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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2014年3月
リネン日記:22
2014年03月03日
京都で職人さんと話をしていて面白い話がありました。その工場には大学生が授業の一環で見学に来て染色を体験するということで、教えると本職以上に正しく丁寧に作業するので、職人が作った販売しているものよりもよいものができるということです。

これは優秀な大学の大学生だからということでもないと思います。小学生が始めてミシンで小物をつくるのにゲストティチャートして立ち会いましたが、本当にまっすぐに縫うことができるのです。大人だとまっすぐ縫うことを意識しないとできないのに、小学生がまっすぐ縫うのを意識しないでできるというのも。小学生だとまっすぐ縫うことを頭ではなく体が意識していて頭が考えることなくというところでしょうか。

でも、そういう学生さんが本職の道でやっていけるのかというと、その単純作業に無欲で向かい続ける姿勢がないと仕事としては成り立たないので、仕事以外での夢みたいなものや仕事の中での夢みたいなものが強いと目の前の仕事が自分の仕事に思えないで逃避してというケースは多いものです。

ある社長からお聞きした話ですが、ものづくりの仕事をしたいということで何度も脚を運んで社長を口説き落としOKを貰っていざ仕事を始めてもすぐに来なくなったというケース。また、繊維関連でも会社を辞めたあと独立をされる方は多いですが、その規模というものはよほど覚悟を決めて自分でお金を大きく回さない限りにおいては、商いというものは大きく続くことはないものなのです。
2014年03月01日
今日は午前中はお客様が少なめでしたので、船場センタービルの中にお店を持っておられる着物を扱われているお客様のところに伺いました。関西では繊維のメッカとなっている船場センタービルの中には生地屋さんなどもたくさんあって、お店を持っておられる方にとっては毎日が展示会のようなものなのだろうなあと思えます。

繊維の世界で、何かやろうとすると日本でもどこがやっているかとなると頼れる先というものは数少ないもので、その意味というのは、やっているところが減っているという問題だけでなく、自分自身で仕事を生み出せる人というのが稀だということだろうと思います。

受け継いだ形の商売だと、すでにやることも決まっているかの錯覚をもっていることが多く、今新しくその分野に参入される意欲的なところにも数年で追い越されてしまうことも会社としてもありうるもので、何十年の職人でも自分ひとり分食べていく仕事する力を持っている人は稀だろうというのと似ているのです。

昨日も、展示会の会場で年配の方とお話をして、一つのことに関して正しい認識をもたれているのに驚いたのです。特別なものを小ロットで生産することのパラドックス。小ロット対応していると機屋は潰れていくのは当たり前という結論。機屋というのは苦しい過去を乗り越え常に苦しい局面で仕事している人たちなので商売において人情味をもっていることが多く損をしてでも育てたい気持ちがあるので、小ロットは商売抜きに、人情で作っているケースがほとんどじゃないでしょうか。

私も実際、昨日、お客さんが空いたときに、2000mというプリントのロットを小さくしてほしいというお話をプリント会社に頼みに行ったりもして逆のケースもしかりで、それがたとえば10分の1の200mだとどうかというとモノづくりを知っているだけに仕事としては受けた側に仕事をして大きな損が生じ、続かないということよくわかるのです。プリント会社の方もいっておられたのですが、2000mというのも海外の1m100円の生地にプリントを載せるから成り立つ仕事なのだと。

今回の出展で気がついたのは、ほかの出展されていた織物会社の社長さんとお話をしてみて、織っているものは違っても、機屋の経営というものは似ているなあと思ったのです。商売に対する考え方も似ていないと続かないと思うところで、会場でお話をしていても、自分にメリットをというよりも私のほうにチャンスがないだろうかとアイデアを考えていて下さるケースが多いのです。