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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2017年4月
リネン日記:9
2017年04月23日
今日は、つなぐ通信の撮影で、朝から工場や林与の家や前栽での撮影。アイリッシュリネンや近江上布絣などの撮影をしてもらう。今日は午後からあと2件の撮影があるということで、お昼前には次の目的地東近江に向かって出発された。私自身は織機がうまく動かないので立ち上げなどを行い、十分なおもてなしもできず新人デザイナーと時間を過ごしてもらいました。

近江牛のすき焼きを食べているときに、副編集長の方が、今は家や自分の趣味のことよりも、仕事の最初なんだから、まずは、しっかり仕事よみたいなことを冗談めいていわれていましたが、やはり自分自身が仕事を独立されてやっておられるかたなので、仕事のできる人の感覚を第三者として発して言葉にしてくださった感じ。するどいなあ。
2017年04月22日
今日はつなぐ通信の成田さん一行が4名で弊社に来て一泊し、明日の朝取材。普段は成田さんとはテキスタイルツリーのブログなどで取り上げていただいているが、今回は、つなぐ通信6月号で、近江湖北湖東地域の取材ということ。あまりに仕事に追われすぎていておもてなしも出来ない状態ながらも、夜だけは、すき焼きをご一緒にデザイナーのお家で食べる。

近江八幡で近江牛をおいしいと評判の近江牛を食されるもあまりに薄く小さなお肉だったことなどのお話を聞いて、すき焼きにしてよかったなあと思えた。お越しいただいた4人の方はそれぞれが独立して仕事をしておられ、つなぐ通信の編集のときにはチームとして取材をして動かれ、つなぐ通信が出来上がるということ。初対面なのに、林与のことを成田さんからお聞きになられてか、良くご存知で。キッチンクロスなんかもご愛用をいただいている。

一泊泊られた際に、デザイナーが夜、ギターリサイタルやったそうで。4人の皆様にも、林与の新人デザイナーの強さみたいなものが伝わったと思うのである。
2017年04月15日
旧来の伝統的な手の仕事から近代化した機械仕事に変わると、生産性というものは上がるのだが、人の能力というのは落ちてくる。人の力のインプットを落とすことで生産性を上げるようになると、人の能力というのは一度落ちると元に戻るということはないものであったりする。本来は人の能力を落とさずに生産性を上げるような方法を取っていかないと新興国の人のほうが人の力のインプットが大きいことが多いので、装置産業になると、人材が豊富で人件費の安い海外に移転されがちである。

たとえば、日本の織物の場合、織っている人がボタン一つで織れるようになったなら機械の調整やメンテナンスも仕事として行うというようにすればよいだけのことである。さらには、自動に織れる様になった分、検査作業や、検反、補修作業を織り手が行うというように進化すればよいだけのことで、単なる織り手なんていうものは海外でいくらでも育てることができるので国内で成り立たせるのは難しいということになる。織り手が織物を織るために自分の織る仕事の準備したり、織ったものを片付けることが必要になる。新興国だとそれが分業という中で行われるものだが、先進国では逆にそれが一人の仕事として必要になってくる。

デザインなんかでも、新興国ではオートスクリーンや最新のインクジェットでのプリントが普通で、それなりの量が流れる。一方、イギリスやフランス、オーストラリアのデザインオフィスでは、布に手描きの形に逆戻り。高いものは流れる量が少なく先進国で量産は期待できず、クリエイターたちが原始的とも思われる手書きに戻る。そして、自分自身で販売してゆくという形。先進国ほど一つの布に対する需要が少なく、価値を人の力で生み出してゆかねばならないというパラドックスが潜む。

これは巨大化した日本や先進国のSPAでも、自国一国の需要ですらも支えてゆくには足りず生産国である新興国の需要に期待する。先進国で売れるものというのはごくわずかな量の手の込んだもの、一方で、多くの手の仕事ができなくなった製造現場の人を抱えながら、需給のニーズのパラドックスが先進国では存在することになる。

数年前、ある大学の経済学部の先生が、ニッチェに対する講演をされていたが、毎朝、漁に出て10匹だけとって、その限定のその日の取れたての魚、通常300円が市場で10倍の値段の1匹3000円で売れるとか。なんか、フロック期待でそんなのに期待しては駄目だろうと思うようなあたりなのだが、日本の成功事例がそういう類のものでしかなくなりつつあり、まともに商売をしている人がそういうのに走るというのも危ないことである。

2017年04月14日
今日は夜出荷の際に、御幸橋の踏み切りで止まっていると桜の花びらが舞っている。もう桜も散り始め。今年も1週間ほどのことながら十分に楽しませてもらった。愛荘町というのは桜1万本計画というのを進めていてそれ自体には私はまったく乗り気ではないが、一本の桜でも春は楽しめるものだろうと思う。暖かい一日で、仕事のお客様もネットのお客様からもご注文を多くいただくようになってきた。別に初夏物が遅いスタートも悪くなく、その分冬物のウールなどが売れているだろうから、余力が業界にうまれて春夏物も動きやすいこともある。

今年は、スロースタートながらそれなりに仕事に追われていて、一番寒い冬の雪の夜に連日の作業は私自身にとって普段以上に厳しかったが、3月後半に新しいデザイナーも来てくれて、いろんな作業の説明などが今まで以上に簡単に正しくできるようになって、高度なことにも春からは挑戦が出来そうで楽しみである。

つなぐ通信の成田さんからご連絡をいただいて4月後半に取材に来てくださる予定が決まって、一晩ほどのことであるがゆっくりしてもらえそう。ゴールデンウィーク前の予定も埋まって、ゴールデンウィーク明けには東京国際フォーラムでプレミアムテキスタイルジャパンである。近江上布絣柄の広幅織物が現実のものとなりその実物を実際に見ていただける。

2017年04月13日
地元で機屋さんを営まれていた方が個人で食べていくために織物の企画販売をされている。先代世代の方で経験ももちろん一生の経験を持っておられるのだが、そういう70代、80代の方でもなかなか食べていくのが難しいという業界の厳しさ。70代、80代になられても、自分で仕事して食べていこうとされているところが、成り立つ成り立たないに関わらず、今の時代にそう言う人は少ないので私自身は立派だと思える。

近江湖東産地の機業の中では私が一番若いといわれているほどであるけども、何十年と仕事の経験のあられる方々が食べていくのに苦戦というのは、私自身、海外の展示会などで、林与に興味を示してアプローチくださる海外企業が、10年、20年で、リネンの巨大企業になっておられるのとはまったく逆であったりする。たとえば中国のブランドや企業の社長というと私と同世代の50歳くらいの方が多い。日本の場合には、何十年の皆さんでも食べていくのが難しくてというのも、私は仕事を生み出して与える側であり、与えられた人ができないときには私自身がその仕事をするので良く分かるのである。

仕事というのは自然にないときには生み出さないといけないし、あってもやらないと駄目。能力だけでなく、忍耐も必要で、材料を準備する資金も必要だし、材料を無駄にしない工夫も同じく必要で、使い終わった後の材料の管理も必要。織機も同じで、単に織るだけでなく、修理や調整が必要で、修理や調整をするために、部品や道具の管理も必要。ご飯を食べるとかは食欲というものが働くが、仕事欲みたいなものが働く人でないと仕事は難しい。

今日は、夕方、大阪の服飾専門学校の先生が弊社にお越しくださり素材をピックアップくださった。社会全体では人手不足感があっても、繊維関連はそれほど就職がよい状況でもないというのが実情のよう、大手のアパレルなどですらかつてないほどの苦戦中ではある。専門学校で勉強した学生たちが業界で通用していくためにはよほどの覚悟がないと難しいだろうと感じる。というのは、私も、何十年の経験の人にしても、学生の新卒の人も同じ土俵に立っていて、先輩も後輩もない。仕事をできる人が残るだけだろうから、残っているから楽というわけでもなく、残るために目の前にある仕事を日々乗り越えないといけないのは経験者も新人も、経験の長さに関係なく同じだろう。
2017年04月11日
今日は午後から繊研新聞の記者の方のPTJに関する取材。取材といっても固いものではなくて、仕事の雑談というような感じで近況報告するようなもの。繊維の技術的な最先端を発表するとかそんなのではなくって、自分が今やっていることで面白そうなことを記者の方にお話しする。近江上布絣の広幅織物が現実のものとなったので、それを見ていただいたり。

私が判断して、織物の業界ではそれなりに高度なものであるという判断。単なる技術ではなくって、見た目の存在感なども含めて、商品としての高級感や価値観が漂うのかどうか。私自身のポイントとしては、近江上布が量産されていた時代のような勢いを、今の数名で支える日本の麻織物の業界の中で再現するという試みの部分。

型紙を彫って、横糸に捺染、織って、加工まで一人の人間が行って生地が出来上がる。その工程を一人の人間が詰めて作業すれば1週間ほどもあれば着分が出来上がるというのは画期的なことではないのかと思う。これは、効率化したとかじゃなくって、昔の人以上に高い能力で人が作業をこなすからという形。やることはアパレル用の広幅で織るという伝統工芸品以上に手間なこと。それを一人がやってのけるというプロセスを構築。

世界でも数本の指に入るような手間の織物の世界を現在の洋服素材として生み出してゆく。今年はオートクチュール向けのワンピース素材の試作に挑戦をする、PTJでは、試作に向けた柄の要望なども来場者にお尋ねしたい。

2017年04月08日
桜の花がまだ咲いていないのを心配していたが、4月の第二日曜日の豊満神社の春の祭には、桜の花は満開というジンクスは崩れなかった。今日は雨が降っていながらも20度を超える暖かな陽気で、ずっと工場に篭っていたので気がつかなかったが夜車で出かけたときに道端の桜が満開。やっぱり桜の木には精が宿っているような気もする。

豊満神社の春の大祭の4月の第二日曜日までには、どれか一本が咲くでなく、一晩のうちに一体の桜が一斉に開花する。ほんのりと桜の花の香りが漂うなか、土曜日の晩には、夜宮の鐘の音が聞こえるのが祭りのイメージ。雨に桜の香りも消されてか、また、雨の音に消されてなのか鐘の音が聞こえない宵宮。

人だけでなく、動物というのは喜怒哀楽というものがDNAにまでも刻まれるのではないのかと思う。豊満神社の春の大祭にしても、桜が一番良いと思われる4月の第二日曜としてあるのだろうけども、桜がその期待を裏切らないというのも、不思議といえば不思議なのである。こういう祭りを一番楽しみにしているのはやはり小さな子供たちであろう。私も子供の頃、うきうきとしたのを思い出す。

つぼみの状態だったのが、一瞬のうちに満開。なんじゃこれはと思うほどに、ジンクスは守られる。
2017年04月06日
急激に暖かくなって、今日はお客様3人が山形お一人と、大阪経由で東京お二人。納期のものに追われているのであまり時間がなくって、山形のお客様には仕事の試作品を手伝ってもらってうまく出来上がってありがたい。9時頃に出荷のあと食事に出向いて、いつも行く台湾料理のお店なのだが、ビールセットを頼まれて、3品ほどついているが、それぞれのあてがボリュームありすぎて。見ていてまいった感じ。

私は、鳥南蛮みたいなラーメンセットを食べたが、それもボリュームがすごくて、食べきるのに体力を消耗しそうになった。お客さんを彦根のゲストハウスまでお送りして、会社に戻ると11時。仕事する予定が疲れて休む。

今日の東京のお客様がいっておられたのは、つくるのと同様に売るのが難しいということ。それでも、相当の工夫をされてどんな素材でも売れるように持っていかれるようなものづくりの力をされているので、売るのも同様に上手に展開されていて素敵だなあと思える。お話を聞いていていろんなことを経験されていてリスクも背負って動かれているのを感じ、ものづくりの現場がベースになっての企画なので強いのかなあと思える。

このアパレルが厳しいといわれるときにも、面白い企画でヒットするものを生み出しておられて、やはりいろんなこと動かないと駄目なんだろうなあと、私自身も似たような境遇にあるので職種は違えども、業界をプロモートしておられる人の力を感じる。
2017年04月04日
4月4日、午後にお電話いただきましたアパレルのお客様メールをお問い合わせからいただいたのですが、そのメールがみつからず再度、お問い合わせフォームからご連絡先ならびに発送先をご連絡いただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。