2016年08月21日
インターン4日目、インターンのSさんが宿泊先彦根のゲストハウスのマスターから服飾関連の情報として彦根の四番町スクエアにあるコミューンさんの情報をGETし見学に立ち寄られるということで昼に合流、コミューンさんはコットン素材が主体だが弊社の麻素材も数年前から使い始めてくださっている。そのあとギャラリーとたねやさんとあかり館に立ち寄ってから会社。今日は、シャトル織機の練習の続き、3時間くらい練習した後2時間くらいで、適当に横糸の色を変えながら、ランダムボーダーストールを1枚織り上げた。ちょっとは目を離しても大丈夫なくらいにシャトルを織る作業安定している。こういうのが食べていくために必要な地力というか自力なんだろうと思う。
シャトル織機で、横糸が切れたときに織段ができないようにギアを戻すなどの部分は、感覚的なものが大事で、それには慣れというものが必要だろうが、基本的なシャトル織機を動かすという動作は、本番さながらのランダムボーダーストールを2メートル、シャトルも挟まずに織り終えたことで修得完了。シュワイターでのシャトルの木管への管巻きなどの作業も覚える。途中、岩間6号台のハンドルの運転への入りが悪いので、何が悪いのか確認すると、横糸切れを感知するフォークの棒が引っかかって戻り難い。ホークの棒を取り出して、押しつぶされて盛り上がった部分を鑢で削ってスムーズにしてあげることで問題が解決。なんでこんなところで強くネジを締め付けて段差ができていたのだろう?かと不思議に思う。
織機というものは上手が人が使えば使うほどに調子はよくなっていくもので、下手な人が使えば使うほどに調子は悪くなる。この差というものは非常に大きく、これというのは人付き合いと似ていて、織機をどう扱うかに人間性のようなものが出てきてしまう。岩間のシャトル織機は正月に設置が終わり2月くらいから本格的に動き出したので、半年動いてくれたことになるが、設置した最初はどの織機も正しく動くような状態ではなく正しく動かすためには最初に一台一台の問題点を直してから動かし始める。動けばとか織れればよいというのではなく、正しいタイミングですべての織機の動作があるべき。
麻糸というのは、綿の糸に比べると、伸張性がないので、シャトル織機の縦の一面が同じ状態であるのかというと中央と両端では微妙に異なることが多い。真ん中はまっすぐに糸が走るが、左右というのはどうしても、織られた布の幅は通し幅よりも狭くなるので、両端は筬で角度がついて糸が緩みながら織られがちなのである。麻糸は筬で角度がついてしまうと、摩擦で毛羽が発生して切れやすくなる。特に糊をつけずに織る定番のソフト仕上げの細番手などは、その問題が起こりやすい。同じく打ち切れの問題にしても、両端で起こることが多いのである。
人というものは、短ければ1日でマスターできる作業を一生の仕事にすることが多い。最初は苦戦するがコツをつかめば考えずに仕事がこなせるようになる。体がコツをつかんだときに、織る人が考えなければならないのは、織機の構造をマスターし、自分で何が問題か考えたり、修理できるようになることや、どうやってより高度なものをつくるとか、つなぎながら何台も動かして生産性を上げるとか。それは本人がその道で食べていくためには必要だと思う。正しく作れてもそれが売れて食べていけるとも限らないのだから、正しく作れることはものづくりの基本中の基本であろうと思うが、そこが今の日本では難しくなっているところでもある。
ものづくりプロジェクトを成功させるためには、材料の問題、デザインという問題もほかにもあろうし、検査物性という問題もほかにもあろうし、プロジェクトの資金の問題、それを販売していく販路の問題もあろう、仕事して逆にお金を使うことに終わりがちな試作の問題とか。なんらかがうまくいかないと途中で話が止まってしまうとか消えてしまうものである。