2014年01月01日
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
ジャガード織機の調節を繰り返しながら年を越しました。年末年始というのがピークのときなので、仕事をしなければピークのときに仕事をしないお店を開かないようなものなのかなあと思うのと、私自身は普段時間におわれて仕事をしているので、外の世界が止まっている時間に時間のかかる仕事をできるのはよいことだなあと思えます。
私自身はこういうのが織物の世界での職人的な気質ではなかろうかと思うのです。普通にしていれば織物なんて特別なものは出来てこないし、技術にしてもタイムオーバーばかり。自分自身で覚悟の努力しなければ人よりも上の技術は身につかないだろうと思います。
昔は、織物の世界にも神とか鬼のような技術をもつ人がいたのだろうと思います。たとえば、昼に田畑、家の仕事をして、夜に時間を費やしながら手機を動かしたようなおばあさんにしても、仕事は今の時代以上に厳しく美しいものです。そんなおばあさんが今の時代にいるのかというといないだろうと思います。
私自身はメンタリティの面でもそういう昔のおばあさんを当たり前に超えていないと、らしいモノづくりはできないと思うので、普通の生活とは違う生活の中でのモノづくりというものの中で、普通とは違うデザイン的な感性も高まろうかと思えます。仕事に対する感覚も特別であるのが大事だろうと思っています。
展示会などでも、70歳手前あるいは超えておられるであろう機屋の方が、毎回何件か、はじめましてとご挨拶に来て下さることがあるのです。40半ばの人間の話をわざわざ聞きにこられても得るものは少ないでしょうが、意気込みみたいなものを見守りに来て下さるのだろうと思うのです。
数ヶ月の経験が一生の経験を上回ることも普通にありえるのが織物の世界で、そのためには素直さが一番大事だろうと思います。お話をしていて競争心むき出しの方が居られたりするのですが、自分のできる範囲がすべてですので、出来上がったものにしても他の人と競争をする必要はないと思っております。
自分がつくるものが自分のつくったもの、人がつくったものは人のつくったもの、価値はまったく別物で、人の作ったものがよく見えて真似ようとすると自分を失い、邪の道に入ります。たまたまでありますが、林与がテレビを見ないのも、流行を追わない自分のスタイルの発信に繋がっているだろうと思います。麻織物の価値観というものは麻織物を作るものが自分の中にもってこそ一番意味があろうかと思うところです。また、そこに家ごとの布の特色もあらわれてよいんじゃあなかろうかと思います。