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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2012年6月
リネン日記:26
2012年06月09日
今日は、午後から来春夏の企画の件でアパレルのお客様がお越しくださいました。素材ごとに、各工場まで脚を運んで企画を練られます。実際に工場や生産背景を持ってものづくりをしているところを弊社に限らず大事にしてくださっている感じが強く伝わってきます。

それぞれの素材に強みのある企業と取り組んでおられ、何処何処の何々という説明ができるのが当たり前で、単なる品質表示のタグには終わらない、こだわる形のものづくりです。私自身、他の会社の作っておられる麻のことはほとんど知らない状態で、自分の世界の中でのものづくり、それが別に恥ずかしいことではなく、強く求められているものじゃあないかと思っています。

林与の麻生地が他と違って見えるのは、自分のスタイルを貫いているからだと思います。せっかく自分がやるからには、自分らしいものづくり、それはニーズに合わせるのではなく、自分が作りたいと思うものを作ってみるという贅沢なものづくりなのです。

ものをつくることに力を注ぎすぎて売る体制ができていないとお叱りを受けるケースが多いのですが、追われながらもできる限りで動いておりますのでよろしくお願いいたします。
2012年06月05日
夜になると、水が流れる音がします。水道を開けっ放しにしてしまっているのかと心配なのですが、これは、村の中を流れる側溝の中を水が流れる音です。今はコンクリートで固められてしまっていますが、村の中を流れる水が、この時期だけ、農業用水として村の周囲の田んぼに引き込まれます。

今年は原発も止まっていますので、昔のような夏が戻ってくるかもしれません。近江湖東は鈴鹿山脈からの水が琵琶湖までつながっている場所です。鈴鹿の山に向かっていけば、平地では見かけなくなった蝶も、トノサマガエルも、ヘビだって、猿にだってであうことができます。

本来、ものづくりというのは、人里離れたような場所でのほうが邪心がなくてよいのかもしれません。島で暮らす人たちというのは、生活に制約が大きい分、人が我慢もできます。環境が恵まれ、普通を求めると特別なものが作れないケースも多々ありえます。

今日は、午後からお客様でした。前向きな姿勢を評価いただいてでしょうか、いろいろな方が大きなチャンスをくださいます。今日も二つのチャンスの電話をいただきました。
2012年06月04日
今年の糸は本当に大丈夫なのかなあと、糸を触っていて思います。本来、問題の少ないはずの25番手クラスで作業の途中工程で色斑に関しての違和感を感じるなど、糸を扱われている方がこの危うい状況を認識できているのかどうかが不安なあたりです。

生成でこのまま使うのも危ない状態に思えますので、染めたりすると余計に問題が起こってきそうです。来年の春夏の企画というのはリネンに関してどこのアパレルさんも糸のトラブルで苦労をされるのではないでしょうか。

パリの展示会では、ベルギーのフラックス工場の方お話しましたが、昨年はここ十数年で経験もしたことのないほどの不作の年で、今年のフラックス原料ではというのは、40番までのものしか作れない、といわれていました。いわれていることが本当のことであるのを実感いたします。
2012年06月03日
今日は、日曜日ながらも遅れている仕事のひとつを工場で織機に向かい合っていました。Tシャツを着ていて汗ばむ感じが心地よいはずが、あまり心地よくなく、喉が渇いて集中力が足りないのです。それでも朝から半分以上の問題を直して切のよいところでお昼休憩。

昼休みに近くの豊満神社の裏で森林浴をしてから作業にもどり、夕方からはその続きで、前に進まなかった仕事というのが軌道に戻り始め、なんとか、織り出しをできる目処すらもが見えてきました。前に進めないことが前に普通に進まないとき、それは終わりだろうなあと感じることもしばしあって、日曜日のひとがんばりで、やればできるというところまで戻せたのでよかった。

夜にもうひとつとまっていた仕事の件も、解決方法を見つけ出して織を進めることができ、数日とまった織機を動かすことができたことは、一番意味のあるところで、そういう壁があってその壁を越えたところに自分だけのものづくりがあるのだろうなあと。壁があること自体にもありがたさを感じます。

よくよく考えてみると目の前にある壁というものはかならず乗り越えていることがほとんどで、その壁みたいなものから一度逃げてしまうと次の時にも同じこと。動く織機も動かなければ鉄の塊、できるできないの差というのは、結局、やるかやらないかの差、この仕事の厳しさのひとつだといえます。
2012年06月02日
機械のギアというのは、単純に作ってあるように見えても、37のギアは37個の山があって、50のギアには50のギアがある。そして、機械側のベースとなるギアを決めてあることで、その数字のギアをさせば、正しく回すことができるのです。私はそのことを人に優しくすごく美しいと思います。ギアというのはどの織機でも共通で、逆に織機の基調のギアを織機のタイプごとに決めることで、汎用的なギアをいつでもつかえるというのは、まさに、ユニバーサルデザインそのものです。

ベースギアが37で、45のギアをつければ、打ち込みが45本の織物ができたとしても、ベースギアが37で、35のギアをつけても、ギアが小さすぎて機械がうまく動かないというようなことがありえます。そういう場合には、ギアの比率が37対35の近い数字になるようにギアの組み合わせを選んであげます。これも、対応表があったりして、職人さんというのは普通その対応表をみてギアを決めるのですが、簡単な計算でその対応表がなくてもギアを決めることができます。

逆にベースギアが37で、80のギアをつければ、打ち込みが80本の織物ができるかというと、打ち込みが厚い場合などには、横糸が80本まで織り込むことができませんので、織前のラインがどんどんと後退していき、布がダブって織れ始め機械がしんどがります。

打ち込みをあげることができるかできないかは糸の番手だけでなく、糸の張力との兼ね合いでもあって、張力がなければ、打ち込みをあげることは難しく、糸の張力がありすぎるドビーが開ききらないなどの問題で、逆に張力不足で厚く織れないなど、厚く織るためには厚く織るためのノウハウがあります。

厚く織るときになぜあぜ棒を入れるのかも、あまり説明ができる人が少ないと思いますが、テコの原理が働いて、しっかりと糸を引っ張ることができ、糸に緩みが生じにくくなり、糸の開きがしやすくなるからです。とくに、もっもける問題の多い、密度の高いシルクや麻などを織るときにはあぜ棒を入れてあげることで織れるようになることも多いものです。
2012年06月01日
午前中は京都からお客様でした。本麻のものを中心にご検討くださっていますが、ガチな本麻のものというのはリネンのものよりも作ることが難しいので、再度、この数週間でできるのかできないかというところをつめていかないとならないところです。昔は簡単にできたものでも、今は需要があるからといって、作ることが難しくなっていますので簡単にはお受けできないのです。

今日は、輸出の荷物が順調に神戸を出ました。確実なプロセスを踏んでいくとどこまでも時間のロスが増えていくものだなあと思います。今回の荷物の出荷にしても、輸送に関して海外の商社が間に入られて、送金のドキュメントが依頼書に記入しただけで銀行で処理された形跡がなかったので入金を待つ形になり週末をはさんで発送が5日ほどさらに日数がかかりました。シッピングの納期も、最初は船積み納期に設定していたのですが、今は、週末や通関などの不透明な要素がを少しでも少なくするために、EXMILLに設定をしています。

FOBに関しては一般的な方法なのですが、相手に確認することが多くなりすぎて、この点もスムーズな出荷をするためには、別の方法に変えたほうがよさそうな感じですが、まだまだ、輸出に関しては勉強中の部分が多いので、教えてくれるところに勉強代というのは支払っていく必要もあるのかと思います。これはノウハウに対する評価であるので、ものづくりに共通するところかもしれません。

夕方には、別の案件をDHLに持ち込みました。極厚手生地ですが、出来上がったものに触れるとこれすごいなあと思うもので、非常に気持ちのよいタッチのリネンで、起毛はしていませんが、スウェード感があって、カバン用、カーテン、ブランケット、カバーなど応用範囲は広そうです。しかしながらも、重いので値段は相当高いものになってしまいます。夜には、ネットの出荷など行いました。キッチンクロスおかげさまで好評で品切れ状態が続いており、今、織りを進めておりますが、今しばらくおまちくださいませ。