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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2010年12月
リネン日記:31
2010年12月11日
朝は、沖縄からお電話いただきました。手織りをされているということで糸の件でお電話いただきました。冬の沖縄というのは暖かいのだろうなあと、沖縄に行った事のない林与ですが、想像してみました。島の生活というのも体験すれば、きっと人生観が変わるのだろうと思います。

今日は夕方、自治会の評議委員会があって、その後、忘年会がありまして日本酒を飲みすぎました。久しぶりの日本酒でした。会社に戻って出荷の段取りをして1時間ほど遅れての忘年会参加でした。あっという間に時間がすぎてしまいました。

自治会の案件で建物を建てる話があるのですが、すごく暖かい話を聞きました。若い人にその仕事を任せようとされているのです。若い人がやれば、その人の仕事が字に残り、また、その建物を一生見守ってくれるという思いからです。そういう思いが詰まっていれば、任せておけば、きっと良いものが建つと思いました。そういう暖かい気持ちで若い人々を見守ってくださる方が20年ほど上の世代にいてくださるということは幸せなことです。
2010年12月10日
今、本生産の時期に入っていまして、ネットショップのほうのお問い合わせもたくさんいただくのですが、商品もソルドアウトが続いていまして申し訳ありません。今日は、オーガニックリネンをご注文いただいた皆様へのご発送を完了いたしました。間に合わないと考えて途中で加工に出したにも関わらず、1ヶ月半ほどもお待ちいただいた形になってしまいました。ホームページのほうの商品も更新はできておりませんが、来年の春に向けて徐々に更新を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

林与の特色は、右から左に仕入れて売るのではなく、自社での製造ですので、どうしてもつくるという部分は販売等部分以上に時間と人手が掛かってしまいます。世界的にみてもリネンの業界では特殊なものを製造しておりますが、それが特別な技術や装置で作り上げられるようなものではなく、人間の中にあるノウハウで作り上げるようなものですので大量には生産が出来ずに、ぎりぎりの壁に挑戦し続けて作り上げるようなものだったりします。

不思議なもので、一Mの布が1000円のものもあれば、数万円するものもあるのです。1000円の布にはそれなりの価値があって、数万円の布にはそれだけの価値があるのです。それは糸だけの価値ではなく、つくったものが与えるその作品に対しての評価なのです。その評価には、ものづくりの背景的な要素が大きく含まれます。

今日は、縦糸が緩むレピア織機の織物を何とか織りあげようと、緩む縦糸の緩みを吸収する仕組みを織機に施しました。50M程度を2色織り上げるだけの特別の注文品です。日本でものをつくるというのが難しい時代に、さらに特別なものをつくろうとするのは、日本のアパレルブランドさんの日本のものづくりらしさを支えていくためには必須的な部分ではないかと思うのです。
2010年12月09日
今日は、近江湖東地方は寒い感じで底冷えもして冬到来という感じです。ここ数年は、クールビズに引き続き、ウォームビズという多様されましたが、国を挙げてやることというのはお金がばら撒かれるときだけの一過性のブームに終わりがちです。エコポイントなども法律で無理やり利権をばら撒いている感じがしてどこがエコの精神なのだろうかと疑問に思うところがあります。

エコの精神からすれば、新しいものに買い替えを促しては駄目なのは当たり前です。普段使っているものを、買い換えるときにエコなものを選択するというのが大事だと思います。大事に長く使うことがエコの基本だと思います。強制的なリサイクルの裏には大きなエネルギーの消費があります。

エコに関して言えば、日本では物が軽く見られているところがあるといえます。使えるものをリサイクルするような考え方というのは、ここ数年で出来上がった営利目的なエコでしかないと思います。そんなスタイルの精神等のは日本にはなかったのですが、リサイクルでお金が生まれることで、不思議なスタイルのエコがブームになってしまっています。

今日は、地元で講演会がありました。永末春美さんという神戸製鋼系の会社の代表の方で、神戸北野ホテルなどの支配人をされてきた、ホスピタリティのあるおもてなしを心がけてこられた方でした。私自身は、ホスピタリティな部分よりも、永末さんが女性でありながら他の社員の方をどう教育されてきたのかというところに興味を感じました。ホテル業界というのも競争が激しく、普通に日本人が働いて成り立つ業界ではないと思うのも事実で、キーファクターとなるのは日本人らしいがんばろうとするモーティベーションの高さが全てではないかと感じたところです。
2010年12月08日
シャトル織機というのは、それぞれの台が微妙に違う音を奏でます。奏でます、と言っても、シャトルが叩かれる大きな音に混じっての微妙な各部位の動きによって作り出される音なので気にしていないとどの織機も煩いだけの同じ音に聞こえるかもしれません。

今日も、シャトル織機の音がおかしいので、シャトル織機が故障しているのが見つかりました。そのまま使い続けていれば、消耗品の部分だけでなく、本体を消耗してしまうので、気がついてよかったです。今日の故障は、鋳物と鋳物がこすれて、金属が粉になって消耗してしまっていたのです。

シャトル織機には油を差す小さな穴が、金属と金属がこすれあうような部分には付いていて、30箇所くらい油を差すべき場所があると思います。油差しで、順番に差していってあげるのです。時間の掛かる作業ですが、花に水をあげるような気分です。油がしみこんでいくのを見るのも楽しかったりします。たくさん油を差せばよく織れるような錯覚に陥り、たくさん油を差したい気分を抑え適量を心がけます。

今の時代、油を手で差さないといけないような機械があるのかというと、あんまりないですよね。これもシャトル織機の持つ美学だと思うのです。織機が人の手を必要としているのです。
2010年12月07日
今日は、リネン100番手のストール生地が加工から上がってまいりました。最後の仕上げが特殊なので、そのタイミングがあり、加工で1ヶ月程度掛かってしまった感じです。リネンのストールもいろいろな種類がありますが、ストールの柔らかさに関しては、細番手のものほど肌へのタッチがソフトです。オーガニックリネン生地のほうも明日の仕上がりを予定しております。順次発送を行ってまいります。今しばらくお待ちくださいませ。

2010年12月06日
今日は、待ちに待った月曜日なのです。というのも、土日に連絡が付かなくなってしまっていた撚糸工場さんに連絡をいたしまして金曜日に出来上がったということで糸を取りに行きました。

撚糸工場のイメージというのは、騒音が激しいイメージがあったのですが、この工場の中は非常に静かでした。事務所の奥が工場になっているのですが、戸を開けても静かな音で撚糸が進んでいます。撚糸工場のコンパクトにまとまった感じには驚きました。

林与の場合、工場の中が、糸、物、機械の部品で溢れかえっています。実は、これって、希少かもしれません。私自身、使ったこともない道具が工場の脇には転がっています。
会社に戻ってからリネンデニムに取り組みました。味があってよいです。

今日は、12月にリネンデニムを履きながら一日過ごしてみました。違和感少なくよい感じです。色も、少し落ちて、ユーズド感がでてきました。8月の終わりにも履いていましたが、12月でも大丈夫ということで完成かなあと思います。
2010年12月05日
今日も暖かな感じの日曜日でした。仕事のほうは納期が詰まっていまして、10日前に上がってくる予定の糸がまだあがってきておらず、10日分の空白をカバーしないといけないので、日曜日でどうしようもないながらも困った状況です。

ものをつくる人も規模も縮小してしまったところが多いので、実際に注文が入ってもそれに対応できるところが少ないので、一気に受注が集中し遅れている加工工場さんを責める気にもなれません。

このような状況というのを予期はできていたのですが、注文される側の方が動かれないことには駄目な部分もあるので、結局、スタートが遅いと納期が遅れるという結果に繋がってしまいます。生産期間が2ヶ月程度となっているケースがほとんどです。

夕方には出荷を4点行いました。夜遅くに染色工場さんに糸を持っていくと、事務所には明かりが付いており、日曜日ながらも社長さんがビーカーの色出しを一人会社でやっておられました。今年はまだ寒くないのでほんと動きやすくてよいです。いつもなら12月ともなると糸を扱うため素手が当たり前ですがその手が悴んで、仕事中もポケットに手を入れたい気分になります。

工場は広いので、暖房をすることは無駄ですし、ストーブなどは火災が起こるといけないので使わないよう心がけています。織物加工工場さんなんかでは、この冬の時期に、冷たい水を毎日触っての加工をされているので、それに比べれば織物工場というのは暖かな環境だと思います。
2010年12月04日
2011AWものだと思うのですが、ニューヨークのブランドさんが普通とは違うコラボで動き始めています。デザインチーム全員とカーボンコピーメールでのやり取りでプロジェクトが進む速さですが、開発には数年掛けたものが多くその速さで需要されるというのも、どこまでの価値が相手に伝わっていなければ長くは続きません。

日本国内のブランドさまでも代表の方やデザイナーさんが窓口として直接に動かれているところというのは全てにおいて話が早く、ものづくりをする側としても、どこまでのものを要求されているのかということが、ストレートに伝わってくるので仕事がしやすいものです。

ブランドの方の中にはどこでもものはつくれるとおっしゃる方がおられたりします。いろいろなモノづくりのスタイルがありますので、そういうケースでは、商社さんが抱えられているお手軽な生地をお勧めすることもあります。他で林与の生地の類似品は作れたとしても、林与の生地は林与が作ったものだけです。そこには製造環境を守るというものづくりの根底を支える部分を大事にしている部分があります。

長らくお待たせしておりますが、この火曜日、水曜日には、ご予約いただいている生地が加工から上がってくる予定です。順次発送してまいりますので、よろしくお願いいたします。
2010年12月03日
滋賀県に米原(まいばら)というところがあります。新幹線の止まる駅なのですが、今日は、その駅の近くで労働基準監督局による法律改正などの説明会が行われ、県内の企業がたくさん参加されていました。

会場に行く途中、突風が吹き荒れ、車のハンドルが取られるほどの強風で、私の運転する軽バンは空のマッチ箱が走っているかのごとくで、田んぼに落ちそうな勢いでした。雷も轟き、12月なのに台風がくるのかと思うような少し暖かな一日でした。

これって、6月頃肌寒かったのと似ていて、12月に暖かく感じ、6月に肌寒く感じるのは季節の逆転を感じるしかありません。季節感がなくなってきているのだといえます。来週以降は冷え込むということですが、冬には冬らしい季節感がないと今までの日本の価値観というものも薄れてしまうのだろうと思います。

子供の頃というのは、運動をするときには水分を補給するな、ということが言われてきました。あれって体には悪いことだったかも知れないのですが、日本的な特有の精神面を育成するためには非常に重要ではなかったかと思うところです。
2010年12月02日
今日は、早朝から製品を作られたいということで、お客様が東京からお見えになられました。麻織物全般に関してのお話などをしながら途中加工出しを行いながら、午後には彦根に行きました。帰りには彦根の組合に立ち寄りラベル作成などしました。

帰ってからは、整経の作業などの問題点などを検討いたしました。縫製工場のほうにも立ち寄り生地を渡したりしました。新規の仕事の依頼や相談などお話をいただくことも多く、バタバタしています。

リネンにおいてもアパレル向けは難度の高い生地が増えていますので、染色工場、加工工場などとの連携が納期などとも絡んで非常に重要になっています。来年のカレンダーを見ると、来年頭に加工出しすると1月中ごろのアップになってしまうので、年内上がりを希望されるところが非常に多く、織り以外の前工程、織ったあとの後工程を考えると動き続けたとしても時間は限られています。

ものづくりに対する姿勢において、御共感いただけるブランドさまなどに対しましては、「林与」ロゴのライセンスなども開始いたしました。生地をご購入いただき生地を使用していただくことは可能で、「林与」の生地を使用していただいていることを謳っていただくことは可能ですが、「林与」ロゴの使用に関しては、林与からのライセンスが必要となっております。類似品と区別するためロゴで、林与自身も自分の手がけた生地を使用したもの以外への「林与」ロゴのライセンスはいたしませんので、林与の生地かどうかを判別していただくひとつの基準となります。

過去にも、問屋さんが林与のサンプルなどをアパレルに持ち込まれ、林与で作ったというお話でアパレル様がご理解いただき話が進んでいた話があるそうですが、アパレルの方も林与も知らないまま、実際には他の機屋さんが織られて、百貨店で販売される商品でありながらも、林与の生地であるという謳いで出回る産元を偽装するケースでした。

布をご購入いただいた皆様にお付けしております「林与」ロゴは、林与の生地を使って、おつくりいただいた作品などにご活用いただる特典の一つです。ただ単に、四代に渡り麻を織り続けたというだけでなく、麻織物のこだわりというのは特別で、麻織物のへ変わらない価値観をしっかりと守り続けています。
2010年12月01日
ながらく、お待たせしましたが、リネン生機、オーガニックリネンのオフ白と生成、キッチンタオル、もろもろが織りあがりました。明日、加工に投入です。予約注文いただきました来週の火曜日くらいには加工上がりの予定です。ストール生地のほうは加工のほうほんと手間が掛かる様で、加工上がりを待って久しい状態で遅れておりましてすみません。

本当のリネンというのは、何ヶ月も掛けて作ることが多くこんな感じです。実は、200mほど織る予定のオーガニックリネンにしても、12月頭頃の仕上がりがお約束だったので、織半分途中での加工投入となりました。シルクも今では安くなりましたが、シルク以上にリネンの価値が高かったころから何十年も続く昔ながらのものづくりなので、どうしても時間が掛かります。

普通の織物の何倍もの時間を掛けて昔ながらのシャトル織機で織り上げることに関しては、プレーンでノーマルなものに対しても人の技がそこには詰まっているのではないかなあと感じます。そういう世界をどこまで守れるかが日本の織物としては世界的に評価をいただける部分ではないかと思います。

今日は、ニューヨークのブランドからメールによるリネンの着分のお問い合わせがありました。イタリアのゼニアさんの方も、展示会のときには生地を眺めるだけではなく、林与の歴史とかそんな部分も大事に思ってくださったように感じました。

午前中は、お客様で、今日のお昼過ぎには加工工場のほうに出向きました。欧米向に加工風合いを考えようと思って、さまざまな加工を見せていただき、私が求めるリネンの風合いをじっくりと検討させていただきました。今日は、いろいろな得意先からの電話をいただき12月に入ったのを感じます。夜は自治会の会議がありました。