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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2011年10月
リネン日記:29
2011年10月10日
昨夜から、ジャパンクリエーションに向けての作業が続いています。布づくりはほぼ完了で、あとはプレゼンをするかという部分で、カバン生地を生地というだけでなく、カバンの形にしようと、バッグをデザインしました。

無理と縫製を減らすようなデザインで、それも織物屋のコンセプトがあって布らしくよい感じです。完璧なカバンというのは完成度が高いですが、布らしいインパクトを大事にするカバンを作りたいという意味での林与オリジナルのカバンです。

カバンと一緒に、帽子と手袋を作りました。リネンなので冬の手袋としての実用性はゼロに近いですが、キッチンなどで鍋持ちなんかに活躍しそうな気もします。帽子はエスニック調でそれなりにインパクトがあります。千利休がかぶっているようなタイプの袋状の帽子です。フサがかわいいのです。秋冬の展示会では、アパレルの方ではなく、資材、帽子、バッグ、靴などの業界の方がリネンという素材でものづくりをしたいというお話が多くありました。

企業紹介冊子の印刷に時間をつかっていますが、画像の色調整をしても紙の上で上手に色が出ないのです。大判のプリンタを使うことにしました。業務用のプリンタというのはさすがですね。色を一切調整しないでそのままで画面と同じ感じで出力ができます。
2011年10月09日
展示会の前で、展示会に向けての準備が続いているのですが、今日は村の運動会です。私の出る種目は2つだけにお願いしてムカデ競争と最後のリレーでした。リレーは通常の種目と違って、各区2人だけで私が一番年配くらいになって中学生なども出てきています。

スタート係の体育委員をしている私と同世代の子が、私のお腹がちょっと出てるの見て若い子に混じってかわいそうやねえ、若い子らに負けんときやみたいな話なので、1年に一度だけの全力疾走をしました。終わったあとすごく疲れてましたがあまりに速すぎたのか、幼稚園とか小学低学年くらいの子供の人気者になってしまって、どうやったら早く走れるのとか本気で聞かれて、「ほうれん草」を食べたんやと答えておきました。たぷんポパイを知らないと思うけど子供たちの頭の中が爆発してました。

鬼ごっこをしようと誘われて小さな5人子供に混じって大人一人が20分ほど運動会が終わるまで一緒に鬼ごっこなのです。子供みていると優しく、鬼になると、「氷鬼」というのでしょうか、動けない鬼になっているとタッチしに助けに来てくれるのです。子供たちも鬼ごっこが楽しいのではなくて一緒に遊べる仲間を探しているのだなあと、今日の運動会も私が参加したのは2時間ほどでしたが子供たちの遊び上手には感心します。

リーダーが私じゃなくリーダーになる子がいて、みんなを引っ張って楽しくまとめているのもさすがです。子供たちは私の雰囲気の中に自分たちに共通する何かを見つけたのか、普段話したこともない、おっちゃんに声を掛けられる優しい子供たちが多いのも、小さな村の良いところかもしれません。
2011年10月07日
インターテキスタイル上海などでは、インドの方のリネンに対する関心が非常に高く、セが高くてがっしりとしたインドの方が林与のブースにいろいろと興味を持ってくださっておりました。また、リネン紡績工場の方からも中国原料を使用したリネンなどの今最大の輸出先はインドであるという話で、インドの市場としての可能性を常に考えておりました。

また、業界内での情報だけでなく、インドの人口増加率や経済成長率、また、自由貿易の推進化など、日本国内でも中国の次はインドではないのかというムードが広がってきています。また、インドというのはイギリスの植民地であったがためにイギリスの文化の影響も受けています。リネンが好まれるのもその影響が大きいのではないかと思うところです。また、インドは暑い国で、麻というものが愛されるのは自然なことだと思います。

そんななか、11月に経済産業省委託のインド市場調査事業に参加させていただくことが決まりました。1週間の日程の中では、デリー近郊での展示会なども予定されていて、多くのインドのバイヤーのみなさんと情報交換ができるのではないかと思います。インドに興味をもっているときに、国の調査事業に参加でき、展示会や現地の工場やショッピングモールを見学する機会が巡ってまいり、ありがたいなあと思います。
2011年10月06日
今日は午後から東京からリネンバードさんがお越しくださいました。今作っているクロスの撮影に起こしになられました。織りのテスト、半分、残り半分と3本に分けて作業をしたので、きていただいたタイミングとも合って、いろいろな工程をごらんいただくことができました。

倉庫の生地なんかもごらんいただいて、特に昔っぽいようなイメージのものに興味を持ってくださり、作っても違う感じにしかあがらないなあと思うような年季というか、重厚さが詰まっているので珍しく見えるのではないかと思うのです。セピアな感じでしょうか。

昔の糸の白というのは独特に見えます。すごく白くって、これは、生成を日本で白に晒したからだといえます。本晒という工程で晒されているので昔のものは白いだけでなく、光沢感がより際立つのです。それが時を経て焼けた感じになるとベーキングしたような色味で光沢感がいい感じなのです。

そういう価値観の世界って面白いなあと思うのです。何十年も掛けて味が出てくるというのも気の長い話ですが、昔のものほど本質的な部分でしっかりと作ってあって、コスト競争の中ではその技術すらもが消えていくというのを反物が語っています。

反物に付いたラベルすらもが織物業界の歴史を語ります。反物を加工した工場や染工場さんがなくなってしまっていたりすることも多いというのを感じます。日本で一番の技術と言われたところが高度化しすぎ大きくなりすぎ消えていくのは常のことで、それは一般に共通するところではないかと思います。技術も行き着くところまで行き着くと何人もの人間がひとつのものを作るのに協力が必要だったり、工程が多岐にわたりすぎるのでさらに手を掛けることが難しくなったときが頂点でそこからは技術も落ち始めるのです。新しい技術を開発するよりもしっかりとものをつくれるような価値観や考え方こそが大事ではないかと思います。

倉庫に残るそういう反物を見ていると日本の技術というのは味があるなあと思うことも多いのです。探そうとするものが新しい技術で生み出されるものにあるのではなく、昔に作られた力を注いだものの中にあるというのはそれがものづくりの本質なのかとも思います。
2011年10月05日
今日は、オーガニックリネンのカラーカードを見ておりました。色に染めてある糸ですが、草木染ではなく、化学染料染です。オーガニックというと、日本人的感覚からすると染めも草木で染めでと希望される方が多いのですが、リネンは汚れが落ちやすいという性格をもっていますので、それは裏返すと染めた色が落ちやすいということなのです。

濃い赤の色をみると反応染料で染めてあるのかなあと思ったりします。色のついたものは、生成とオフ白の世界とは別世界で、それはそれでバリエーションを広げるのにはよいものだと思います。アパレルブランドに要求されるような摩擦堅牢度や耐光堅牢度をクリアするためには仕方のないところなのだといえます。

草木染で染めるようなオーガニックリネンの世界というのは、濃く染まりやすい藍染くらいが一番落ち着くのかとも思います。媒染剤として金属系のものを使えば、それは草木染であったとしても、オーガニックなんだろうかという部分にぶつかるでしょうし、藍染自体が昔から麻に使われていたということも昔に戻る自然な形でしかないのです。

無限の色が出せるかというと草木染の世界では制限が付いてきます。赤は茜の赤色を使う。でも、コチニールのような虫をすりつぶしたものがどうして、草木染なのかと疑問に思ったこともありましたが、より赤らしい赤を出すために自然もので一番きれいに出るものを探した結果がコチニールだったのでしょう。ログウッドにしても、コチニールにしても、遠く遠くから運ばれてくる話を聞くと、今の時代のLEDではありませんが、青色が開発されたことにより、瞬く間に世界中の照明がLEDに置き換えられたのと似ている気がします。
2011年10月04日
今日は、田んぼにコスモスが植えられているのが開花し始めています。寒くなる秋に花が咲くというのも考えてみると不思議なものです。昔だとこんな光景は珍しかったのが、ひまわりが植えられたり、コスモスが植えられたりが当たり前に感じられるようになりました。

遠めに眺めるにはきれいで、畑によっては、一つ二つほしいと思えば植えている方もどうぞお取りくださいという町をにぎわすような商売抜きの気持ちでの事業もあります。それはそれで、地産地消的な楽しみがあって家に持ってかえって眺めていても意味が深いものだと思います。

知り合いの方から聞いたのですが、昨年は大根が豊作気味でトラクターで最後つぶしてしまうそうで必要なら取っても良いというような農家の方があるとのお話を聞きました。せっかく育てたものが、何の価値もなくつぶされてしまうというのは、日本の国というのは豊かだなあと思います。

林与自身は、なるべくご飯などは最後まで残さず食べるタイプではありますが、それをしていても、その裏では、大量に食べ物が廃棄されてしまっているというのは、個人の努力というものがそれほど力にはなりえないという悲しさです。

ファーストフードチェーンで、何分か以上放置したものは廃棄処分にするというのが衛生品質管理の徹底でよいことのように謳われていますが、捨てても大丈夫な程度の食べ物であるというのは悲しい気がします。

コスモスを見ていても見るだけのためにこんなに大量に植えるのは贅沢だなあと思うのですが、そういうのが今の農業の一つの形なのだろうなあと感じます。食べ物も保存する技術がしっかりとあれば捨てなくても済むのになあと思いつつも、今の時代それが進んでいるから代替されてしまい嗜好が変り、新鮮な食べ物の価値というのが落ちてきたのだろうと思います。
2011年10月03日
今日は、朝一で加工出し、午後からは大津のプリンスホテルで、中小企業団体中央会の滋賀県大会がありました。そのあとレセプションもあったのですが欠席させていただいて、野洲の紺九さんにお邪魔しました。

紺九さんでは、林与の生地が本藍染めに染まりあがっていました。林与が織った140番手や100番手をストールに染め上げたものは、今までのソフトなストールとは違います。すこし、ハリがあるのですが、その肌あたりの自然さが魅力で、肌に痛くないのです。超高密度細番手の厚地も2mだけですが染めていただきました。こちらは、ワンピースにすると素敵ではないかと思います。ジャパンクリエーションの場で皆さんにご覧いただこうかと思っております。

紺九さんの魅力は藍染の中でも、重要文化財などの修復にも使われる古来からの藍染の形を守っておられるところです。そんな藍染のストール、本物の藍の香りがいたします。販売も計画いたしますので楽しみにしてくださいませ。

森さんとお話していると、つい昔のものづくりの話になります。野洲晒が近江上布を支えていたということも今日のお話では出ており、いろいろな謎が解けてきます。お話していて、林与が頭の中でたどり着いている昔の麻の世界のものづくりと整合していている感じがします。

出来上がるものだけでなく、作り手の普通とは違う価値観というものが、他とは違う世界を生み出すためには一番大事ではないかと思うところなのです。
2011年10月02日
リネンの特殊な糸を使ってウィンドウペンを作ってみています。予想通り良い感じに見えます。リネン100%の特殊な糸というのは非常に少なく、アクセントになる太い糸を作ろうとするとなるとなかなか難しかったりするのですが、この糸は良い感じに軽く仕上がりしかも上品です。

今日は、インターテキスタイル上海の飛行機の手配を行いました。もう間際過ぎて飛行機がとりにくい状態になってしまっていて、日程的に都合の良い飛行機というのは、トータルで9万円くらいします。現地で前後余分に宿泊することを考えるのも手ではありますが、生産時期に入って時間的には余裕がありませんので仕方のないことかと思います。

ジャパンクリエーションのホテルの手配なども行っておりますが、なかなかホテルの確保などは難しいようで、一方で、震災時期の状況とは打って変わって正常な経済が取り戻されつつあるのを感じます。ホテルが安く取れるのを喜んでいるというのは駄目で、ホテルがなかなか取れないくらいのほうが、本質的な意味ではよいのだと思います。

食材すらもがほとんど手に入らないというホテルのブッフェも春には経験しましたが、そんな状態を乗り越えられたホテルというのも大変な努力ではなかったかと思います。
2011年10月01日
今日は、10月1日の月始めながら土曜日だったので、1日ということを忘れたままの一日でした。でも、それに気がついたのが、夜、西濃運輸さんに荷物を持ち込んだときに、皆さんが着ておられた制服が白からブルーに変っていて、ああ、衣替えの季節なんだと思いました。

それなりに夜は外も寒くなり、もう暑さというのが昔のことのように思える感じです。ヨーロッパのフラックスのリポートも届きまして、今年のフラックスの作柄というのはあまりよろしくないようです。

土曜日というのは外からの電話などが少なくて落ち着くのですが、週休2日というのが当たり前の時代というのは、平日が修羅場で、これって、逆に職場環境が悪化してしまっているだけではないかとも思います。普通に働けるような環境ではなくなりつつあり、日本でのものづくりというのは難しいなあとつくづく思います。

今の時代、仕事を実際に動かしている人というのは、結局、週末に月曜日に向けて準備していることが多くなっているのではないでしょうか。大勢でやるものづくりというのは無機質で、一方、一人でやっている田舎の職人さんのものづくりのほうが味があるのもじっくりと時間を使えているからではないでしょうか。