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リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記2010年3月
2010年3月
リネン日記:30
2010年03月31日
オリンピックも終わった北京という場所は、ものを作る場所ではなく、独立のエージェントっぽいタイプの方がたくさん動いておられます。そういうのを活用しているのが外国企業で、今日もお客さんに交じって1時間に2人くらいは中国の織物の会社の人だったり、糸の会社の人が来られます。展示会に出ておられる中国市場をターゲットにしておられる外国企業のほとんどが、商社化していて、中国で生産をしているところがほとんどです。

日本の大手さんのものは中国の一般的な価格帯での販売をされていますので、一般の中国人の方にも中国のものと同じ価格で変わったものが買えるということで大人気です。日本のものは中国企業でも普通に手が出るという感覚が浸透しているので、日本のものが高いというイメージは北京ではないようです。ちょっとショックです。今回の日本企業の出展企業の中で、メイドインジャパンの素材を扱っているところというのは、林与を含め2社ということでした。メイドインジャパンの素材というのは、日本国内でも少なくなってきていますが、世界ではほとんどPRされてはいないので、それを国際的な展示会に並べることは大事ではないかと考えています。

展示会全体を主催されていますドイツ本社の方も弊社ブースに来てくださいました。展示会のトレンド素材のコーナーをみていると、リネン100%みたいなのは、林与のだけではないかと思います。ヨーロッパ企業も麻の提案というのはもちろんあるとは思いますが、中国市場では値段的に話が進みにくいので提案しないのかもしれません。こういう大きな国際展示会においてもハイクラスなものが見られないというのは残念なことです。

林与のブースですが、ブースの前のカウンターには、シャトル織機の動いている様子の動画と、リネンデニム、リネンハンカチ、リネンストール、リネンシャツを並べ、手にとって見てもらえます。今日は、リネンハンカチは3人ほどが興味を示してくれました。140番手のアイリッシュリネンストールは、作っている林与自身でも本当に特別な世界です。

お隣のブースの大手生地商社さんの中国の展示会を取り仕切っておられるお二人の方もお話しする機会があり染の話を伺ったりしました。サンプルを好きなだけ持って帰れるようにスワッチサンプル帳をカタログのように自由にお取りください状態なのは、太っ腹だなあと思いました。中国の方相手でも、すべてストックされてもたれているから話が進みやすいということだそうです。

夜は、中国のみなさんと食事を地下鉄に乗って王府井という場所にいって取りました。百貨店が立ち並ぶショッピング街です。昔の風の屋台村のようなセクションも残っており、そこで食事をとりました。マトンの長い焼き鳥みたいなものが、1本40円くらいですがおいしかったです。帰り道を迷って、5人でぶらぶらと夜の北京を歩きました。安全で雰囲気が日本の京都と似ているなあと思います。

不思議なことに、地下鉄に乗っていても、中国人から声を掛けられ道をたずねられたり、今日一日だけでもなんども中国人と間違えられてしまっています。これは、私が中国人に見えるというより、中国の人の来ている服や髪形などが日本化してきて、私自身、中国の人を見ていても日本人っぽい外観の人が多いなあと思うのです。日本で販売されているブランドのものも含めて洋服のほとんどが中国製になりつつあるので、日本人と中国人の着るもののレベルが同じになってきているのを感じます。
2010年03月30日
今日は展示会初日で9時にオープンなのですが、入り口での3重くらいの荷物検査などのチェックが行われ入国検査以上に徹底したビジターの管理で、実際に4号館ともなると最初のお客さんが来るのは10時半過ぎとかでした。それまでは、出展企業のセールスマンが林与にもリネンやコットン関連のセールスに来られました。

5号館入り口付近には、厳重な警備の来春夏のメインの国際トレンドゾーンというのがあって主にヨーロッパの素材を中心としたたぶん300から400点ほどの生地が展示されていました。林与がフランスの展示会のエージェントに送った20点ほど生地のうち10数点以上がセレクトいただき展示されていて、ここにもある、これもあるという感じで、世界の権威あるトレンドメーカーの方にたくさんピックアップしてもらってて驚いています。ありがたいことですね。

林与の生地に興味を示してくださったお客さんで、実際にお話が進みそうなのは、麻のものを求めてヨーロッパから輸入されてるような業者さんになるかと思います。でも、中国の北京で麻のみを扱われている方が、リネンよりも、日本の本麻手もみに興味を示されたのは驚きでした。中国に本当に目の肥えた方がおられたのが驚きです。上海では、本麻に興味を示される方というのはおられませんでした。

日本のセクションには、日本でも有名な大手の生地商社さんのブースが数社ありました。中国で製造を主にされ中国製キバタや中国製生地を主体に扱っておられるため、値段が手ごろということで中国服飾メーカーに大人気で、日本ブースのセクションは現地中国のメーカー関係者の注目を浴び非常に熱い感じでした。

北京で一日北京の方と接しただけで、上海とは違う雰囲気を感じました。本当にステレオタイプな国民性が残っているかと思います。上海がかなり国際化を目指して、日本の東京以上に旅行者に対しても快適な空間を作り出しているので逆に日本人としては焦りを感じていたのですが、首都北京のまだまだ昔の中国っぽいイメージも体験することができました。中国の方に同行してもらっていてもタクシーに乗るのが上海以上に難しかったりするので、中国も地域によって違うものだなあと思いました。
2010年03月29日
今日は、朝早くに家を出発しまして、サンプルをたくさん抱えながら関空を出発しました。北京は初めてだったのですが、滞りなく出口で通訳さんと会うことができ、まずは、荷物としてのサンプルがたくさんあったので、展示会場の準備に行きました。

中国国際博覧中心(CIEC, CHINA INTERNATIONAL EXHIBITION CENTER)は、想像よりもこじんまりとしているなあというのが最初の印象でした。お客さんの立場から考えると会場を一日あれば回りきれてしまうのではないかというのが印象です。

準備のほうは2時間ほどで済みました。コーナーブースを与えていただいたこともあり、一こまながら広々とした感じです。また、日本ブースではいろいろな配慮があり、桜のピンクで統一され、日本企業の出展であるということを印象づけ、日本製のものを探しているお客様には来てもらいやすいのではないかと感じました。

ホール5に脚を運んで、イタリアブースの大掛かりなブース作成には、力の入れようを感じました。私自身は、リネン生地に関しての情報がほしかったのですが、中国以外の国の出展ではほとんどリネンアイテムというのが見当たりませんでした。

合間に、ヤーンエキスポも同時開催されていますので、その会場のほうにも脚を運んで準備状況を確認しました。展示会の警備が厳しすぎて、他のホールの入り口でも3人4人の警備員が立っている間を通って、ホール内に入らないといけないのはすごく不思議な気分です。中国企業ですが、リネンの糸の会社もたくさん出ていました。

会場の飾りつけが終わると、手持ちで持ち込んだ荷物のほとんどがなくなり、身軽になって裏出口すぐの場所で食べ、ホテルに向かいました。チェックインしようとしたら予約ができていない(通訳の人は携帯でメールも確認しているので、たぶん、ホテルがダブルブッキングかな?)ということで、北京オリンピックの行われた「鳥の巣」近くのホテルを案内されました。わざわざ展示会場に近いホテルを探したのに、展示会場にすごく遠いホテルから毎日通うはめになりました。
2010年03月28日
林与が3月29日からインターテキスタイル北京に出展いたします。そのお祭り気分を味わっていただこうと3月29日から3月2日の間セールを計画しています。楽天さんへのお店のオープンも3月29日には控えておりますので、こちらのほうを1日優先してセールをスタートいたします。(次のセールはジャパンクリエーションと合わせた時期を計画しています。)発送等が3月3日以降になり、ご不便をおかけいたします。

夕方、ジャガードのレピア織機の別の部分を再調整いたしました。糸を切る機構の強さの調整と高さの調整です。織物を作るときにはいろいろな問題が起こりますが、機械というのは正直ですから、調整の悪いところを正しい位置に戻してあげると問題がクリアされることが多いのです。

ある問題を直そうとするときに、別の場所で調整して何とか織れていても、他の織物を織ると、また別の問題がその織機では発生いたします。織機の不具合というのは、基本的に部品が消耗したとかが原因であるというよりも、消耗した部品を交換した時の取り付け方が悪かったり、なにかを調整したときに本来調整すべきでないところを調整した問題が、後々出てくることが多いのです。調整が出来るということは非常な利点なのですが、その調整ができることが、部品をはずして再度取り付けるときのアダになることが多いのです。

織物という産業は、織機を守った一つの世代が終わると衰退してしまうことが多いのです。紡績に関しても同じことです。今の中国の紡績を支えているのが、実は海外の技術者たちで、その人たちがいなくなれば高い品質はすぐに守れなくなります。ヨーロッパや日本の技術者たちはもう自分たちでものを作らなくなってしまっているので、今の世代がいなくなればまた中国の紡績技術も、将来、衰退する可能性は高いです。一人二人の技術者が工場全体を監修していることが多いからです。中国企業というのは、ノウハウだけを得てあとは自立するということを行いがちなのですが、それが品質を維持できない問題であったりもします。
2010年03月27日
昨日の夜は、ジャガード織機を調整していました。今回もチェーンの問題で、一コマ分詰めるという作業をおこないました。ドビー織機と同じで作業自体は単純なことなのですが、サンダーで鋼鉄のチェーンを切断したりと、鉄工所のような作業が必要です。

リネン100%をジャガードで織るのは、切れやすいリネンだけに、織機を戻さないといけないので段ができやすく大変だったりします。だから、リネンのジャガード織物というのは世界中でも出回っているものが本当に少ないのです。

今年の新作の第3弾にリネンジャガードも加えようと今製作中で、これも、ジャパンクリエーションまでには出来上がるのではないかと思っています。ジャガード織機というのは、無地ライクながらも薄っすらと模様が入ってエレガントな感じになります。今後の展開としましては、花柄や草木の柄などをも配していこうかと計画しています。

ジャガード織機で織る利点は柄の問題だけではありません。ジャガード織機は一本一本が糸でつるされたソウコウを通っているので、糸のテンション管理の自由度が高いのです。縦糸のテンション差の大きい織物など特殊なものを織るのには非常に良い仕組みで、林与がジャガードを大事にしている理由の一つがそこにあります。

ジャガードは糸切れの処理がより複雑になりますので、通常でも織り段が出来やすいのですが、さらに、2重織で裏が見えない状態で織物を織り進めて行きますので、織りの技術は必要です。
2010年03月25日
細番手の本麻織物を手にされた方というのは少ないかと思います。実際に百貨店店頭などで売っているケースが少ないからです。甚平や作務衣などは高級なものでも通常60番手あたりを使用します。耐久性がより重要だからです。番手が太いとその分着ても暑くなるのですが、コンニャク糊加工などを施しラミーの毛羽を押さえた甚平は、夏着ていて非常に涼しく、エアコンの聞いた部屋では寒すぎるくらいです。

なぜ、高価なコンニャク糊を使用するのかという疑問に関しては、合成糊では粒子が大きすぎて、ラミーの細番手の糊付けには適さないから、天然のコンニャク糊を使用するのだということを聞いておりますが、先人たちがいろいろな手法を試して残った王道であるのかと思います。

先染の黒の本麻が光沢感があり、きれいなのにはそんな秘密があります。呉服の世界で使われるような贅沢をアパレル向けの素材に使用しているのです。縦糸にはコンニャク加工糸を使用しますが、横には糊のついていない糸を使用いたします。これにも王道的な手法で、横糸にもコンニャク糊を付けたからといってより良いものができるわけではありません。

このリネン日記をごらんいただいている皆様は、林与だと横にもコンニャク糊をつけたものを織って、より高いグレードを目指しそうと思われるかも知れませんが、出来上がったときのものの風合いをみて良し悪しの判断をしていますので、横糸には基本糊なしのラミー糸を使用いたします。(実際、やってみて風合いが良くなかったです。織物の横糸は基本やわらかくないと、織あがりも硬い織物になります。)

あと、ラミーの場合は、毛焼という工程が非常に重要です。毛むくじゃらの本麻織物も存在することは存在するのですが、服として着るのは厳しいです。ラミー織物の仕上において、毛焼は非常に大事だと思います。
2010年03月24日
今日、2010、2011SS向けのサンプルの第2弾の加工出しを行いました。インターテキスタイル北京に間に合うよう、急いで上げてもらえる様に加工屋さんにもお願いして、北京に持ち込んで、日本製のリネンテキスタイルのPRをしてきたいなあと思います。

総マスをハンガーにしたので一つ一つがかなり見ごたえはあると思います。リネンのナチュラルテイストなカラーリングのものや、黒など原色系の濃色のものは多くあるのですが、淡いトーンから明るい目の中間色を配したレディース系のきれいなものをいくつか企画してみました。

上海の飛行機は、JALで持込が20kgまでなので、ちょっと厳しいかもなサンプルの量です。今回も林与の看板を持ち込みますので、それが掲げられるかどうかがポイントの一つです。展示会は、商談もあるかもしれませんが、大きなお祭りなのでそれぞれの楽しみ方があってよいかと思っています。

今日新聞で、プルミエールビジョンジャパンについて記事を読みました。今回で3回目だそうですが、ヨーロッパ方面からはスペインとトルコが出展で28社が集まる展示会だそうです。まだまだ、これから顔ぶれも増えて成長していくのではないでしょうか。

プルミエールビジョンのすばらしいところは、普通の素材というのが少ないところです。創作的なテキスタイル素材が集結した展示会なので、オリジナリティのあるハウステキスタイルをつくるような高品位かつ企画力のあるメーカーの出展が多いです。林与は、小さいながらも、世界的にもリネンと麻の世界では歴史的に見ても重要性があり、高品位かつ特殊なものを扱っているので、プルミエールビジョンなどの道も選択としてはあるのではないかと検討を考えています。
2010年03月23日
今日は午前中に加工出しの準備をしまして、午後からは来客がありました。最近のエコ、ナチュラルブームで、リネンや麻という素材は注目度が増し、いろいろなリネン企画を立ち上げようと動かれている方も多いです。

今日も夜には、織機の調整を行いました。昔の織機というのは何十年も使えるので、自分自身でメンテナンスを行わないといけない部分も多いのです。今日の場合には、織機の主軸の回転をドビーに伝えるチェーンが伸びてしまって、そのチェーンのコマをひとつ抜いてあげるということを行いました。同時にドビーの開口のタイミングの調整もしないといけません。

織機を作った人というのはすごいなあと思います。いろいろなところを調整する仕組みを機械に持たせて、長く使えるように設計してあるのです。不思議なのは、今の自動車や家電製品にはこのような調整の機構がないところです。そういう製品というのは、悪くなったら交換という仕組みで長くは使えないのです。

同じ織機でいろいろと織ることはできるのですが、その都度の変更や調整を考えると、この織機はL25番手専用、この織機はL40番手専用、この織機はL60番手専用、この織機はL100番手専用としておいたほうが、機の乗せ変えも少なく、見本を作るために多種多様なことがやりやすいのです。

ものをつくるというのは、新商品の企画だけでなく、それをつくるための設備や人材を維持し、ものづくりできる環境を守るという部分がなかなか大変なところです。でも、その分のメリットとして、自分の作りたいものが作りたいだけ作れるという贅沢があります。
2010年03月22日
リネンに関しては、日本国内で出回るアイリッシュリネン、フレンチリネン、ベルギーリネンと呼ばれているアパレル製品や生地の十中八九が中国やアフリカで紡績されていますが、ラミーに関しては、まだ、国内紡績のラミー糸が存在しています。

最近の危惧する問題としては、昨年までは、中国ラミー糸では発生して、国産ラミー糸ではクリアできた問題が、今のロットに関しては、国内紡績ラミー糸でも中国紡績ラミー糸と同様の問題が起こっています。リネンにしてもラミーにしても、同じ銘柄をとっても、昔と比べると糸の品質が落ちてきているのは事実なのですが、中国紡績糸だから問題があるから使えないと言っていたのが、とうとう、同じ問題が国内紡績糸にも起こり始めています。

これは、1回だけのことだけでなく、セカンドトライで、2度の違う糊付工程、染色工程を経て同じ問題が起こったので相当シビアな問題だといえます。中国糸同様、原料の質の低下で、紡績の均一性というものが取れなくなってしまっているのだと思います。昨年までのロットでは問題がなかったのに、今のロットは、昔のようには使えなくなりつつあるようで非常に不思議な現象です。品質の低下を危惧していましたが、縦横ともラミーの細番手使いに使うことが難しいというレベルになってきており、当面は、中国紡績糸と同様に縦綿のものの横糸に使うなどの配慮が必要かと考えています。


数年前に、ラミーの細番手クラスの問題で、横糸使いですら、どこもがトラブラれたような話を聞いておりますが、その部分を林与では織の技術でカバーしています。今は、ラミーの細番手を織るのにラミーに水溶性ビニロンを巻くという手法が増えてきていますが、仕上がりの違いを重視して、林与の本麻手もみは何十年も変わらぬ一本糊加工という工程で作り続けております。

余談になりますが、以前、中国の紡績メーカーの依頼で、中国紡績のラミー糸をテストしたことがありました。見た目はしっかりとした糸なのですが織ってみると完全に駄目で、リネンの細番手を縦にしても横糸使いで問題が発生し織れないのです。テスト結果を報告したところ、あっさりとあきらめて在庫を全部廃棄するということにしたそうです。以前、韓国の綿麻の糸も依頼を受けてテストしたことがありますが、なんか、粉っぽかったです。

ラミーにせよリネンにせよ、通常に使っているのが品質の安定性を重視した原糸がほとんどなので、他の銘柄を使うと、良いにせよ悪いにせよ、その違いというものが良く分かります。また、安定した銘柄の糸なので、ロットごとのばらつきが少ないので、ロットごとの微妙な品質の違いに敏感でいられます。染などでも同じです。リネンを同じ黒に染めても、糸のロット、染めロットによって微妙に糸の癖が違ってきます。毎回毎回、良し悪しを判断しながら使っているのです。こんなわけで、同じものを作ろうと努力はしておるものの、同じ品番の布だから毎回同じということはありません。それが、天然繊維のよいところでもあり、作るのが難しいところでもあります。
2010年03月21日
3月のリネンプレゼントは、月末はインターテキスタイル北京で不在ですので、4月3日ころに抽選を行います。登録会員様ならびにメルマガ登録されている方が、抽選の対象になります。3月のリネンプレゼントは、リネン66番手生成ソフト仕上2Mです。薄手の素材で、ワンピースなどにおつくりになられると良い感じのものが出来上がると思います。

今日は、午後から臨時の評議委員会というのがあり自治会の会議にでました。会議は今年度の予定をアナウンスしていただくためのもので1時間ほどで済み、そのあと、草の根ハウスの廊下の壁に東円堂の古い地図が貼ってあったのが目に入りました。明治6年の東円堂村の地図で、水路など今は道の下に埋まってしまっているものを頼りに、林与の場所を探してみました。

東円堂という村自体の家の場所の感じもこの150年ほど大きく構成は変わってはいないので今の場所を見つけるのは難しくなく、村のことを良く知っておられる方も加わって昔話に花が咲きました。私自身の小さなころの思い出と重なる部分が多かったのです。

70歳くらいの方が、ほんとうによく昔のことを覚えておられるのには頭が下がります。豊国村の前が何だったのか知りたいなあと思っていたので、近江国愛知郡東円堂村だったということが分かり、その頃の地図まであるというのは驚きでした。
2010年03月20日
今日はすごく春らしいお天気です。桜ももうすぐな感じですね。土曜日ながら京都からお客様がお見えになられました。自転車で京都から60kmを片道3時間掛けて生地を探しにこられたのです。昔、近江商人が天秤を担いで近江と京都の間を行き来した話を思い出しました。

今日は、マス見本の柄を作っています。リネンの細番手とリネンの太番手を掛け合わせてインパクトのある感じのストライプ柄を作ろうという試みで、実際にいくつかの柄をテストしてから本格的な見本つくりに移ります。

最終的に新しいマス見本の柄を4柄考えました。ギンガムっぽいのとチェックっぽいの無地っぽいのヘアラインっぽいのです。カラーは淡いトーンと濃いトーンで、ビビッド系は今回のマス見本ではドロップしました。

このあたりまでが北京の展示会に新柄として持ち込め、日本のリネンをPRする材料になるかと思います。新しいマス見本だけでハンガーバー2本分くらいになってしまいそうな感じで、同じリネン100%でも、林与らしい色華やかな展開をいたしました。寒いときに色柄を考えるとどうしても色が秋冬の色になったりしてしまうので、今日のような春の陽気の中での見本は良い感じになるのではないかと期待しています。
2010年03月19日
インターテキスタイル北京が迫ってきて、上からのブースの設計見取り図がファックスで送ってきました。なんだか、マニュアルにあったスタンダードのパッケージとも外観がちがって、コーナーブースなのに両再度に壁があるのかと残念に思って、これは困ったものだと思って問い合わせをしてみました。結局、壁だと思った2面はオープンで一番良い間取りに設計してもらっていることが判明で、上海のブースを施工するエージェントにも確認をとって、ブースの中に何をどのように配置するかが楽しみです。

この前の上海のときも一度に2組のお客様がこられると狭く感じたのですが、コーナーブースだと、その点は安心です。壁をバックにしたブースロケーションで、ホールのコーナーにあるコーナーブースなので、ホールをぐるっと回られるたくさんのお客さんに前を通ってもらえそうです。林与の看板が今回も掲げられるかどうかが、林与にとっては大事なところなのですがそれは行ってみないと分かりません。ホール4のA01です。

目玉の一つのアイリッシュリネンハンカチも順調に織り進んでおりますが、今回もリネンデニム他、特別のアイテムをご覧いただいてこようと思っています。春夏の展示会なので、たくさんのリネン関係者がブースに来てくださることと思いリネンの良いものに関する情報交換なども楽しみです。国際ホールなのでヨーロッパの企業もたくさんリネン関連を出展しているのではないかと思います。

今回の細番手プロジェクトと絡んで、リネン100番手のホワイトシャツなどもひとつ出来上がったので、それもどんなインパクトがあるのか楽しみです。今日も、リネン100番手を織っているところですが順調に織れるのがほんとうに不思議です。もうすぐ、リネン100番手の先染の黒のシリーズを出せるかと思っております。オフ白のシャツと、黒のシャツ、生成の3枚で夏を涼しく過ごせそうです。ジャパンクリエーションの際には、出来上がっているのではないかと思います。
2010年03月18日
今日、午前と午後に2組の来客がありました。どちらのお客様も老舗の染工場の閉鎖の話を持ち出されました。染工場のほうでは大手の紡績会社が中国に製造拠点を移す流れの中で、日本に染色の将来性はないという判断をされ、染色業からの撤退を決意されたということです。

近江の産地もそうですが本場での麻機屋がほとんどなくなり、尾州産地でも毛織物が、米沢でも絹織物が、遠州でも綿織物が… どこも本場といわれたところの世界に誇れる芸術品クラスのものが海外の輸入物や他産地でもできる安価なものにシフトされて行き、独自にあった織物文化というものが消えていこうとしています。

麻の世界では、独自のクラスの商品作りをしているつもりの林与ですら、安価な製品と比較されるケースも多くなってきているので、通常の機屋さんのノーマルな織物が日本で生き残るというのは難しい時代だと思います。産地では、他で麻が織られなくなった背景もまさにそこです。

日本国内での天然繊維の紡績というのは壊滅状態に近づいており、海外で糸を捜すのが糸メーカーの仕事となってきています。天然繊維において、中国の紡績の技術水準がNO1になりつつあるのも、日本のメーカーの技術を超えたレベルで中国メーカーが商品開発を始めているからです。しかも、技術力に余裕のある範囲で量産向けのものづくりをしている感すらあります。中国の紡績メーカーの技術に日本の紡績メーカーが期待するような状況になってきています。

布を見て触ったときにその品質の違いに気がつけるかどうかという人が、プロの世界でも少なくなってきているのは事実で、国内では、プロと呼ばれる方がより安いものを求められている傾向が続いています。今までものづくりをされていたところも自分で新しいものをつくるよりも安いものを探しに出かけておられるというのが現状です。

ものづくりを実際にされなくなった形での商品開発という部分には、自分で作るよりも他でつくたほうが安くて簡単だという部分があるかとは思うのですが、商品開発される方の知識自体が広く浅くなりすぎ、中国製品と日本製品の壁というものがより低くなってきたように思います。
2010年03月17日
香港での展示会が始まり、あと10日ほどのインターテキスタイル北京の展示会がせまりました。昨日ようやくですが、北京行きの飛行機のチケットを確保できました。春休みで、帰りの便が一杯でしたが日程が一番合うJALに決めました。北京は初めてなのですが、いろいろと観光する時間はまったくなく、展示会場に張り付いているだけの北京行きです。展示会も会場内は活気があり、いろいろな方が来てくださるので楽しいですけど…

今回も、日本で作られたリネンの世界というものの違いをPRしてきたいと考えております。プロジェクトの進行に伴って、アイリッシュリネン140番手ハンカチの先染柄を持ち込んでみようと思います。期日も迫って間に合うかが微妙なところですが、注目度満点の素材です。

序章としまして、10月の上海ではアイリッシュリネンハンカチのフォーマル感漂うオフ白を展示いたしました。今回は、先染のラインが入ったレトロ柄で、繊細なレディース向けのタイプです。林与が通常のものづくりをさらにグレードアップして企画したシリーズの第一弾なので、より注目していただけるのではないでしょうか。4月21日からビッグサイトで開催されますジャパンクリエーションでも展示いたします。最終日は、多分、一般の方にもビジネス的スタイルゾーンがオープンになると思いますので、一般の方は、最終日にお越しくださいませ。

ジャパンクリエーションでは、本近江織麻布の違いを見せ付けるべく、今作っております来年向けのマス見本も数十点ご覧いただけるかと思います。無地ライクな世界に、先染という織物らしさと華やかさを提案したいと考えております。北京ではもうひとつの楽しみが、きっと、上海の展示会で知り合った皆様とまたお会いできるかと想像しておるところです。
2010年03月16日
リネンピンヘッドを特別プロモートいたします。リクエストをたくさんいただきましてついにサンプル作りを決行いたし、リネン糸のサンプル帳ができました。オブジェとしても良いかもです。12種類のリネン糸がご覧いただけます。メール便速達送料込みの1部1000円にて販売予定です。(サンプルなのに有償でスミマセン。)画像は、数日中にアップできるかと思います。とりあえず、画像準備中で、サンプルの注文をお受けいたします。

ほかに、今出品中のリネン生地のサンプルもできました。こちらは、リネンソフト仕上、リネンキバタ、リネンピンヘッド、オーガニックリネン色耳(オーガニックリネン色耳は耳のカラーを参照していただくだけの小さいスワッチも含みます、耳の部分が少ないので御容赦くださいませ。)メール便速達送料込1部500円になります。リネン糸とスワッチ4種類の5冊セットはメール便速達送料2000円です。■■■ただいま、サンプルセットをメール便速達送料込みの1000円にて特別プロモートです。■■■

今後の商品展開といたしまして、リネン40番手クラス、リネン60番手クラスの染糸を順次アップしてまいります。ウス糊の付いたアパレル向けの堅牢な染めですので毛羽も抑え気味で、適度なしっかり感もあり扱いやすく手織りなどで良いものをお作りいただくのによいかと思います。

ほかにも、アップしたいものはたくさんあったりするのですが、売ること以上にモノ作りに力を使いたいなあと思う林与ですので、暖かく御見守りくださいませ。現在、決済方法に関しましても、クレジットカード等での決済にも対応をできるよう進めているところですので、もう少しの間、ご不便をかけますがよろしくお願いいたします。
2010年03月15日
昨日は会社はお休みでしたが、午前中、アイリッシュリネンハンカチの撮影を行った写真ができあがりそれを展示会で配布する用の印刷物にする打ち合わせに大学のほうまで伺いました。写真からも普通ではない高級感があって良い感じです。昼からは、ひこねの縫製の工場で組合の運営に関しての打ち合わせでした。

単に現存する北アイルランド紡績の糸というだけでなく、30年以上も昔のビンテージ、サイオンミル、超細番手ということで、アイリシュリネンを語る要素としてはこの上ない素材を今織ることのできることは、リネンを織るということに関してこれ以上の幸せはないかもしれません。

実際に、そんな糸があったことが奇跡ではあるのですが、30年以上も昔の繊細なリネンの糸を織れる環境があるということも同時に奇跡だったりするのです。一番簡単な無地で織るにしても、糸をそのまま織ることはしません。手を掛けて織れる状態にしてあげるのです。

そして、織る時も通常以上の調整を行います。糸が細いと、縦横とも本数が増えます。本数が増えた分、織る時間も長くなりますし、切れる確率も高くなります。しかも、太さが細いので何倍も切れやすくなるのです。そんなことで、通常の細番手織物の10倍ほどの手間を掛けて織って行きます。この世界が今の量産の麻織物で失われてしまった世界で、麻織物の価値を生み出してきた本質ではないかと思います。
2010年03月14日
昨日の夜は、ひこねの縫製の組合で集まりがあって蟹をたくさんいただきました。水ガニって知っておられますか?脱皮した蟹だそうです。脚の身などを食べる限りは普通の蟹とあまり味が変わらないのですが、ミソなどを食べると脱皮した影響で、体の中に水が入ってしまっていて塩っけのある蟹です。全体的に普通よりは少し味が劣るというのは、市場の人も、食べている側もよく理解して食しているので大丈夫かと思います。

水ガニって聞いて、わたしは最初、真水に住んでいる蟹かと思っていたのですが、しょっぱかったので、詳しく聞いてやっと意味がわかりました。十杯で5000円と、一杯が500円くらいで、ボイルにしてもらったものでも600円程度と驚きの値段でした。蟹と聞いて高いイメージがありますが、通販や食べ放題のバイキングなどにある蟹の脚などはこういった蟹の形崩れしたものなのかなあと想像します。

昔、大学のころ先輩が、「日本海側の温泉に行って、蟹を食べ過ぎて大変だった」という話を聞きました。「どうなったんですか?」と真面目に聞いていたら、蟹を食べ過ぎて次の日、横にしか歩けなくなったと大真面目に答えてくれたのが、大学のころの思い出の一つで、蟹を食べるたびにその話を思い出します。

オーガニックリネンPROシリーズを特別プロモートしてみました。数量に限りがございますがお勧めですので、ぜひ一度お試しくださいませ。GOTS認証を得たオーガニックリネン糸100%使用していますが、風合いを重視するため、加工のほうは敢えてオーガニック度を
落とし通常のアパレル向けのソフト加工を施しています。オーガニックにこだわられる方は、オーガニックリネン糸に薬品を何も足さずに織り上げ、天然水の地下水+天日干で仕上げた、林与オーガニックリネンナチュラルシリーズがございます。

林与は、オーガニックリネン糸に関してはヨーロッパの紡績糸も使用してみたのですが番手が太いだけでなく、どうしてかなあと思うところがあって使うのをためらっていました。(林与自身いつも糸を触って、織り上がり、生地の仕上がりもみているので、その違いが分かるのです。)糸商さんが来られた時にその裏話を聞かせていただいて、私がそのブランドの通常のリネン糸を触っているときとそのブランドのオーガニックリネンの糸を触っている時の感じ方の違いを十分に説明できるだけの話だったので、もやもやしていたものが解けた気分です。
2010年03月13日
今日は、リネンのハンカチを合計4枚分ほど織りました。織れていますので織りとしては成功です。このハンカチのプロジェクトは、滋賀県のファンド事業の支援も受けて行っており、今はもう手にすることのできないアイリッシュリネンの糸を、ああでもない、こうでもないと言いながら柄組して、ハンカチらしく織りあげていきます。

数ヶ月前のジャパンクリエーションと上海での展示会の際には、ハンカチとして無地タイプのものをお披露目をいたしましたが、その時は、織の規格のテストでした。何本で織れば、どの程度の滑脱に納まって、目ズレなどの問題が起こらないのか、加工との相性はどうなのかというテストと、キバタの時の状態と加工後の状態で、縦と横がどのくらい収縮するのかというテストです。そのテストをしっかりと行わないと、ハンカチにしたときにハンカチの中に綺麗に収まるような柄を組むことができないのです。

縦横正方形にするために、縦本数、筬の選択、ギアの選択を行い、この前のテストのときとは違う機の本数に設定しなおしました。たぶん、同様の加工で、正方形のハンカチ用の生地が仕上がってくる予定です。このハンカチのプロジェクトの成果は、ハンカチそのものではなく、麻織物の超細番手の技術基盤を蘇らせることです。

幻の糸を使用しているということで染のほうも贅沢です。リネンにはベストとされるスレン染料を使用したり、スレンで出にくい綺麗な赤などの色は堅牢度の高い反応染料を使用して考えうるベストの選択で臨んでいます。今は、平の織物ですが、来年や再来年には、ドビーやジャガードを駆使するなど、林与が出来る限りのものを詰め込んでみたいと考えております。2年半後には、30柄X3配色で、90色柄くらいの究極のアイリッシュリネンハンカチコレクションが出来上がる予定で、気の遠くなる話ですが少しづつ前に進んでおり、時折、経過報告を行います。
2010年03月12日
今日は、夜、平三本ミシンを使って縫製の仕事の準備をいたしました。平三本というのは、三本針が並んでいるミシンです。裏面に飾り糸がギザギザ状に走ります。Tシャツなどの処理によくつかわれるミシンです。

今回はそのミシンを、アタッチメントをつけて2枚の布を5mmほど重ねて張り合わせる処理に使用しました。そういう工夫ひとつで、きれいに仕上がるだけでなく、早く作業が進められます。そういう風に道具を工夫するのも日本の得意とするノウハウの一つです。

日本のミシンメーカーが強いのも、耐久性だけでなく、多種多様なミシンのラインナップを持たれているからです。家庭用のミシンが数万円で買えて、一台で多種多様なことができるのに、工業用ミシンというのは50万円以上もして一つの作業しかできないので、多種多様なミシンが必要となってきます。そこが実際に産業としての品質を要求されるプロの世界で、産業としての品質の要だったりすると思います。

織物もそうなのですが、わざわざ、わずかな違いのために、糸の太さを変えるだけでなく、経糸の本数を糸の太さに応じて変えています。縦糸、縦120cm幅で、2500本という機があったら、それでリネン66番、43番、25番を織れば、厚さの違う布ができるじゃあないかと思われるかもしれませんし実際にできるのです。1台の織機で3種類の布が織れることになりますが、その布には、織って加工して仕上がった布を触って、布を使う目的に応じて「ちょっと厚いなあとか」感じたときに、縦の本数を減らさなければならないなあ、という、良いものを追い求めようという気持ちが詰まっていません。

横糸だけで、打ち込みを変えることで厚さを調節することも可能だったりするのですが、麻織り物のバランスとして、基本的には、縦糸と横糸の密度の関係が存在し、それがあまりに崩れると目ズレなどの物性の問題が出てきます。コンピュータのモニタ画面で織物の色柄を作られるように縦横同じ密度を想定した織物を設計されることが多いものです。資材系ですとそれが適切かもしれませんが、服という要素を考えると?だったりすることも多いので、作られる方の経験次第だと思います。数字上は規格は自由にできるのですが、どれだけ、出来上がった麻布を触って加工に応じた、良い風合い、物性のものを導き出すかだと思います。

春夏の布の厚さというのは、どうかというと、ヨーロッパと日本では違いますし、国が違えば異なるのです。日本では日本に適した生地の厚さというのがあり、それをどうやって導き出すのかというと、もうちょっと厚いほうが良いとか薄いほうがよいとか、お客さんとのキャッチボールで公約数みたいなものがあります。それを基準に同じ番手でも、高密度タイプをつくったり、薄い生地をつくったりな感じです。地中海沿岸諸国では、薄手のファンシーな布が多く、アイルランドなどではトラッドな高密度なものが多いのも気候などの影響ではないでしょうか。
2010年03月11日
先日の県関係の面接に伺った時にも、産地が抱える問題として後継者不足という問題があります。実際に、麻を織るというのは、無地など資材系のスタンダードなものは織れても、服地に使うような特別なクラスの糸のものを織るというのは、普通のところではやっておられないので、扱うこと自体が手ごわかったりするものです。

織機を丁寧に調整し、織れるようにしても規格が変わるとまた調整のやり直しで、織機の台ごとの癖もあったりで、この台ではうまく織れるけど、他の台では織れないというようなこともあったりするのです。

織機をうまく操れるか操れないかは、織機の構造をしっていることも大事なのですが、それ以上に、微妙な糸の調子や問題を見極めてあげることが大事なのです。ときに、織機に問題があるのか、糸に問題があるのか。糸に問題がある場合には、それを改善してあげないと織れないのです。その見極めが大事で、糸というものをよく知っていないと、ベストの調整になっている機械を、逆に調子悪く調整してしまうことになります。難しいものを手がけるということは、常にこの問題とにらめっこなのです。