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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2015年11月
リネン日記:25
2015年11月06日
最後ひとりで会社を閉じられた社長が、最後の年までしっかりと自分で織物を織って仕事をされて、普通の若い人以上の気力と体力でおられるのをみて、私がいくら若くてもこの人には敵わないなあと思えた。

もう一つ、同級生の漬物屋さんの親父さんが、地元では十分認識された漬物工場の社長でありながらも息子さんに商売の花道的なところを譲り、自分は、町内の家に醤油を売る行商に歩いておられた。醤油なんてスーパーに行けば、いつでも手軽に買えるものになってしまったのに、それを御用聞きしながら売るということを実践されていた。大変やなあと思ったけど立派な人だなあと仕事を始めて若かったときに思った。

立場が上になって仕事をしなくなるのが多いけども(国の組織や軍隊なんかも含めて)、上に立つものが下のものを食い物にしてちゃ駄目で、指揮するなら指揮されるもの以上の苦労が必要だろうといえる。指揮されるものが苦労しているなら、ほかの組織の苦労も分かるといえるが、苦労していないものが上に立っているとそれに指揮されるののすべてをつぶしてしまう。
2015年11月04日
私が織機の使い方を指導したり、織機をお客さんがみる時に常に注意しているのが、危険な場所に立ったり手を出したりしないか。織機を動かす人というのはそれに必死になり、人の危険まで考えて織機を動かせる人というのは少ないもので、ほかの人が触ろうとしているときに織機を運転に入れて大きな事故に繋がりかねない。

私自身、織機を動かそうとするときに、機械から注意しても離れなかったり、大丈夫といって軽く考えているのをみると、その状況では織機を動かさないほうがマシと判断する。予測の範囲を超えて何か起こることもあるのに、予測できる危険を含みながら行為に及ぶことは何十回に一回の失敗であったとしても一生背負うけがに繋がるものだ。
2015年11月03日
ガラスが割れて、ガラス屋さんをネットで調べる。大体修理費は、出張費みたいなものを合わせると2万円くらいか、ガラス代金1万円、出張5千円、技術料5千円、ガラス処分費2千円とか。

そういうネット業者は、斡旋だけで結局は地元の業者が作業をする。ネットには、見積もりは電話でする。丁寧な電話対応と書いて歩けども、電話すると、業者が現場で見積もりするという。要注意。

結局、地元の業者に持ち込んで修理してもらう、費用は良いタイプで一万円。安いタイプだと7千円。事情あって割ったのが社員だったので、できるだけ安いタイプでということで、すりガラスで厚みは抑えたものの、結局。ガラス代込みで5千円で修理してもらえた。

こういう地道な商売をしている業者さんが商いを続けられるように願ってしまうが、こういう業者さんにたどり着ける確率というのは低いものだろう。
2015年11月02日
生地が売れる売れないということはシーズン前にどれだけ受注が入るかなので実際に売れた売れないとは関係なく、注文は決まる。結局、お店やバイヤーさんが売れると思うか思わないかという感覚的なものとお店やバイヤーさんの甲斐性が発注を左右することになる。

売り場のバイヤーさんと企画から取り組んだ商品というものは、結局、店頭に並ぶことになるので発注に繋がる。昔、学生の方が自分がやれば地場産業のものをもっと上手に売ることができるとものづくりの感性からいわれていたが、地場産業のものを積極的に売るということを現実的にとらえれば、実際に買う立場のバイヤーになることが一つの手だろうと思える。

地場産業がデザイナーと取り組んで販路を開拓していくというのも、失敗することが多いのは、デザイナーさんにしても買い上げる立場ではないというあたり。そうやって企画してもそれを買い上げる人が見つからないことには消費者の目に触れることもないのだ。

毎年、流行というのは変わっていくので、流行的にみた良いものというのは普遍的ではなく、そういうのに流されてしまうと自らの形を失う。これはブランドさんとて同じだろう。
2015年11月01日
たとえばデザイナーがクリエイターではなくセレクターになってしまっていることはよくファッション業界では危惧される。既製服の世界というのは着物の世界と似ていて売れる形がある程度決まっているので、奇抜なものをクリエーションしたところで、商売としての成功につなげることは難しいだろう。

何が起こるのかというと、デザイナーがこだわるものが縫製のディーテイルというよりも、生地で色柄を変えたりして新しい商品を作ったり、使う素材のストーリーを探したりで揺るがない価値を生み出したり、ということが起こる。

デザイナーの才能というのは、一発で正しい形を生み出せるか否か。ものごとがわかってないと、一発で正しい形を生み出すことは難しい。一発で形を生み出せないなら生み出すために何が必要かというと、時間とお金を使って努力するという部分。それがあってこそ永続的な高いモノづくりに繋がるのではないかと思う。

コストをかけることは悪いことのように言われがちだが、悪いことじゃないと思える。