそれでいいと思います。失敗してメダルなかってもよいじゃあないですか。メダルほしさに、実力を出し切らないで、失敗しない安全な範囲でやって意味があるのでしょうか。他の人に勝とうとして6人のうちの5人が転んで、一番、スピードのダントツに遅い南国の選手が優勝なんていう偶然的なラッキーがあっても、それはそれでドラマだし、精一杯やった末のことで、メダルを取ったものがどれだけ偉いとかそんな問題ではないのです。

林与もスポーツ選手ではありませんが仕事で麻を扱っています。麻織では日本だけでなく世界一でありたいと思う気持ちはあり、普通では扱えない、織れないクラスのものに挑戦し続けています。海外や他産地で作ったほうが安いのだから…みたいなのは、勝ち組の考え方かもしれませんが、林与は、自分でのものづくりにこだわりつづけてきたので、このままのスタイルを大切にしていきたいと考えます。

日本で、ものづくりの心を、個人の方が持ち続けておられれば、大丈夫ではないかと思うのです。ハンドメイドの意味は、自分で作るところに意味があるのだと思います。林与も同じ気持ちで布づくりをしています。
2010年02月18日
2010年の4月21、22、23日に東京のビッグサイトで行われます。日本のテキスタイルの祭典、ジャパンクリエーションのトレンド、およびエコテキスタイルの素材提出の締め切りで、今日は、一日倉庫に篭って、今年のテキスタイルの色目と素材感を確かめながら提出素材のチョイスをいたしました。

エコテキスタイルの素材は、今回はオーガニックリネンナチュラルシリーズで出してみました。オーガニックリネン糸を使用し、捨て耳の出ないシャトル織機で無糊で、近江上布を育んだ天然の地下水のみ、かつ、天日干しの、とことん天然仕立てなのです。林与が考えるオーガニックだけでなくエコも追求したオーガニックリネンの最終形です。

日本中から、春夏テキスタイルの製造元ならびに卸元などが集まるものの、リネンや麻関連の専門的な企業の出展企業は2社3社ほどで、日本国内で、本格的にものを作れるところがどんどんと消えていってしまっているのを実感いたします。布を作る現場がなくなっているのと平行して、布の企画をできる方も本当に少なくなりました。

昨日は、生地ショップさんが新たにお店を開かれるということでオープニングレセプションのご案内状が届きました。今回はどんなお店なんだろうか楽しみで覗かせていただこうかと思っております。それと、この前東京に行ったときに時間が無く尋ねることのできなかった、1月にオープンされご案内状をいただいていたお店にもご挨拶に伺いたいと考えております。
2010年02月17日
今日は、滋賀県の委託事業の申請に動いておりました。日本の麻織物の本場近江においても、実際にリネンや麻が織られているかというと、私が家業を継ぎ始めた15年ほど前でも、すでに林与が産地の麻織を続けているということで珍しいほどになっていて、それからも、工場と従業員さんを守っておられるところほど廃業が続いて、残った機屋さんというのが本当に探すのが難しいほどの状況です。

今、職人さんというのは高齢化して、引退を伸ばし伸ばしにしてもらっているのが現状です。産地でも次の世代を担う人材が必要なのですが、布や織物に興味をもってくださるような方がおられればと、滋賀県のふるさと雇用という委託案件の提出を行った次第で、ものをつくるだけでなくPRと販売面の充実も考え、麻関連の数千種類の色柄の織物をインターネットで見てもらえるような事業を考えています。地域のNPO団体や組合などに委託されることの多い事業ですので、林与は地場産業の根幹を支えるそのものではありますが、一企業ですので審査などは厳しいであろうと思います。

先日、奈良のほうからの蚊帳っぽい素材の注文をいただいた件をかきましたが、その方は、奈良だけでなく昔からこの産地に注文を出されていたそうです。でも、奈良でもこの産地で織っているところがどんどんと辞められていったそうです。資材系の無地の一番簡単なものですが、それすらも織るところがなくなってしまっているという現状はいかがなものかと思います。見本で見せていただいた織り幅が若干狭目だったのも、あの機屋さんの織機だったからか、と思ったりもしまして、組合などで親しくしていただいていたころのお顔が浮かんできたりもしました。
2010年02月15日
今日は、夜、近くの縫製工場で、ひこね繊維ものがたり講演会の打ち合わせがあり、役割分担などを話し合いました。スライドショーに使う写真などの検討もいたし、組合にある昔に展示会で使った、世界の時代衣装というものの箱の蓋が何年ぶりくらいに開けられました。

エジプトのスフィンクスの時代の何千年前の衣装とか、ヨーロッパの17、18,19世紀の衣装などがたくさんあり、どれも、鬘とセットになっており、鬘をマネキンにかぶせて衣装を着せると、世界の時代衣装の博物館が出来そうな感じです。

昔の時代の衣装に驚いたというより、それを何十年も昔に、展示会のために作ったというのが昭和の時代の人々の熱意ではないかと思うのです。売れるものでもない時代衣装を展示会を見に来てくださる方を楽しませようと作られたのです。

昭和の縫製工場を偲ばせるアルバムが3冊ありまして、それを拝見していると、昔という時代は余裕があったんだなあと思います。ものを作っている人が主役だみたいな時代ですね。不思議に思うのが、アメリカでも社員旅行見たいのはありませんし、中国でもありません。会社が家族みたいなのは日本独特の文化ですね。

今、リネンの見本つくりに着手しています。上海の展示会、ジャパンクリエーションまでに、30種類くらいの先染のマス見本が出来上がる予定で進めており、私自身も大変ですが、すごく楽しみにしております。ご興味のあるアパレル、生地屋さんなどお問い合わせくださいね。
2010年02月14日
林与のフラックスの原産地に関しては、ベルギー産やフランス産を使用ということにしてあります。これは、ベルギーとフランスのフラックスの産地は国境を隔てた隣接した地域であり、大手のフラックス工場などでもベルギー産とフランス産の区別をせず、ヨーロッパ産フラックスを使用したリネン繊維という形で輸出していたりしているため、紡績会社もそのような説明しか正直なところできないのだろうと思います。

通常、リネンの紡績会社というのは大規模ですので、原料の購入元が1社というわけでなくたくさんあり、その時々で、購入元に任せてベルギーやフランスの原産地証明を取って原料を輸入することになります。というわけで、その時々によって、ベルギー産であったり、フランス産であったりで断定が難しいという理由もあるのではないかと思います。ロット番号から、どこのどのロットのファイバーを紡績したかは分かるとは思いますが、品質を安定させるためにミックスして使うことも多いのではないかと考えます。一流のメーカーほど、生成など色味がいつも安定しているのはロットごとの色の差を抑える方法が取られているはずで、そうしなければ、フラックスのロット差から生じる、リネン糸の生成の色の差や品質の差は大きくなることになります。時期を隔てて、広範囲からの原料をミックスしたほうがより長期的な安定が計れます。

糸の場合、安定性を重視するシリーズと品質を重視するシリーズとは別物です。品質を重視するシリーズというのは、たまたま良いロットがあれば出来るのであって、毎回同じレベルものができるとは限りません。林与がアパレル向けに使うのは、品質の安定性を重視するシリーズの糸です。本番の時、見本と同じように色が染まり、風合いも同じに仕上がらないといけないので、糸のロットが違っても、安定して再現性がなければならないのです。追加の注文が入っても、同じようなものが出来ないといけないのです。見本を作ってから何年か後に本番の注文が入ることもあります。何年後にも再現性が必要なので、林与では、スポットで出てくる継続性のない糸は安かったりするのですが基本的に使わないことにしています。林与が特殊な糸をあまり使わないのもそこにつきます。特殊な糸というのは、メーカーが単発的に作ることが多く、何年か後にお客様が生地見本を気に入って下さり、着分がほしいということになっても、糸が廃盤になってしまっているということが多いのです。

話を原産地の話にもどしますと、今、EUという概念で考えると、EU域内でのものの動きというのは自由になっているはずですので、EU域外へのものの動きの際には原産地証明がついてくると思いますが、フラックス原料にしてもEU内では自由に動いているのではないでしょうか?最終的にEU域外へ出るときにベルギーかフランスのどちらからでてくるかという問題ではないかと思ったりするのですが、このあたりは、海外の展示会などで機会があれば、フラックス関連およびリネン紡績関係者に尋ねてみようと思います。

私自身思うのは、ヨーロッパの人が品質表示、物性、原産地に関してピリピリしているとは思えないのです。働きすぎこだわりすぎは罪だみたいな限界まで管理しきらないところに、ヨーロッパらしさがあると思うのです。ヨーロッパで品質の良い電化製品ができないのはそのあたりだと思います。逆に、その自由さからデザイン文化が花咲くのではないでしょうか。

今日のリネン日記は、私の想像の部分も多いので鵜呑みにはしないでいただきたいのですが、日本のメーカーはリネンを紡績はしていませんので、海外のリネン関係者しか本当のところは知らないことになります。海外の一流のリネン紡績メーカーが、日本の紡績メーカーのように品質を安定させるための手法をとっているとすれば、リネン紡績メーカーの定番シリーズ糸に関しては、フラックスの原産地というのはミックスされているのではないかと思うのです。
2010年02月13日
春夏のアジアの国際テキスタイル展である、香港で3月17日から19日行われますインターストッフアジアエッセンシャルテキスタイル展に、林与が昨年の春、スズキタカユキさんとのコラボで作っていただいたリネンブラウス、リネンハーフパンツを展示していただけるお話をいただき、お預かりさせていただいております作品のほうをJFWジャパンクリエーション事務局のお送りしました。

オフを紅茶染したリネン100番手と林与のリネン40番手ヘリンボーンを掛け合わせたリネンブラウスと林与の定番素材であるリネン25番手をハーフパンツという組み合わせで、林与のリネン違う表情を掛け合わせていただいたにもかかわらずトータルなコーディネイトが魅力的なボディで、カジュアルな中に、繊細さ、上品さが漂う作品で、スズキタカユキさんのブランドイメージを林与の素材で表現していただいております。

世界を代表する国際テキスタイル展のひとつで、日本製テキスタイルをPRするコーナーで林与のリネン素材を使用したボディを並べていただけるのは非常に光栄な話です。リネンというアイテムは、世界のエコなトレンドの中で注目されている中でも展示会ですので、ジャパンクリエーション2010SS展の時と同様に、たくさんの皆さまにご覧いただけるものと思います。

林与は、時期的な関係などもありましてインターストッフアジアエッセンシャル展にはブース出展はしないのですが、インターテキスタイル北京のほうに出展を計画しており段取りを進めております。リネンの通年化プロジェクトのほうも始動してはおりますが、得意とする春夏だけに、今の時期、林与の思いは特別です。数年計画で進めているリネンのコアプロジェクト4つの発表と評価の場にしつつ、リネンや麻というものさらに深く追求して行きたいと考えております。
2010年02月13日
林与が、本場近江で麻織を続けていられる背景には本物指向だったことがあります。麻に関しては日本の麻業界に置いても代表できるようなものを作りたいという思いで、近江上布の時代からものづくりを続けています。買われる方からすると関係がないことかもしれませんが、林与のものづくりの背景には日本の麻の歴史に培われた技術があり、今の時代の麻織物、将来の日本の麻織物をどうクリエーションしていくかという大きな課題があります。世界は小さくなりつつありますので、世界規模で考えていかねばならない時代かもしれません。

私が家業に入った15年ほど前でも、麻の組合などでも「もうこの産地で麻を織り続けているのは林与さんくらいだ」と皆さんにいわれていたのですが、若かった私は、そのことの意味に気がつかずに「そうなんですか」と自分で作るのが当たり前のことように思っていました。麻以外のほかのものをメインにやっておられたところや資材系のものをやっておられた機屋さんなども廃業されていき、産地で織り続ける麻機屋として小さいながらも産地の大表格になってしまいました。

本物指向を貫こうと、品質にこだわれる高級ゾーンが主体となっており、そういう商品を見ていただいて、他の機屋さんの麻よりもきれいだなあとか、高級感があるなあとか感じていただけるような何かがなければないとおもっています。最近はカジュアルリネンも作り始めていますが、そういうものでも、カセ染めした糸を使用するなど、通常だと分からない程度の違いを大事にしています。縦糸で糊付が必要だからカセ染めにするのではなく、品質重視で、縦に使おうが横に使おうがカセで染めるという林与が林与であるがための高級指向のためです。カジュアル向けのリネンでも、林与のリネンが市販のリネンと違うのはそんな理由です。

多くのみなさまに、本場の麻機屋として大事にしてもらえることはありがたいです。林与自身の織物の歴史が、産地の明治以降の織物の歴史の大部分と重なり、しかも、今も麻を産地で織り続けているということで、他で作られる麻織物とは違い、近江の麻織の歴史を一日一日綴ってるのがこのリネン日記だったりするのです。

新しいものを作るとき何度も何度も試作の繰り返しです。ものづくりの過程で、ちょっと売れないなあと思う布も作れたりするのですが、ものづくりをしている私ですので、そんな布も私にとっては意味のある大事な布で、そういう布にこそ思い出がたくさん詰まっており、財産として売れるもの以上の価値があると思い、たくさんの試作布を手元に眺めながらのものづくりです。今の時代、右から左にものが簡単にものが出てくるので、オーガナイザーやセレクターという人は多くなってきていますが、本当に経験をつんだ基礎から新しいものを構築できる本職というのは減るばかりです。自ら経験するというものづくりの基本の重要性に気がつける人は少ないです。

ものづくりに関しては、そのハードルの高さは高ければ高いほど良いのです。もともと滋賀県に麻織が集中していたのもそのあたりの事情で、本来、織物としては高度な技術が必要だったのです。伊藤忠、丸紅の起源である伊藤忠兵衛が、滋賀県と京都の逢坂山を越えるときに、もっと険しければ良いのになあと言ったのと同じ理由です。
2010年02月11日
今日は、会社は休みでしたが東京でアパレルさまの展示会の招待状をいただきまして、お会いするために向かいました。2時間ほど早く東京には着きまして予定しておりましたほかのショップブランドさんの店頭を見るということもさせていただきました。

カジュアルなショップブランドさんのお店は、若い店員の方がおられ、お客だと思われたまま話をしているとギクシャクするかと思い、最初に、今店頭にも林与の布を使った製品が並んでいることを説明し、来年の商品開発のためにショップと商品構成のイメージを掴みたいのでお伺いしましたということを伝えてから見せていただきました。

商品構成や内装などにも感心するところは多いのですが、それ以外に、そのブランドさんの店員さんの対応のすばらしさには驚きました。どの店舗でも対応にやさしさみたいなものが感じられ、その店舗を見せていただいてありがとうございましたとお礼をいうと、お客でもないのに、ほかの姉妹店にも立ち寄り、ぜひ見ていってくださいと勧めてくださります。どの店舗でも同じような親切な対応で、私自身を暖かく迎えてくださっているのが伝わってきて、人気の秘密は商品だけではないというところに気がつきました。

2時間ほどがあっという間に過ぎてしまって、レディースのアパレルさまの展示会のほうに伺ったのですが、担当の方がお待ちくださっており、お客様の対応も大変なはずなのにじっくりと1時間ほど、来年の商品のコンセプトや各商品のポイントを教えていただきました。展示会を見せていただいてよかったなあと思うのは、そのブランドのすべての商品に共通する欠いてはいけないコンセプトみたいなところを理解できたような気がしたのです。

布の状態からどのようにして最後の製品になるのかまでを、一つ一つ説明いただいて、私自身がそのブランドのために布を作るときに気をつけなければならないこと、商品開発の可能性の部分がピンポイントで見えたきがしました。展示会ということで、お客でもない私が長居をしてはお邪魔になるかと思い、雑談などせず、商品を順に説明していただいただけなのですが、いろいろなものがあって一通り説明してもらうだけでも1時間ほどお時間いただいた形になりました。

自分が布をつくるときに、そのブランドで布が採用されるポイントやどのような工程で布が服になるのかを想定して布を作れるというのは、布を作る側としても提案もしやすいので、展示会を見させていただきよかったです。帰り際、会場を見渡すと100人ほどはおられると思うのですが、私以外はほとんどが女性の方ばかりでした。
2010年02月10日
今日は、講演会の打ち合わせで、ファブリカ村に、ひこねの組合の150年祭実行委員会委員長と一緒にお邪魔しました。陽子さんと妹さんがいてくださり、講演会で使用する画像や、陽子さんと理事長のトークアンドトークの簡単な打ち合わせを行いました。

縫製の話もさることながら、麻の話になると、どうやって盛り上げていこうかということを私も北川さんもあれこれとしゃべってしまって、長居させていただきました。講演会のほうも日にちが迫ってきましたが、ぶっつけ本番的なところが多いので当日たくさんのお客様に来ていただけるのかなあという、心配100%みたいな状態です。

写真など選ぶときに、ファブリカ村や湖東繊維協同組合ならびに愛荘町の麻コレクションの写真などを見せていただいたのですが、きれいで楽しそうな写真が多く、その写真を説明してもらうだけでもあっという間に時間が過ぎてしまうのではないかと思います。

今週末、来週末とイベントを行われるそうで忙しくしておられるようです。少しですが、お昼ごはんの前に基本的な草木染についての確認のために草木染のことを陽子さんと話しました。やはり、私がお会いする染関係者がもつ草木染に対する認識というのは同じで、私の認識と同じところに落ち着きます。

草木染風と昨日の日記にかきましたが、同じようなことを陽子さんも今日言っておられました。地元の染工場さんも、京都の染工場さんも、京都の川島テキスタイルスクールの先生も、100%の草木染に何度も染め重ねる以外に魔法はないという結論です。太陽に当てて耐光堅牢度を落とす方法ではほんとうに色がなくなってしまうということです。草木染は洗濯機や洗剤に弱いということですので、手洗&水洗いで丁寧にとおっしゃっておられました。そういう手間を楽しむのが、草木染のひとつの贅沢ということだそうです。

一年以上かけて作られたファブリカ村のブックレットを今日もいいただきました、ブックレットひとつにも北川さんの思いが強く入っており、プロデザイナーの方と徹底的に煮詰められて、子供が見て楽しめる絵本のようなものであってほしいという気持ちで作られております。
2010年02月09日
今日は、日本のテキスタイルの祭典、ジャパンクリエーション2011SSのデザイナーズコラボ素材の提出締め切りです。2010SS、2010AWと続けてデザイナーズコラボのほうさせていただき、たくさんの方に林与の素材をご覧いただきました。今回の2011SSは、募集枠数が少ないので、続けて2回参加させていただいたので、多くの企業さんが参加されましたら辞退してもよいかと思っています。

林与は、とりあえず、ほかができないことを提案してみようと、この1年近く力を入れてきたオーガニックリネン素材を提出してみたいと考えています。林与のPROシリーズとナチュラルシリーズのほうをオーガニックリネン素材として提出します。細番手のオーガニックリネンなので、メンズシャツやレディースアイテムに良いかと思っています。オーガニックリネンに関しましては、オーガニックコットンと比べると、リネン業界は遅れ気味ですので、積極的なプロモートが必要ではないかと考えているところです。

オーガニックリネン糸というのは、いろいろなところから出始めていますが、国際認証機関による認証の取れたものというのは、まだまだ非常に希少な存在ですが、実際に織ってオーガニックな加工にしてしまうとあまり良いものには見えませんので、林与はアパレル向けに通用するように通常の加工を施したPROシリーズを出しているのです。

オーガニックリネンを草木染するケースも検討はしておりますが、アパレル向けはどうしても耐光堅牢度の問題で厳しいところがあります。草木染風のことを草木染と謳うケースがあるのですが、実質化学染料9割みたいな染なのでそれに草木染としての価値があるのかどうかが迷うところです。
2010年02月08日
近くに、非常に気合が売りのラーメン屋さんが国道沿いにあります。いつも朝11時くらいに朝礼を外でやり、大きな声で、「おはようございます」「いらっしゃいませ」とか掛け声をかけながらやっています。たまに社員と食べに行くとお釣りを渡してくれるときにも、若いお兄さんが、私の手を包み込むように握りながらお金を渡してくれるのです。なんか、熱いお店だなあ、と思いながらも、社員教育には感心しました。

同じ経験を宅配便の受付で経験したことがあります。荷物を出したあと、お金を払ってお釣りをもらうとき、いつも私の手をしっかりと握りながらお金を渡してくれるのです。こちらは女性の方でしたが、誰が教育したのでしょうかわかりませんが、もしかすると、その前に情熱のラーメン屋さんで働いた経験をもっておられる方なのかと今ふと思います。

不思議なことに、そういう人というのは仕事の一つ一つに丁寧さがあり、しっかりと仕事ができます。手を握るにしても、普通ではないということを認識しての緊張感を持ちながら仕事として行っているに過ぎないとは思うのですが、仕事を緊張してやれる人が今の時代少ないので、非常に大事なことなのかなあと感じます。

同じようなことを、出入りの運送屋さんも行っていたのを見ます。夜に荷物を取りに来たときにでも、荷物を載せた後、集荷の伝票を事務所前に置いてから、3歩ほど車のほうに戻ってからわざわざ事務所のほうに振り向いて、誰もいない事務所向かって、深々と一礼をしておられるのです。たまたま、見かけたのですが、誰も見ていないところで礼を尽くされている姿勢には感心するものがあります。荷物を遅くに運送屋の集配センターに持っていっても、歌を歌うかのように「エーイ、エーイ」と掛け声をみんなで掛けながら作業をしておられるのも、他人がみれば体育会系の乗りで異様な雰囲気ではありますが、それができる姿勢を保っておられるから、仕事に対する自覚というものが生まれてくるのではないかと思います。