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リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記2011年5月
2011年5月
リネン日記:31
2011年05月31日
昨日の夜は台風の去った後で肌寒い感じです。昨年も後半は長く暑い夏でしたが昨年の4月から7月は底冷えするような冷夏でしたのでそれを思い出させるような寒さです。雨の中倉庫に行きまして、北アイルランドで紡績されたリネン40番手の糸をとってきました。糸の巻いてある紙の管にはDERRY Sと印刷されたタブがついています。サイオンミルで紡績されたものには、SION MILLと印刷されたタブがついていたりするのでこれはDERRYで紡績された糸なのだと思います。

北アイルランドから輸入された元の箱に入っているので箱にはMADE IN N.IRELANDの文字があり、どこかに日付を確認できるものがないのかと探してみましたがないようです。この40番手ですが、15年ほど前につかっていたハードマンズ社のブルーの箱の糸と比べると箱からして違いますのでより古いものであるのがわかります。

今日は午前中立会いがありました。帰ってきてから昨日の夜に撮影したリネン60番手のシリーズをアップしています。60番手クラスの細番手の素材ながらもふっくらとした風合いになっています。これは昨晩が雨だったせいなのかもしれませんが、チェック柄などは薄いながらも透け感が少なくワンピースなどによい感じの素材です。
2011年05月30日
今日は朝7時半から自治会のゴミ拾いに参加しました。村の周辺のゴミを拾うのですが梅雨の雨というより台風の雨の影響が出ているようです。30分ほどで拾ったゴミは少しでした。普段から田んぼの畦などの大き目のゴミなどは農家の方が拾ってくださっているようです。

会社に戻ってから探し物です。展示会で会社を留守にしているときに荷物が届いたようで会社の中を探しました。午後からはアパレルさんの服を100着くらいの出荷です。ネットの生地屋さんからは注文を先週いただいたので追加での生産の準備に入ります。

京都のお店からもプリントで上がってきたリネンが届きまして、これを加工工場へ持ち込んで仕上げを掛けます。新たなジャンルへの挑戦です。こういうのがうまくいくと、近江上布柄をリネンにプリントするようなことも可能になってくるのではないかと思います。

今の時期というのは来年に向けて、当たりを見るための試作品を作るのには一番よい時期なのです。7月くらいまでに試作品を仕上げて8月までに店頭に並べてお客様の評判を聞いてみたり、小ロット生産で製品を作って製品を実売しお客様のフィードバックをもとに、来年に向けての企画を練るという方法で手ごたえを確かめていただくのです。

林与自身も、麻生地に関しては、どの生地を皆さんが探して織られたりどんなカラーが売れやすいという情報は展示会やサイトでの販売で他社さまよりも調査は進んでおりますので、それ一辺倒のものづくりをするわけではありませんが、商品構成の中でトレンド的に挿し色としてものづくりに生かしていくことも多いのです。

林与がサイトで販売しています生成のストール生地やビッグチェックなどはアパレル向けのハイグレードなリネンを使用しておりますが、その半端な糸を有効に活用するためにロットの半端でできてしまった数キロの糸を使用して作るので一回に作れる数量は100m程度だったりします。アパレルの厳しいロットの均一性を守るために、その裏では大量のロスが生じてしまうので、そんなロスを活用して生み出されるのが林与サイトで販売している一部の生機アイテムだったりいたします。

大おばあさんと呼んでいた曾おばあさんは、手績みの糸でもないのに、数十センチの半端の糸を継ぎ足して長い糸にするのを時間のあるときには部屋でしておりました。ものを大事にするという気持ち云々ではなく、それが当たり前だった時代に育ち、捨てるものというのがほとんどなかった時代です。ゴミにしましても各家でお風呂を炊くことに最後は使われ今の時代と比べると何倍も上手にすべてが活用されていました。

今の時代のリサイクル的な概念は、逆にゴミを大量に生み出すノンエコな発想が多いようです。リサイクル法によって逆に物の価値が完全になくなり、日本では使えるテレビや自転車が回収される時代です。これがものづくりに反映され数年で使えなくなるようなものばかりしかこれからは作られなくなってしまいます。今は国を挙げてリサイクルがビジネスとしての方向に動いてしまっていますので、エコロジーというよりはエコノミーでしかないと思えるようなエコばかりが目立ちます。

コピー機で新しい紙が一回の会議のために一人分何十枚と刷られ、使える自転車やテレビがゴミのように捨てられる時代となってしまっては、昔のような糸を継ぎ足して残しておくということが微力すぎることとは思いますが、まずはエコに関しての本質を考えないと駄目だろうなあと思います。
2011年05月29日
上島佳代子先生の新刊アマゾンさんでのリネンで作る小物へのリンク画像が張れました。初版限定となりますが、林与のリネンキッチンクロスも読者アンケートプレゼントとなっております。こちらのサイトでも5月20日から8月末日まで、10000円以上のお買い上げで1冊プレゼントいたします。

昨日は大阪からお客様で、来春に向けてのリネンの企画です。大阪駅伊勢丹さんにも新たにショップを展開されてまして、ヨーロッパから生地の調達の調達もされています。ハリスウールのお話をお聞きしました。ハリス島では、島で育てた羊から取れる糸を半手織して生地を作っているそうです。世界中のブランドさまからの注目らしいですが、これは残らんと駄目な織物だと感じまして、同じ織物産業にいるのでそういう本物は一生懸命プロモートしてあげて下さいな気分です。本物の形のままで続くことは本当に大変なことだと思います。

関西地方も梅雨入りをしたというお話も聞き、昨日今日と続く雨の中、雨も必要だなあと感じます。といいますのも、愛知川の川というのは普段水が流れていないのです。子供のころは夏でもいつも川に水があったのに、最近は普段水が流れずに、川にすむ魚屋や小動物は死滅してしまいます。最近、スズメも見なくなったのは、そういう水環境がこの何十年かの間に大きく変わったからではないかと思います。子供のころは晴れた日には朝7時ころになるとチュンチュンとスズメが庭で鳴く声で目が覚めたものです。今はスズメを見かけることすら稀です。

日本でも、コンビニチックならびにチェーンストア的な都市開発が進むとファミリーオリエンティッドなビジネスというのは死滅してしまいます。今は、農業ですらもがビジネスライクになりすぎて農薬からの産物でしかないという味気ないものでは駄目だろうと思います。麻というのは本来農作物であり、手作業から生まれるものであるというのを手績みの糸をみて感じます。何十年も昔の繊維でありながら今も非常に強く、何百年も着ることのできるものであるのを感じる次第です。

良質の麻というのは何十年前のもののほうがしっかりとしていたりします。弊社が20年以上前につくりました女性もののゴールデンアイリッシュリネンのスーツは、20年前のものながらも今のもの以上に隙がなく輝いています。何十年も変わらぬ価値観というのを感じるところです。今はなかなかそういうものを作るのが難しくなっていますが、特に高級ゾーンのものに関しては変わらぬ価値観のものを守り続ける努力をしたいところです。
2011年05月28日
昔のラミー糸を使ったハンカチが3ケースありました。昔、トスコさんからいただいたものだと思います。国産のラミーを極めたフラグシップ的なハンカチで糸が細く細くきれいなのです。各箱には3枚つづハンカチが入っています。トスコさんのロイヤルラミーのマークがついていますのでラミー糸です。今では想像できないほど細いクラスですので、200番手を超えるクラスではないかと思います。今、そういうものが織れるかというと難しいと思います。それだけの糸の原料、紡績、糊付、織の技術が残っていないからです。

ヨーロッパのアンティークと同じクラスのハンカチの世界があり、日本の昔の技術というのもさすがだなあとは思います。技術というのはどんどんと進化していくのではありますが進化しすぎるとそこで限界に達して終わりを迎えます。進化するということは付加価値がマスのですが、安定した技術というのはわずかな違いを生み出すために大きなコストの差が出てくるものです。

糸が細いということは1本の糸が切れやすくなるだけでなく、織る密度も必然的に高くなってしまいますので、縦にしても横にしてもキズが出る確率が同じ1Mでも織るための時間と手間が何倍も増えてきます。

ジャパンアズナンバーワン的なものづくりができた時代が日本の過去にはあったのを懐かしく思うとともに、それが韓国に移り、そして今中国に移り始めています。産業として大量に生産することから生まれる余力を、技術を結集して何かに注ぎ込むことができた時代というのはさすがです。日本の昔のものがよかったのは番手的な規格だけでなく全体的な完成度の高さが高かったことにあると思います。細いなら細いなりによりよい工程を選び、よりよいものができたところがよいところなのだと思います。

一度、トスコさんのその当時のことを知っておられる方にお見せしてその当時の紡績のことを聞かせていただきたいなあと思いますが、もう会社には残っておられないでしょうから人づてにお話をお聞きするしかありません。
2011年05月27日
今日は午前中は、ひこねの組合の用事で作業を行っていました。気の毒なハプニングもあって凹む一日ですが、器量のある方というのはさすがに強いなあと感じます。会社に戻ってからは、製品の修正に目を通したり、数件の納期の調整に追われ、3時過ぎから長浜のDENさんに生地をとりに、また、一つ8月の件でお願いにうかがいました。

DENマスター北山さんの娘さんにお会いしまして北山さんが見た以上に中身を積んでおられるのを感じました。今日は、縫製をしておられる女性の方と初顔合わせで私の名前をご存知でリネン日記を見てくださっていて「もっと静かな人だと思っていました」と率直な感想をいただきました。

オールドファッションの間中社長からもお電話をいただきまして本麻や綿麻をお客様にご提案いただけるようなお話です。また、他にも先日のプレミアムテキスタイルジャパンの場で、JETRO主催のビジネスマッチングでお会いしました海外のバイヤーさんからも積極的なメールをいただき前向きに検討を進めたいと思っています。

参加させていただいたプレミアムテキスタイルジャパンが非常に熱くって、メイドインジャパンを海外にPRし、理念日記を読んでくださっているみなさまとのお出会いもたくさんいただきました。ありがたいお話です。小さな会社で手一杯なところもありまして、来年に向けましたじっくりとお付き合いをいただきたいと思います。

今日はほかに生地屋さんからも2件お電話をいただきまして動かせていただいております。ネットショップでお買い上げいただいた皆様からはお電話をいただいたり、メールをいただいたり、相変わらずバタバタな毎日を過ごさせていただいておりますが、ものをみる目だけは濁らないように気をつけたいと思うところです。
2011年05月26日
先日、機械屋さんが来られたときにある織機に関しての私自身の認識が間違っているといけないので織機には私以上に精通されている方なのでお尋ねしました。やはり認識は共通しており、ごく一般的で織機自体は特別のものではないということで一致してしまいます。

要は、その織機の特性を謳えるような織物をどのように生み出して謳うかという部分ではないかと思うのです。織機の特性をよく理解してその織機に一番あった織物を織ってあげるという部分をPRしてあげれば、その織機も脚光を浴びこれからも活躍することになると思います。

織の現場では、計算だけでは予測や説明しにくい面白いことがたくさん見えてくるものです。レピア織機に関する考察に関しては機械屋さんと私の考察は面白いことですが異なりましたので、今度、一度実証してみる必要があるかと思います。織りあがった風合いに関しての議論で非常に余裕のある話なので面白いですね。

今日は、京都のMONDOさんがお越しくださいました。プレミアムテキスタイルジャパンでも会場でお会いしましてどんな感じでしたかとお互いの感想を交換しました。今日来ていただいたのは、リネンの特別な糸が出来上がってきたのでした。林与のオリジナルなリネン生地が出来上がるものと思いテスト用に糸を手配していただきました。高価な糸ですので部分使いになるかとは思いますが上手に使っていけたらと思います。

リネン100%で、今までとは違う面白いものができるのではないかと思いますが、すでに2012のSSには間に合いそうにありませんので、2013向けの新商品開発に使おうと考えております。私自身は面白いものになるのではないかと頭の中で生地つくりを楽しんでおります。
2011年05月25日
最近、生地をスキャナーで撮ることに嵌っています。案外、きれいに取れるのでびっくりです。今、考えているのは今作っている生地をアップするのも良いのですが、林与の近江上布のコレクション数千点をライブラリー化しようと考えています。そこには、日本の草花をモチーフとしたワビサビの世界が広がっています。

いろいろな奥の深い生地の世界をご覧になられてこられた方でも、林与の近江上布のコレクションをご覧になられますとそのデザイン性というだけでなく、一つ一つが絣織で一本一本を織り上げて織物に仕上がっているということを数が多すぎて忘れてしまいそうになられます。絵を描くよりも何十倍も時間のかかる作業であり、一つ一つが芸術的作品だといえます。昔の人の絵心というのは独特で、すべてに日本らしさが漂うのも、その当時の人の生き方そのものが日本的だったのだと思います。何をやっても日本的なものが生まれてくるというそんな時代だったのではないでしょうか。

日本人の織物への価値観というのがしっかりと詰まってますので、今の時代にやっていることの無力さというのを感じます。一方で、伝統工芸というのが商売として成り立ち得ないというのも感じるところです。技術が、どんどんと進化して究極の手の込んだものを生み出しても最後に終わりが来てしまうのです。

私自身が感じるのは、始まりのあるものというのはすべて終わりがあるということです。哲学的になりますが、終わりがないものというのは始まりがなく存在しないということです。産業というのは、全体的なピークを過ぎると希少性が出てくるまでは価値のないものとして急速に衰退するものなのです。麻関連の産業というのは30年周期で動いているような気がします。1代に1回の好機があるのが普通で、それは一世代のうちに同じものを良いとは思わないということだと思うのです。たとえば、昔、ベルボトムが流行って履いた人が、またブームが来たからといって履くかというと、昔くさくって履けないと思うのです。そういうのを知らない新しい世代が、一世代前に流行ったことをブームにするから、また、始まって終わっていくという流れがあるのではないでしょうか。

話はもどりますが、昭和40年代にもなるとヨーロッパのブランドが日本にも流入し、和装の世界で手の込んだものを生み出しても商売としては成り立たないような時代になってまいりました。でも、林与もそうですが、今のそういうのを忘れてしまった世代にとっては、昔のものというのはすごく新鮮であったりいたします。
2011年05月24日
今日は、2つのお洒落な手紙が届きました。手紙がお洒落というのがハンドメイドやデザイン関連に携わってられる皆様だけに流石ですね。私の場合、コピー用紙に手紙を書くことがほとんどで…。ひとつは上島佳代子先生からで以前お願いしていたものをお送りいただきました。ありがたや。もうひとつは、藍染作家、梅崎由起子さんからは個展のご案内が届いたのでした。梅崎さんの個展をご予定を紹介させていただきます。

■「夏の二人展」 鈴木和子 梅崎由起子
2011年6月8日(水)~14日(水)10:00-20:00(最終日17:00まで)
神戸大丸7階 くらしのギャラリー 078-331-8121

■「涼薫る展」 個展
2011年6月25日(土)~27日(月)11:00-19:00
京都 omo http://www.moritamotoko.com/ TEL075-212-8676

今日の午後は、私の同級生の方が寝装関連の方とお越しくださいました。寝装関連でもリネンというアイテムは注目されているようですが、要尺がたくさんいるので、林与の生地を使うとかなり高そうなものにはなりそうということです。夕方はキッチンクロスの出荷など相変わらずバタバタです。

夕方には、コラボしがから電話をいただきまして、一つのチャンスをいただけることになりそうです。林与が現在取り組んでいるリネンクロスとキッチンクロス本に関してのお話だったのですが、もう一つ頭に浮かんだのが、昨年の10月くらいからやりたいなあと思っていた、林与に眠っていた昔の近江上布の世界を地元滋賀県の皆さんに見ていただくことです。

夜には機械屋さんがお見えくださいました。機械屋さんとも久しぶりにお会いしたので3時間ほどいろんな話をいたしました。国内だけでなく海外の織物工場を立ち上げるために織機や整経機を一人で設置しに行かれたりと忙しく動かれている方なのでお会いするのは困ったときに来てもらうことが多く、今日は平穏なときに来てもらえてのでゆっくりとしてもらえました。
2011年05月23日
昨日の夜は撮影をやり直しまして、今日は朝からキッチンクロスをアップしています。画像はまあまあですが、時間がなくって、もっと丁寧に撮らないといけないのですが、アパレル様からの電話などもいろいろといただいて一日が短すぎます。

倉庫にも行きましてご依頼の生地をセレクトしておりました。紺の生地をということで探していたのですが、黒と紺の色は似ているのですが黒と紺ではまったく印象が異なるのです。黒にも実際にはいろいろあるのですが、基本的に黒は黒なのです。でも、紺というのは紺は紺と言い切れずに、さまざまな色味の紺があって奥が深い色の一つです。

今日は、夕刻に加工工場の社長さまからお電話いただきました。仕事のことではありませんが、明るい話はないかなあというお電話くださいました。生産の規模が少なくなる中でも特殊な設備を維持していかねばならないので整備するためには一度に何百万円というお金が掛かるとおっしゃっておられました。林与も工場設備を維持しているのでその意味は良くわかるところです。

伝統工芸的な部分ではなかなか会社を支えていくのは難しいというのは実際のところだと思います。手間隙をとことんまで掛けることのできた昔と工業製品としての品質を求められる現代とでは、作品なのか商品なのかで価値のとらえ方が大きく変わってきます。最近の林与のものづくりは、作品的なものづくりが増えてきています。売ることを考えずに技術の限界に挑戦するようなことも今の日本では大事ではないかと思うのです。

お電話をいただいた社長さまも、日本の麻織物の仕上げの第一人者であられ、伝統工芸士をはじめとする職人を育む立場であられます。林与の本麻手もみ100番手はそんな方との取り組みや監修のもとでアパレル向けの素材として生まれてきた生地であったりしまします。そんな背景があるがために日本の多くのブランドさまに愛されてきた本麻手もみ100番手は日本の麻織物の1つの顔として続く限り残していかねばならないなあと思うところです。今の時代、他の産地でも似たようなものができるかとは思うのですが、それを生み出して守り続けるということは他ではできないことだと思います。

今日は夜、長年お付き合いのありました問屋さんの方からのファックスが入っておりました。この月末で会社を退職されるということで、私もこの仕事に入ってからは年に2から3度はお会いしていたお方ではありますが、滋賀県のご出身の方ですので、こちらにお立ち寄りの際にはプライベートでお会いできることもあるのではないかと思います。展示会の時にも先代と親しくしていただいていた皆様とのお出会いやご挨拶がたくさんありました。
2011年05月22日
雨が降って工場の近くの電柱の上に鳥の巣が作られていて周囲一体が停電になってしまいました。数時間停電したのは東円堂の一部ではありますが、関西電力の方がはしご車みたいので来られて鳥の巣を写真でとって撤去されて帰られました。素手ではありませんが、電柱の鳥の巣を手で撤去されていたので停電中ではありながらも命がけの仕事だなあと思います。

今日はたまたま日曜日ということで機械やミシンを動かす必要がなかったのですが機械を動かさねばならない平日に電気がないと仕事すらもできなくなるので、電気というのは今の時代大事だなあと実感いたします。工場内ですらも今日は真っ暗に近く作業すらもできないような状態です。

午後2時くらいには復旧しました。撮影した画像をアップして確認したところ暗すぎてカメラの設定を間違ってしまったようです。再度画像を取り直そうと思っています。今回のキッチンクロスのベースのオフ白はオフ白ながら非常に白く喜んでもらえるのではないかと思います。キッチンクロスのシリーズですので一つつづ買い揃えていただく場合に備えて安定的な白さを保つために数百キロを確保しました。

生成の色味の調整は紡績工場にとっても難しいのですが、同じメーカーの糸を使いながらもオフ白というのも色なども変化していくものなのです。リネンが人気になりすぎて紡績工場では、秋に原料が新たに確保できるまでの間の原料の確保にも困っているという話を聞いております。
2011年05月21日
最近の生成の色ですが、同じ銘柄でここ数年そこそこ安定していたものの、かなり、定番カラーとしてきたものから比べると薄めになってきています。生成はやや黄味がかって悪くはないのですが、薄めの色に変わってきています。これは、ひとつの紡績工場にいえることだけではなく、世界全体としてのリネンのカラーの傾向だと思います。

昨年の作柄は例年よりも良かったことが色をピュアっぽく変えているのかもしれません。しかしながら、色というのは好みの問題で、グレーイッシュな生成を好まれる方も多く、林与としましては、生成の色がぶれること自体、アパレル向けでは頭を悩ませる問題です。オフ白に関しましても、例年よりも白度が増してきています。これは、よい傾向のような気もいたしますが、白度のばらつきもアパレル向けでは、同じものが作れないということで頭を悩ませます。

2007年でしたか、ヨーロッパで長雨が続いた年には、どの紡績工場の糸も硬くて色が濃かったのを覚えています。今はその逆の傾向ではありますが、色がばらつくこと自体、安定性の面ではよいことではありません。色と品質を安定させるために畑の違うリネンをブレンドするという手法がとられると聞いています。そこは、リネン紡績工場のノウハウになってくるのだと思いますが、今はそれが行いにくい状況なのかもしれないと考えています。

リネンの紡績業界というのは、今は活況のようですが長い目でみるとこれがよい状況とは限りません。需要が下降するときには、急速に追いやられて供給過多な状況では、価格の急激な下落が再来し何年もの存続を掛けた価格競争に直面いたします。このときには、一国の紡績産業というのが壊滅することすら起こりえるのです。ファッションやトレンドというものの怖さではそのものでないかと思います。
2011年05月20日
本日、上島佳代子先生のリネン本が誠文堂新光社より発売されます。先生が世界を回ってコレクションされましたリネンキッチンクロスの紹介とリネンキッチンクロスを使って作る小物づくりが詰まった本です。林与も先生とのコラボが実現しまして、先生のアイデアを実現いたしましたカラフルなピンストライプのシリーズを新たにおつくりしました。

また、林与のミニキッチンクロスが読者アンケートの全員プレゼントになっています。ご本をお買い上げいただき、アンケートにお答えいただき切手を貼った返信用の封筒を入れてお送りいただけますと後日林与のキッチンクロスがお手元に届きます。そのキッチンクロスを使ったティシュケース、ブックカバー、ミニバックなどの小物作りが本の中で紹介されていて楽しみの詰まったリネン本です。

本で、ご紹介いただいております林与編の生機クロスや生地もサイトにて明日21日から発売を開始する予定ですので楽しみにしてください。出版を記念しまして、本日5月20日から8月末日まで、林与のサイトで10000円以上お買い上げの方には、「リネンでつくる小物」を1冊プレゼントです。
2011年05月19日
明日は、ファンド事業の中間監査がありますので、書類関連の整理をしておりました。おおむね、事業のほうは予定をクリアしておりますので問題はないのですが、書類を整備するのはなかなか大変です。書類というのは各企業ごとに異なった形式になっています。今年は2年目ですので、昨年の資料を手本に書類を整備していくことになります。

今年は、ファンド事業に使う海外からのリネン糸を仕入れましたので、糸以外の部分で、送料、通関検査料、なんとかチャージと乙仲業者さんに払う分がありますので、そちらの処理がどう行われるのかが審査の方にもお手間を掛けることになるかとも思います。

ファンドの試作に使う糸なのでそれほど多い量ではありませんが、通常の流通している番手の糸を使うのではなく、特殊にあたるものをわざわざ探して使うというところが意味のあるところではないかと考えております。頭を悩ませて糸を捜し、また、その糸を染めるのには、一工夫が必要で昨年とは異なる2通りの糸加工を考えています。織のほうも今年はリネンの更なる細番手のアパレル素材向けの総先染に挑みたいと思っており実現すれば、海外などでも注目いただけるものになると思います。

ファンド事業を通じては普段やらない新規のことを実行していきますので、いろいろな皆さまとのご縁が広がってまいります。これは単にものを作るときにお世話になる縦の関係だけでなく、元気に情報発信しながら動いていることで、同じ業界の皆様の認識も高まり情報交換などしていただけるとかのメリットも生まれてきます。

滋賀県というのは布という文化を非常に大事にして下さっており、滋賀県には、麻のほかに、長浜の浜ちりめん、高島の綿クレープという天然素材が3つそろった地域です。先日のプレミアムテキスタイルジャパンでも、お隣のブースは高島の4社での出展をされていて高橋織物さんの社長以外にもお若い社長さんたちもおられましたのでご挨拶に伺いたかったのですが最終日も自分のブースも守れないくらいに追われてしまっており、ご挨拶もできず残念なことをしました。

繊維関係というのは代々やっておられる皆様が多いので、時代の流れに乗りなららも新しいものを生み出しつつも、一時のことに流されすぎることなくしっかりと本業的な部分を守られているという部分があって、そういうのが地域の文化的な特色を生み出しているのではないかと思います。特に昔は労働集約産業であったがために、地域全体が繊維産業に携わっていることが多かったと思います。

ものがありふれている時代ですので、消費者の方に選択権があるのです。以前、彦根のおみやげ物屋さんを見たときに、80歳くらいのおじいさんが微笑んだ感じで職人芸で和ろうそくを作っているビデオを見ました。このおじいさんの作った蝋燭なら使わなくても、それを見ればあのおじいさんを思い出し、日本人のものづくりの価値観的なものを堪能できるのではないでしょうか。
2011年05月18日
織物の中で難しいとされるのがシャンブレーの織物なのです。糸が見えるので、麻糸のフシなどがコントラストがはっきりしている場合には特に目立ちます。糸の毛羽なども汚れのように見えるので、シャンブレー織物は一般的な織物に見えても案外難しいのです。

麻糸の場合には、糸の太いところと細いところがあるので、太いところがどうしても重なったり、細いところがどうしても重なったりすると、そこの色が濃く見えたり薄く見えたり、製品でも傷に見えることがあるのです。今の糸というのは一様性がなくなりつつありますので、織るのが難しいだけでなく製品になったときの見え方にも影響を及ぼしてきます。

こういう問題を避けるために、コットンリネンのような綿との混紡糸を使うほうほうがあります。糸がより均一になり見た目がより安定して見えるかと思います。ものづくりしている側からするとトラブルも少ないのですが、それではありきたりのものになるのでリネンを使うことで普通とは違うものに見えるのも大事ではないかと思います。
2011年05月17日
今日は、朝から書類つくりを行っておりました。洋服が2点アパレルさまから届きまして、サンプルと本番との糸の差などの問題を夜に考えました。同じ銘柄の糸を使っても染色方法により差が出るのかという問題です。

リネンというのは、バット染料で染めるほうがよいというのが私自身の中での結論ではあるのですが、今回もそれを肯定するかのような出来事です。サンプルの時には、ある問題を想定して万全を期してスレン染料で染めた黒を使ったのですが摩擦堅牢度が悪いということで染料を変えて対応するということで反応染料で染を行いました。その結果、染色方法の差による仕上がりの差が見えてしまったのではないかと考えています。

実は染料の差が先染では後での問題となりがちであることを危惧してのサンプルでのスレン染料のセレクトでしたが、やはり、反応染料で染めたことでそれが結果として起こったといえます。このあたりになってくると理論ではなく経験という要素が結果を予測する上で大事になってきます。

理論で考えていると大丈夫でも結果が駄目ということが多いので、今の時代、日本中で企画機屋さんというのが減少している原因になっている一つの理由ではないかと思います。糸の問題にしましても、一部の糸商さん以外は、問題が起こったときに「同じ同じ」と言われることが多いのですが、リネンは毎回同じではないのです。また、最近の麻糸というのは何年かほおっておくと堅くなって織れなくなりがちです。

そのことは紡績メーカー自体が毎回同じではないことを説明してくださいますので、どれだけ問題をしっかりと見つめるかだと思います。問題を感じた糸などはフィードバックをしているものの適切なフィードバックがなされないと、紡績メーカーの存続に関わる問題になってきます。リネンの紡績会社の方にも問題を教えてあげるとその問題に気が付いておられないことが多く、面倒がられることもなく真摯に耳を傾けてくださいます。それが紡績の品質向上と生き残りに関わってくるというのを実感されている証だと思うのです。

ジャパンブランドの品質を考える上で、大事だなあと思うエピソードがあります。林与では、今では手に入らないデッドストックのカネボウブランドのシルクを今も使うことがあります。光沢感などがやはり一級で機屋が仕上がりとしてみるときに全体的な品質がジャパンブランド的で異なるのです。きれい過ぎて逆に糸切れなどの難が目立ちやすいという欠点があったりもしますが、トータルでみるとやはり違います。

そのカネボウブランドのシルクにしても、最後はブラジルと上海での紡績でした。日本の技術がブラジルや上海で生かされながらも、その問題の本質というのは届かなかったようです。ナイロンの混入の問題などを認識しており、それがまさか、シルクの紡績工場内で混入するものとは思ってはおりませんでしたが、シルクに詳しい糸商さんとお話をするなかでその問題も究明できました。

紡績工場で使われるナイロンブラシのナイロンが抜け落ちて、糸に撚り込まれてしまうというのが結論と思っています。そんな状態の糸がカネボウブランドで何年も流通していたのは驚きでしかありませんが、カネボウさんが紡績事業から撤退されるような理由の一つになったと思います。紡績工場のブラシを毛の抜け落ちない良いものに変えるだけで大きく改善する問題だったろうにと思うのですが、ジャパンブランドと海外ブランドとの差がなくなってしまうようなエピソードです。基本的な品質の高さは疑いもないのですが、そのような問題があるので、林与では、その紡績糸を使うときには混入したナイロンを取り除く作業を行ってから織ります。ジャパンブランドのシルクにふさわしいものにして最終製品で他とは違うようなシルクの光沢感を残しています。

韓国で紡績されていたリネン糸に関しましても、染で起こる問題点を何度か指摘はしたのですが、糸商さんから紡績工場までフィードバックを届けようとする体制が整っておらずに、弊社では使用をやめる結果になりました。信号が出ているのをほおっておくと結局駄目なのです。韓国からバングラディッシュに移転されたのも価格だけでなく品質面での優位性がなくなったことにあるのではないかと思います。
2011年05月16日
以前、京都の問屋さんの方とお話していたときに、問屋さまのお客様が「本物」がほしいといわれていると聞いて、私自身は「?」な感じで、「本物」ってどういう意味ですかとたずね返したことがありました。

天然志向のブランドさんで、麻なら本麻、リネンならリネン100%、綿なら綿100%みたいなものが本物という定義のようです。ポリエステルとかレーヨンは、合成繊維や半合繊なので、たとえ100%であっても、そのお客様が求めておられる本物の定義には入らない感じでした。

合成繊維というのは、天然繊維の弱点を補う形で生まれてきたものが多いのです。コスト、均一性、安定性、機能性などでニーズに合わせた合成繊維には合成繊維のメリットがあるとは思います。世界的なブランドさまからも商談会の機会にお話をうかがっていると、リネンに対するニーズはあるものの、合成繊維ライクなきれいで光沢のあるものを探される傾向を感じます。

一方、インターテキスタイル上海はなどでは、とくに中国のバイヤーさんは、リネン100%なものは中国でもありふれてあまり興味を示されず、リネンでは中国で織ることのできない100番手を超えるようなものや、あるいは複合素材などを探しておられます。

世界では目新しいものを探そうとされる傾向が強い中で、日本人の100%ものへのこだわりや素材へのこだわりというのは特別ではないかと思います。林与自身、麻へのこだわりは非常に強く、リネン100%、麻100%のものづくりをするときには、自分らしいなあと感じます。素材やものづくりにこだわりを持つところが日本らしいところなのかなあとも思います。
2011年05月15日
先日の展示会で、今、定年を迎えられるみなさまからいろいろなお話をお聞きすることがあり貴重なお話だなあと思いました。35年ほど昔のアイリッシュリネンの背景を知っておられる方のお話や昔の麻業界の華やかだった時代のお話が聞けたり、展示会に出ているといろいろな情報をいただけます。

先代は昭和14年生まれで、戦争が始まってから昭和25年くらいまで麻織物は贅沢品として規制されていた時代がありましたので、60歳から75歳くらいの皆様が戦後の麻織物の復興が始まったときに一番お若い世代として働かれていたものと思います。戦前のものづくりを知っておられるのは85歳以上の方ということになります。弊社に昭和26年、27年の新聞紙に包まれた手績の糸があるのは、統制が解けた最初の糸ではなかったであろうかと思います。

林与一おじいさんがなくなったのは、私が3歳のときでして63歳と聞いておりますので、昔は小学生くらいから最初の仕事をしているのが当たり前ですので1915年あるいは1920年くらいから与一おじいさんは仕事を手伝い始めていたのではないかと思います。戦前をしっかりと知っているのが与一おじいさんです。先代も、学校から帰ると小学生のころから家の仕事を手伝わされていたという話でそれが終わらないと遊びに行けなかったそうです。

私もそういえば、小学低学年のころから時々チーズワインダーで糸を固める作業をしていました。小学生には堅結びはできても機結びは難しく習得できずに織機についているゴミ掃除や木管に残っている糸を取るのがお手伝いでした。小学生のころには、1ヶ月に1回くらい親戚一同が家に集まるような「おとりこし」と呼ばれる食事の機会があったように思います。

私自身も昔の話を間接的に聞いていることがほとんどなのですが、以前、愛荘町の歴史編纂に関する調査の方が弊社に来てくださったときに、親戚の絣織物を織っていたおじいさんの妹に当たるおばあさんのところにお話をうかがいに寄せてもらったのですが、なかなか昔がよみがえるほどにはお聞きすることができませんでした。昔の方というのは大勢でやっておられたので、一生一つの専門の仕事で終わることも多かったので、逆に全体をお聞きすることがなかなか難しいのです。

展示会などでは昔の林与のことを知ってくださっている皆さんが名前を見かけて懐かしいなあとブースにお越しくださり、若かりしころのお話やその時代の麻業界のものづくりを懐かしく語ってくださいます。そういうお話が私にとっては非常に貴重でありまして、林与自身の昔のことを辿るときのヒントやあいまいな部分を検証や再検討する助けになることが多いのです。また、ものの価値とはそういうところから生まれてくるのではないかと思います。60歳、70歳の方が仕事や人生を振り返ったときに思い出にのこるようなものというのは、本質的な価値ではないかと思うのです。

新しいものが次々と生まれて、次々と消えていくのが今の時代の流れですが、自分自身で取り組んで数年も掛けて形にしていくというようなものづくりというのが大事だなあと思います。実際に作られたものというのは同じものであっても外部的からの評価は、昨年、今年、来年では異なることが多いので客観的な価値というのは一定ではないのを感じます。みなさんが仕事を振り返られたときに思い出に残り、今はやっておられないのですかとたずねてくださるようなものほど、今はつくるのが難しくなってしまっているものが多いのです。
2011年05月14日
今日は42歳の誕生日でした。織機についているカウント41Mから42Mに1M増えるかの程度でノーインパクトですが、今週は東京出など忙しかったので充実しているときだと思います。

午後からは東京から平元聡氏がお越しくださいました。一昨年前のジャパンクリエーションでコラボさせていただいて、林与のデザイン室にはそのときに作っていただいたQRコードの衣装が残っています。林与の看板と同じパッチワークで作られていて、1M四方の生地を5枚作るのにオーバーロックミシンを駆使して1週間ほどかかりました。懐かしいなあです。

上島佳代子先生の新しいリネン本が出来上がり手元に届きました。誕生日プレゼントでしょうか。展示会にしましても、いろいろとみなさんが動いてくださいまして、支えてくださっているのを感じます。繊研新聞のほうにも林与のコメントが出ていたということで、テキスタイルツリーの成田さんからご連絡いただきました。

展示会のときに、テキスタイルツリーの成田氏とのお話で、赤苧の話がでまして、日本人がどんな麻を昔使っていたのだろうかという問題を考えるきっかけになりました。私の結論では、繊維の取れそうな草というのはできるかぎり繊維を取り出していたという結論です。海や川の魚を取るとか、柿やお茶などを収穫するのと同じで、野や土手の草すらもが繊維が取れるものなら洋服の材料として有効に利用されていたということだと気がつきました。

今なら殺して捨ててしまうマムシやムカデなんかでも、昔は、誰か知恵をもっているものがいて薬にしたりと昔の人というのは何もかもを活用するすべを持っていたといえます。
2011年05月13日
展示会終了後、アパレルさまに本日中に届ける荷物がありましたので、それを近くのクロネコの配送センターから送ってから東京を出発しました。滋賀県に着いたのは朝6時で少し休んでからレンタカーを返却して彦根での会合に出席して、午後2時に機料屋さんが来ておられたので展示会のお話などをして、夕方は展示会でいただいたお名刺などの整理をしておりました。

今回の展示会で感じたのは、リネンに対する需要の変化です。昨年までの展示会では、生成や後染タイプのものが主体で人気だったのですが、今年の人気は、先染のチェック柄でした。細番手化の流れも本格的になっておりリネン66番手でも十分細いのですが、さらに細い番手に対する興味をもたれるかたが増えてきました。

展示してあったリネンストールに関しましては、ビンテージアイリッシュリネンストールには非常に興味をもっていただき、また、リネン100番手クラスのシャンブレーストールやリネン66番手ギンガムシリーズなども、アパレルさまには生地以上に興味を示していただいたようで、リネンストールとしましては3年以上のロングランのシリーズになってまいりました。125番手のリネンギンガムストールを持っていかなかったのが残念です。アイリッシュリネンのストーリーに興味を持っていただいた方には、ビンテージアイリッシュリネンハンカチなどもご覧いただきました。
2011年05月12日
非常に煮詰まった一日を体験させていただき、2日目すでに最終日です。今日は、アパレル様とのビジネスマッチングを4件いただきまして、一日の半分は別会場の8階でおりました。ブースがお留守になってしまっており、来ていただいた方には十分な対応ができずにすみませんでした。

今日は、午前中に昔京都吉忠さまにおられた方が林与のロゴを見られて、「林与織物」でしたか?ということで話しかけてくださいました。30年昔の麻ブームのときの話で盛り上がりました。今は、京都でシルク関連におられるそうです。

またハードマンズ社のアイリッシュリネンのプロジェクトをご覧になられた糸商さんから当時のリネン糸の話をお聞きすることができました。やはり、共通項としては、ハードマンズ社とアンドリュース社のウォーターレッティングの話に尽きました。その糸も弊社には残っているので、やっぱり、林与が使わず残したのはそれらがその当時でも手に入れるのが大変なクラスの糸だったからだと思います。

ビジネスマッチングの会場です。リネンの糸の「亜麻色」の話がでたときに、亜麻色とは金色だという話になりました。亜麻色というのはグレートかベージュとかいう認識が定着し始めていますが、本来亜麻色というのはゴールドなのです。先日、5000円以上お買い上げの皆様に木管巻きをプレゼントいたしましたアンドリュース社の80番手のゴールデンアイリッシュリネン糸は、日本のリネン業界の方が35年ほど前にあこがれたゴールドカラーです。亜麻色なんだと思います。北アイルランドのリネン織物では、晒と生成の二つが有名で、染めることは少なかったがために生成の色にすごくこだわったのだと思います。その理由も、アイリッシュリネン紡績が終焉を迎えたのもウォーターレッティングができなくなったことが影響しているのではないかと思います。

ブースにお越しいただいたお客様からは、保存液に漬けてあったであろうフランスのアンティークブラウスを見せていただくこともできました。クチャクチャでパフパフなシルクを思わせる感触です。100年以上昔のものということで、リネンのたぶん200番手超えのクラスのものではないかと思いました。非常にきれいなので紡績糸だと思うのですが、感触がよくしわにもなりにくいのです。よいものを見せていただきました。再現してくださいというお言葉をいただいて、「いやあ、これほどのものは糸からしても難しいです。」と正直なお答えです。少量だと糸も見つかるかもしれませんが、織物は縦糸から準備すると2kg、3kgはテストでも必要となってきます。織れるか織れないかわからないものに動きにくいと思います。そんな糸が手に入ればぜひぜひチャレンジしたいですね。

皆さんがコレクションされた世界のよいリネンを触ったり見せていただいたりできるのは、うれしい限りです。そこにはものづくりのヒントがたくさん詰まっています。林与の幻のリネンプロジェクトでは、細い細いリネンにチャレンジしたいと思います。500番手を超えていければと思いますが数年では終わらない旅になりそうです。そんなのが昔のものづくりです。