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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2011年9月
リネン日記:26
2011年09月08日
布を作るときには、いろいろな制約があったりします。展示会などで目を引くものをつくろうとすれば、その制約をはずしてものをつくればよいのです。デザイナーさんたちはそういうものに目新しさを感じられるかと思います。

でも、そういうのは、学生さんが最初に布をデザインするのと似ています。使うという想定や基本がないので自由にものを作れるのです。コンテストなどが求めている布というのもそういうものがほとんどです。

実際に、お店に並べる商品をつくろうとすれば、別次元でのものづくりになります。織物の基本的な規格から外れないことが大事になってくるのです。林与には、基本的にしっかりとした規格があるので、実際にはその規格から大きく外れなければ、産地でものづくりをして過去に何十年もの販売実績のある布ですので、洋服にしたときに安心というのは一般の品質検査よりも安心してお勧めができる商品です。

人目を引くための布だけなら、どのように作るかは承知をしているのですが、実際にそういう布を探されている方が使われた後で困られることのないよいうにしっかりと規格を守るのが大事なところなのです。規格から外れるようなものを求められて、それに対応をできるブランドさんだと大丈夫なのですが、外れたものをつくるとそれに対応できるだけのブランドさんの企画の方のものづくりの力量が求められることになります。
2011年09月07日
今日も秋らしい空気が澄んだ一日で、田んぼの稲がゴールドの稲穂を垂れています。お米って本当に贅沢な食べ物だなあと思うのは、稲も草の部分はたっぷりでも、食べられるお米は先のほうに少しだけしかならないというところです。日本が、それを主食にしているのも不思議だなあと思います。しかも、田植、稲刈はもちろんですが、半年以上も、準備に手をかけて、水、肥料、雑草、などの管理もあり、面倒がってはできない仕事なのです。

そういうところがあったからこそ、工業製品においても日本人らしいものづくりができたのではないかと思います。農業も近代化すると、作っているものに価値を求めるというよりも、ビジネスとして成り立つかどうかの話になって、それを大事に守るべきものなのかどうかなどわからなくなってしまいます。

今日は、夜に先日、導入しました大判プリンタを試運転してみました。何が正しいのかもわからないままに何とか、大きなポスターサイズで写真が印刷できたのは、大きさが大きいというだけで感激ものです。この大判のプリンタも、色の表現性という意味では実物に近くするためにインクも8色使います。インクを8色交換するだけで5万円くらいになるのでランニングコストの面を考えると非常に贅沢な話です。このプリンタは布用ではありませんが、インクジェットでの生地への印刷というのが高コストなのがよくわかります。

また、これが壊れると修理の人に来てもらうのが高そうで壊さないように使わないといけないなあと思いつつも、手を加えて布に印刷したりしてみようかとも思っています。顔料インクなのでにじみにくくて、そのまま洗濯もできそうで、本番は難しくても色柄を試作するのにはよい気がしています。
2011年09月06日
今日は、東京からyourwearの佐藤さんが起こしくださいました。下着用に使う生地を探しにこられて、伸び縮みの少ない布帛でどこまでのものがつくれるのか、縫製工場さんとも相談をさせてもらって進行を始めています。

途中、縫製工場さんに行く途中で、琵琶湖を眺めに行きました。この前は、台風の中、修羅場のような琵琶湖でしたので、今日の琵琶湖はウィンドサーフィンなどする人もたくさんおられ、シーズンオフに入ったもののリゾート情緒がありました。

景色を眺めていると、滋賀県というのは本当に山に囲まれているのを感じます。西には琵琶湖の反対側の山が見えて、北にも山が見えて、東にも山が見えてで、四方をぐるっと山に囲まれているのが、今日の空気の透き通った秋晴れのおかげで確認できました。

夜には出荷で彦根に行きました。ばたばたしていまして、出荷のドライバー控えの紙を印刷するのを忘れてて、コンピュータ化されすぎていてひとつ手つづきを失敗すると修正が非常に困難だったりで、出荷ひとつもコンピュータに管理されている気分です。
2011年09月05日
今日は、午後からファンドの審査がありますので午前中は資料作成を行っておりました。8分ほどのプレゼンなのですが、語ろうとするとどうしても8分では背景などを深く語ることは難しいなあと思います。

新しい商品をつくり、具体的にそれで産業を発展させるというのがファンドの主旨なのですが、今の時代に、新しい商品を作ったからといってそれで食べていけることは難しいというのは当たり前のところになっています。新しい商品というのは消耗品に過ぎずブームとして1とか2年で飽きられてしまうものではないかと思います。

以前、ある方とお話したときに、国の補助金事業などでも、新しい商品のものづくりを支援しても、実際「売れるもの」というのは本当に少ないということで、おっしゃられているそのあたりの意味はよくわかるのです。それは、普段から当たり前に新しい商品をものづくりしているのですがそれってそれほど目新しいことではないのです。

普段から、面白いとか売れるだろうなあと思って、10個ものをつくっても、結局、売れるものというのは、そのうち1つとか二つなのです。しかも、大事なのは、売れるものでも売れ続けることはないというところで、結局、良し悪しの価値判断の基準が売れる売れないというところになると軒並みなものづくりに終わってしまいます。

林与もやりたいことがあって、たまたまファンドを活用させていただくという形が望ましいのかなあと思うので、3年も使うので、自分のやりたいことをしっかりとやりきるというのが一番大事だろうなあと思っています。ビンテージアイリッシュリネン140番手が織れただけでなく、この2年の取り組みで、従来、麻業界でも難しいといわれていた100番手、120番手を超える総先染のリネン織物を量産レベルと織こなせるようになったことはオンリーワン的な位置づけではないでしょうか。

単なるひとつの商品の開発に終わらず、リネン業界を変えるような技術の進歩を遂げたことは今回のプロジェクトの大きな成果だと思っています。
2011年09月02日
今日は朝から、ファンドの3年目の審査のためのパワーポイントを作りました。撮影した写真などをデジカメなどから探してなんとか10時頃に提出が完了です。写真をたくさん使ったプレゼン資料になっています。このプロジェクトも最初は織れるかどうかわからないところからスタートして無事に布もハンカチも出来上がり、林与の人生の中でも一つのメモリアル的なプロジェクトになりました。日本だけでなく、ヨーロッパでも文化として途絶えてしまった価値観の世界を、林与が求め続けられるのは何か大きなご縁に支えられていて不思議に思います。

ただ、珍しいものを作るだけだと皆さんにご評価いただく機会が少ないと思い、いろいろな展示会を通じて多くの方に見ていただく機会を求めました。同時に情報収集も行いました。200番手から300番手クラスの手織のものだと思われるリネンも拝見させていただき、それが、リネン1000番手を目指すような林与のライフワークとなるであろう「幻のリネン」プロジェクトの発足につながりました。北アイルランドの紡績産業の幕を閉じたといわれるハードマンズ社のサイオンミル。皆さんからもいろいろな情報をいただき、残念ではありますが北アイルランドでのリネン紡績というのは、とっくの昔に消えてしまったという結論にあります。

問屋さんやアパレルさんまではその情報が伝わっていないことが多かったりと、さらに、百貨店のバイヤーさんや消費者の方が正しい情報を得られることは、林与のホームページを通じて以外にはなかろうかと思います。私自身にとっても、最高峰というアイリッシュリネンの価値観だけが一人歩きしてしまっていて、実際のアイリッシュリネンの世界が何なのかというのを経験できる貴重なプロジェクトになりました。

アイリッシュリネンが消え去った背景には、織物業界に革新織機と呼ばれるレピア織機の登場が大きく影響していると思います。生産性の高いレピア織機で織れるものほど需要が高くなり、レピア織機で問題なく織れない糸というのは、より細くよい糸でも価値がないと判断されるような時代になったのです。これというのは手織りの時代には、細い細い糸があったのに、力織機の時代になってからは糸というものが量産のものになって扱う糸も太くなり均一性などが極端に落ちたのと似ています。

今日は、台風が近づいてきているということで雨と風がきついです。電柱などが根元から折れてしまっているような箇所もあったりで、丈夫に見えるものでも脆いのだなあと感じます。以前は風で電柱が折れることが少なかったように思うのですが、最近はいろいろなところで見かけるのも以前以上に価格的な問題で中身が脆く作らるようになってしまったのではないでしょうか。
2011年09月01日
今日から9月ということで秋モードです。夏の日差しの強さが懐かしく思うほどで、季節というものが移り変わっているのを感じます。今日は午前中に琵琶湖の反対側にプリンタを取りにいきました。生地幅までプリントが出来るということでデータ作りや試作を自分のところでして本番を捺染工場に依頼するような形ができないかと考えています。近江上布柄の復活を目指しています。

会社に戻った昼過ぎには、糸ビーカーが染まり上がってきて、予定通りに物事が進むと助かります。早速、ビーカー確認のための手配を行って、仕事を前に前にと進めていきます。まだ、来年の春は遠いように思いますが、そろそろ作り始めないと11月から2月というのはキャパオーバーで限られたキャパの取り合いになりものづくりが出来なくなるのです。

リネン120番手のカラーシャンブレーシリーズがきれいに上がってきましたので、試作品つくりのために長浜のDENさんに生地を持っていきました。シャンブレーというのは玉虫効果が出て、普通の後染めと比べると上品に見えるのですが、糸の斑が見えてしまうので悲惨な結果に終わることも多いのと細番手は織段が目立つので心配をしていたところです。次は贅沢に、リネン140番手のカラーシャンブレーシリーズをハンカチ用に考えています。
今、リネン140番手のピンストライプも織っていますが非常に良い感じの仕上がりで、これも、リネンハンカチのコレクション向けです。

家に戻ると北海道から送られてきたタラコが届いていました。「多良の子 まごころ500」というものなのですが、おいしくてご飯が進みました。これも、北海道虎杖浜の特産品ということで協同組合の認証が貼ってあり、地場産品として作られているもので、スーパーのタラコとは別格であるのを実感できます。