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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2010年6月
リネン日記:26
2010年06月06日
今日は、自治会のもち米の田植えが11時から行われました。もち米を植えて、それを収穫してお餅を最後に食べようということです。自治会の外部団体の青少年育成会が主催になってする行事で、その情報を聞きつけた、5歳から小学校3年生くらいまでかなあと思う子供たちが20人ほど集まってきて、田植えを行いました。

ほんの30分で植え終わってしまって、後は泥んこな手脚を水洗いです。毎年はアイガモのヒナを入れて、有機栽培するもち米になるはずなのですが、近年の鳥インフルエンザなどの流行もあったため、今年は、野生のアイガモも放鳥はありません。

去年は、オーガニックにこだわり、もち米があまり取れなかったということでした。自然を求めると、人間のコントロールができないところにたどり着くものだと思います。

オーガニックな要素というのは環境に優しくても、人間には優しくないことが多いもので、自然対化学の対立だと思います。今の時代でも天然素材があってもより安く量産できるように似たようなものを化学的に生み出すという手法がとられます。良い風合いを生み出すために素材そのものを良くするよりも後の加工の薬品で風合い自体を化学的に生み出すという手法が取られます。

今日、手作りの体験農園の看板が立てられました。私自身は看板づくりには携わっておりませんが、温もりのある手作りな感じの看板であるところが絵になりすばらしいなあと思うのです。自分で作ったものが一番みたいな感覚を養うためにも、社会がその手本を見せていかないとだめかなあと思います。

今朝、会員様向けにメールでご案内しましたキッチンタオルとキバタは、この下のほうに並んでおります。見つけにくかったという感想をいただき、次回からは、メールのほうにリンクを貼るよう改善いたします。
2010年06月05日
今日は土曜日でしたが、朝から奈良からのお客様がお越しになられました。弊社が最近お作りした生地などを見ていただいたほか、倉庫に行きまして、弊社の昔の近江の絣文様の見本などをご覧いただきました。

今作るものというのがどれほど無力なものなのかを私自身が実感する世界です。一本一本手織りするだけでなく、年間百を超えるような絣柄を生み出した先人の力には感服するところです。毎日ご飯を食べるように当たり前に、新しい絣柄が生み出されていたのです。イースター島のモアイをなぜ、昔につくることができたのかという以上に不思議な世界です。数十人の仕事とは思えません。

今、そのひとつでも作ろうとすると、数人掛かりのプロジェクトで、1ヶ月仕事ではないでしょうか。これは、単なるプリントではないことを考えると、世界では相当手の込んだ部類の織物に位置します。日本の昔の織物がどれだけ、手間隙を費やして作られたものなのかということを物語ります。

一ヶ月を織り上げるものなのに、コンピュータシュミレーションもせずに、どれもが今の時代にも新鮮に見えるような色柄で作り上げられているというのが軌跡だといえます。日本の着物の世界が世界に誇れる文化であるというのは、同じものを作ろうとしても大変だという再現性の難しさにあるのではないでしょうか。
2010年06月04日
今日は、朝、リネンの生成が届きました。箱を開けると思ったよりも明るい色の生成りが入っており、前回のものとは紡績メーカーが違うのかなあと思ったりですが、たまたま、お客様のほしい色が明るい色の生成りだったので良かったです。でも、こういうのはたまたまの出来事ですので、こういうラッキーなことが続くわけではありません。後の問題を少なくするためにも仕事をするときには糸の確保というのは非常に大事です。

リネンの生成にはさまざまな色味があって、産地によってフラックス原料の色の違いがあるだけでなく、レッティングと呼ばれるフラックス原料の作り方によっても変わってきますし、気候によっても変わってきます。他にも、フラックス原料の産地の問題ではなく、紡績工場の技術水準や作業基準によって、生成の色味が大きく変わってくるのです。

生成の色というのは付けるのではなく、色を抜いて調整していきます。生成の色にその紡績工場のセンスが良く表れてきます。林与が好きだなあと思うのは、昔のアイリッシュリネンのゴールデンアイリッシュと呼ばれるカラーですが、今はもう手に入らないと思います。カラーの安定性の面からも、良質のリネンの産地としては最大の、フランスやベルギー産のグレーっぽい生成を基調にしています。

いつも同じような色味を使っているので、少し色が違うだけで、黄色いなあとか、濃いなあと感じることができます。リネンの布を触っていると、朝と夜では感触がちがうことが多いですし、加工してから時間が経つと湿気を吸って良い感じになってくることが多いものです。

生成というのは、色の安定性がないので、アパレル向けには生成の代わりに生成りに似た色で染めた染め糸を使うこともあります。生成というのは、生の草っぽい性質が残っているので、気をつけないといけないことも多いものです。
2010年06月03日
今日は、東京からお客様がお越しになられました。1ヶ月前のジャパンクリエーションの3日間の一番最後のお客様としてお出会いさせていただいた方で、プロダクトデザイン事務所を運営されておられます。海外の美術館などでも個展を開かれ、日本の伝統的なものづくりに目を向けられ日本らしさを世界に発信されておられます。

9月にご予定の個展に向けて進めていきたいというお話をいただきました。私自身は、通常に流れる良いものと特別に作る珍しいものとの差というのは大きいことをお話させていただいたりいたしました。

心が和んだのが、その後、京都に行かれるご予定があったのですが、その前にお寺めぐりをされているということで、石馬寺に行きたいとおっしゃられました。時間も遅かったがために拝観はできなかったのですが、外から拝ませていただきました。

ご住職さまには、座敷の縁側から庭を眺めながらお茶とお菓子をいただき、地元の人間ながらも立ち寄ることがなく、近くにありながらも小学校の遠足以来という特別なチャンスをいただけたことをありがたく思います。記憶していた井戸の中の馬という昔のイメージが、だいぶ違ったのには驚きました。

気さくにお話させていただき感じたのですが、ものつくるというより、その前に、心を大事にすることを感じました。
2010年06月02日
今日は、合繊関連の糸メーカーのほうに問い合わせをさせていただきましたところ、快いい対応をいただきまして、日本にも熱く動いておられる方がまだまだおられるのだなあと言う実感をいたしました。

お話をさせていただいていて、やるやらないの物事の判断というのが私の物事の判断方法とかぶっており、まさにものをつくるメーカーさんだなあと意気込みを感じました。そのような方と出会いがものづくりの大きな助けになります。でなければ、自分自身で他分野のことを一つ一つ解決していかないといけないのです。

実際に分業体制というのが進みすぎて、工程データ管理はできていても、会社の中の人がものを見ていないケースは増えてきています。流れ作業になりがちなのです。同じデータで動いているつもりでも、出来上がったものの風合いは異なってしまっていることが多いのですが、その出来上がったものの風合いというのを判断する職人的な人というのはいないのです。

最終に仕上がったときの技術的な問題は当たり前ですが、風合いなどの話までもを、糸商さん、染工場、加工工場をはじめとする関連企業さんに伝えることがあったりするのですが、それを大事だと思われる方に話をしないとお話をしても無駄に終わります。

不思議なもので、同じ原糸を使用して、同じ工程で織った布というのが、同じ風に上がらないというのが、合成繊維の世界とは違う麻の世界なのです。特にリネンではその傾向は強いかと思います。原糸の製造ロットが違うと、フラックス原料の畑からして異なってくるので風合いの違いというのは生じてきて当たり前かもしれません。この問題が再現性に影響してくるので、紡績メーカーの品質の安定性に対する意識というのは非常に大事なのです。

前にも書きましたが、ヨーロッパで長雨の続いた年のロットはどこのメーカーのものも、通常のそのメーカーの色よりわずかに濃く硬かったのです。このことはヨーロッパの原料を正直に使用しているということであり、その年の品質が落ちることは仕方のないことなのです。逆に不作の年の糸は高いです。お米の不作と似ています。また、フラックス原料というのは、毎年毎年新しい原料が使用されていることが伝わってきますし、糸商さんというのも在庫として寝かせることをせずに新しいものに置き換えられていることが理解できます。
2010年06月01日
今日は、社員の検定試験があって、石山というところに朝早くから行きました。お昼前に終了で後は結果を待つだけです。終わって社員たちはほっとしたようです。労いの為、お昼ごはんを思いっきり食べてもらいました。

国道が混んでいたこともあって琵琶湖岸の道路を帰りました。夏の日を感じさせるお天気の良さで、車のエアコンを使うよりも、窓を開けて風に当たるのを楽しみました。琵琶湖の周りでは平日ながらも、ボート、魚釣り、写真撮影と車で数十分のところに自分とは違う世界もあるものだなあと気が付きました。

帰り隣町の能登川の水車で途中休憩をしました。大きな鯉が水路で泳いでいます。手をたたくと餌がもらえると思って寄ってきます。琵琶湖や川には鯉がほとんどいないのに小さな池には100匹以上の巨大な鯉がうごめいています。人間の力というのは自然の形を変えるだけでなく、自然であるはずの動物の性質までもを操ってしまっているのです。

会社に戻ってからは昨日夜遅くあまり寝ていなかったので社員よりも私のほうが疲れていて少し休憩いたしました。夜には出荷など行いました。