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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2014年5月
リネン日記:28
2014年05月09日
ミラノウニカ展は昨年まではヨーロッパ企業だけに門戸が開かれていた展示会で、今年初めてヨーロッパ以外の国の出展も認めるという流れになり、ジャパンパビリオンが設けられ日本企業は今年初出展となります。

イタリアという国は、ウールを始めすべての素材が揃っているといわれており、リネンも例外ではありません。そんなヨーロッパのリネンの本場に小さな日本の機屋がリネン生地を売り込みに行くという流れ、どうなることでしょう。

リネンの超細番手素材を強みに日本のテイストを強く打ち出したいと考え、林与ジャパンプロジェクトで日本パビリオンの中でも布で日本らしさを醸し出したいと考えております。
2014年05月08日
今日はゴールデンウィーク明けの加工出しの第二段。加工工場に反物を持ち込む。ゴールデンウィーク明けのこの時期というのは、見本の時期というわけでもないので、加工工場さんとしては一番落ち着いている時期だろうか。私のイメージとしてはゴールデンウィーク明けくらいから来期の企画に入られるブランドなども多いと思う。

今年はPTJが5月21日、22日と例年よりも日程が遅い。今年のPTJというのはテキスタイル展の時期としては来春物を企画するには先染なんかだと間に合わないだろうと思える。後染やプリントなら来期に間に合うというようなタイミングだろう。というのも、6月終わりに企画検討が済んだとしても、先染で8月のお盆明けに着分生地が納まって洋服にして展示会が10月というのでは、11月から生産して12月末納期だと、産地のキャパも一杯でもうすでにぎりぎりの計画で、時間的な面で先染の新しいものなどクオリティから検討していくとかは難しい状況。

今年の弊社の企画はリネンの細番手素材にプリント柄を載せる形なので、版さえできあがているなら納期的には比較的クリアしやすいといえるが、リネンにプリントはふつうのものは簡単でも風合いなど考えていくと案外難しいので、その辺りもブランドさんにも理解いただきながら、これから風合いとプリントクオリティの兼ね合いでクリアしていかないとならないところとなる。

製品化するだけでなく製品化して洗ってみたりとか、通常は2年くらい掛けて、自分の中で、時々その生地を使ったアイテムと過ごしながら、生地の価値の位置づけをしてみたりする。私自身が手を抜いて突貫工事で作った生地に興味がないのは、生地をみると手を抜いたことが思い出されるからかもしれない。短時間で作っても製一杯までやりきった生地に対しての自己評価は高い。

生地なんてものの評価は、客観的にみたとしても時代とともに移り変わっているし、流行でブームになった生地というのはブームが去ると手を出したら駄目な一番候補となってしまう。そういうのとは違う自分自身の絶対的な価値でものを作り出していきたいと思う。
2014年05月07日
今日はゴールデンウィーク明け、午前中はお客様で午後一番に加工出し。この2年あとくらいにブームになるであろう一つのトレンドカラーをキーとしてプラス何色か織ってみた。織物というのは色を広げすぎると色の好き嫌いがあるので売れ残る確立が高くなる。自分の手元に残ってもよいなあと思える色だとそれは残ってもしかたのないこと。

林与の工場では多様性を持たすために織機の一台一台の規格を変えてあり、それというのは、一つの企画を完了するためにはいろいろな色を織り終えないといけないので、同じものの量産には適さない。一台の機械が一年に一回しか回らないこともある。売り上げとか考えるとそれは駄目な方法なのだけど、少人数でいろいろなことをやるためには、そういう方法が一番効率がよい。いろいろなお客さんのニーズに応えられる形だろうと思う。

2014年05月06日
昨日夜、近江上布プリント柄ストールの撮影を行いました。カメラモニタで、照明無しでは暗い感じがしたので、照明を使ったのが失敗で、18柄、全部取り終えてからコンピュータで画像を確認して失敗に気がつく。でも時間の問題もあって、近江上布プリント柄の素敵さはとりあえず伝わると思うのでご覧いただけたらと思います。

リボン、小梅格子、赤珠、深草、花豹柄、野良花、ジグザグ、幻想、モザイク、チェック、赤ウィンドペン、蛙紋、銀河、雪中花、モコモコ、銭花、五花格子、花氷、と私の頭の中のイメージとつなげて仮に作品を名づけてみました。

ほかに、ゴールデンアイリッシュリネンストールも撮影してみました。これが北アイルランドで、アイリッシュリネンの色の美しさで有名だったアンドリュースのリネンです。亜麻色のイメージがよく出ていると思います。現行のリネン150番手ストールも撮影を行いました。薄さ軽さが伝わるのではないでしょうか。

近江上布プリント柄ストールは、リネンの超細番手を織り上げたしっかりめの3シーズンタイプをベースにして、風合いを特別柔らかくコンフォートに仕上げましたので、一年中お使いいただけるような仕様です。
2014年05月05日
今日は、雨の降る子供の日、昨日のほうが、路地に出て遊んでいる子供や親御さんの風景も多かった。この連休で、田んぼもほとんど田植えが終わったみたいで、水絨毯の光景となった。

織機のビームに使うおもりを探していて、専用のものでは軽すぎて、それがトラクタの1個15kgほどのウェイトが丁度よく、オークションなどで出物を捜しているけども今の時期は必要な人のほうが多すぎて入手困難。

あとほしいのがプリンタで、もうすぐ展示会もあるので、林与のパンフレットそろそろ準備始めておかないとならない。プリンタなんかも紙やインクと同じくらいに消耗品じゃないのかと思うほどに壊れやすく買い替えが必要。昔は、プリンタというものに憧れを感じてよいのがほしいなあと思ったけど、今のプリンタにそれはない。

何倍も高くてもいいので手に入れて大事に使いたいなあと思えるものがあってもよいと思う。パナソニックのメイドインジャパン機種レッツノートSX2というノートパソコン、SX1の後も1年以上使っているが快適で、使う喜びがあるのがいい。使い古して使えなくなったときに、次も同じメーカーの新しいモデルにしようとなる。

会社の事務所では、70過ぎの母親がミシンを踏んでストールのネーム付け、70過ぎた人が仕事をするというのが特別に思えるかもしれないが、林与のおばあさんたちなんてみんな部屋でなんらかの仕事をしてきた。おじいさんにしてそうで、仕事を生きている限りつづけるというのは別に不幸なことじゃなく幸せなことだろうと思うが、次の世代を支えていく立場で続けていけばよいのだ。なかなか、それができないから引退させるということになるのだろう。
2014年05月04日
連休の二日目、すでに夏の暑さを感じる一日、糸の箱など運ぶと喉が渇く、ゆっくりと寝ていたい気分にもなるが、ゆっくりしてしまう癖がつくと、元の張り詰めた状態に戻ることはたぶん無理だろう。とくに年をとってくると張り詰めた状態をつくり上げることが難しいものだが、

他の人が講釈を垂れて難しくいっているような仕事も、自分が出来るようになってしまえば講釈を聞く必要ない。出来ないままに長い時間が経つくらいなら、本腰を入れて変えていくことも必要だろうと思う。

仕事なんて100点で何もかもが進むとは限らないから、上手にそれを乗り越えていくことが仕事みたいなもの。100点で何もかもが進むくらいなら、そんなのはどこでもできることに落ち着いているだけ、後々のために、120点を目指して、少し、うまくいかないくらいのところでものづくりするのがよいのではないかと考える。

うまくできるところはそれなりのノウハウをもって仕事をクリアしているだけのことだろうと思う。ある要素ができなければすべてのやったことが止まってしまう。織物をつくるときでも糸からして問題が潜んでいることが多いし、染めにしても色ごとに違う染料で対応するとか、加工にしても問題を解決するために工程を増やしたり、いろいろな問題をクリアしてようやく新しい布ができることがほとんど。

そういうのって普通のことだろうと思う。機屋として布を勧められるか勧められないかは、お客様のレベルによって違う。問題解決力の高いお客様だと少し難度の高いものでもお勧めできる。そこでお客様にしてもほかとは違うものづくりに到達できるということになろうかと思う。会社の中でも出来る人と出来ない人の差というものは大きく、問題解決能力のある人とない人とでは、出来ることの可能性というものは大きく違う。

人には同じだけのチャンスがあるだろうが、それを自分がどう生かすか生かさないか、というのと似ている。超えることのできるチャンスを超えていかなければ、もう次に同じチャンスがあるとしても次も超えてはいけないだろう。仕事をしていくうえで、チームとしての問題を乗り超えていく力は非常に大事だと思う。問題処理能力に関しても高い水準で動けるチームだと高いレベルのことを普通に出来る。そういうチームワークで動いているところが他には及ばないものづくりに到達できるのだろうと思う。
2014年05月03日
今日は祝日、休みの日というのは仕事の遅れを取り戻すのにありがたい。休みが多くなれば多くなるほど、その分休みの日に働かないとならないことも多くなる。仕事においてもやりたいことは一杯あるが、目の前のことに追われすぎていてできない。

小学生や中学生でもできそうなことが大人ができないということが多く、大人というものはどうしようもないところがあるものだ。年を重ねるということは普通にしていると退化していく可能性のほうが多いと思う。会社にしても、新しい人が入らなければ1年経つと1歳みんなが年を取る。業界にしても、新しい人が入ってこない限りは1年ごとに年をとってゆく。

不思議なもので、経験がいくら有っても増えても歳には勝てないもので、経験のない人ができることすらも歳をとってしまうと出来なくなる。だからこそ、若いうちにいろいろな経験を積んでおく必要があろうと思う。20代のときにできなかったことが30代になってできるようになるということはあまりない。それが難しいことでなくても、たとえば、機械の下にもぐって汚れる仕事ができるのかできないとか。
2014年05月01日
5月に入ったが、まだ、納期に追われる様ながら、もうすぐ、PTJ。申し込みをしたイタリアでのミラノウニカ展の説明会が翌日あるということで、一旦帰ってからまた翌日昼東京に向かう形になりそう。今年初めてヨーロッパ企業以外の国の企業に門戸が開かれるミラノウニカ展も、出展できるのかは出展審査次第の状況。今年でることが出来なくても来年再来年もチャンスはあるだろうと思うので長い眼でヨーロッパへの道は考えていきたい。

夕方、糸の染を10点ほど頼んだ。そろそろ見本用の染を頼む季節。見本用だけに染めると逆に無駄が多くなる。実は日本で足りないのは労働力。設備なんかは余っていても仕事のできる人が少ないので、その仕事が出来る人が少なくなっている原因が、ジャストインタイムなものづくりが一因であろう。小さな節約のために大きな犠牲が裏にあるというもの悲しい話である。

今日は機械屋さんが夜話しをしに来て下さって、久しぶりにお話をして、トーマスアンドリュース社のゴールデンアイリッシュリネン糸を使ったストールを一目ぼれしてくださった。いろいろなところで麻製品は見ておられるがそのストールを一瞬で揺るがないほどに気に入ってもらえるというのは御目が高いと思う、さすがである。奥さまにプレゼントしたいといわれる。