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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2018年7月
リネン日記:8
2018年07月30日
昔の織物のほうが今よりも素敵で日本が繊維大国であった背景には、1ドルが360円だったとか、1ドルが中国元2元であったのが一番の理由で、海外で作られたものが、べらぼうに高く、国内では国内で作ったものしか流れ難かった。

今は、円はドルに対しては3倍、中国元に対しては9倍の価値を持つ。日本で作ったものは他国では高級品で手が出しにくい。一方、国内の繊維製品市場の95%が海外製品。国内でも国産品は高級品ゾーン。

繊維製品を扱う業者も国内で作ったものより、海外で作ったもののほうが、利益を産み出しやすく、海外仕入れ型のアパレルほど、経営の数字も良好だったりする。もの作り自体においても、日本向けにたくさんものを生産し普通に成り立つ海外メーカーのほうが新しいデザインや商品も企画しやすい。

生地にしても、中国に展示会にいくと何千社が、一社あたり何千種類の布を並べている。そんななかで、林与のような小さな会社の場合、自分のやっていることの特色を濃く見せられるかどうか。ひとつの布を作るにもどれだけ自分が力を注げるか。作る人の力がすべてで、それを外にもとめるでなく、自分たちでこなして行く。

織物はデザインだけじゃなくエンジニアリングの部分も実用性を考えると大事で、糸から織物を織り上げるまでの作業、
2018年07月24日
工場の中に蚊がいるので、蚊取り線香を2つ焚く。今は安くて大きな香取線香があるので心強い。蚊取り線香にしても、昔ほどは使われなくなっているので進化しないと売れないのだろう。2缶1200円ほどで、そこそこ広い工場だがひと夏いけそうな気がする。

今日は、ポリプロピレンというのは染まりにくい素材なのだが、それを赤く染めることを試そうと染料を買ってみる。分からんけど、やってみないと分からないことは多い。たぶん、うまく出来るだろうと予想。駄目なら違う方法を考えればよいが、分からないままにしておくというのはよろしくない。思い立ったが吉日。

どんどんと自分がやったらうまく行くだろうと思うことはやってみることが大事だと思う。それも他の人に頼むでなく、できる限り自分でやることが出来なかったときにも次の解決方法につながる。

2018年07月23日
今日は日本中が暑い日、だが、外は風が吹いているのでそれほど暑さは感じない。でも、工場の中は風も吹かず、1Fはやや涼しいが、2Fはここ数日は作業していないが、屋根の下なので夏の天気の良い日は相当暑い。脱水症状にならないように十分な水分を取って作業。

1週間ほど前も、阪急うめだ本店10階でのイベントの会期中。暑さを忘れてほとんど1週間ぶっ通しの作業。予定していたことが予定通りいかない背景には、いろんな要因がある。織物をつくるには、糸を割って、整経作業、繋ぐ作業、横糸のカードをつくる作業、織り出し、織る作業。すべてがうまく行かないといけないのだが、一つ一つの作業が、すんなりといけば問題ないが壁にぶつかると、答えが見つからないときも多い。

かといって、答えを見つけられないとそれは仕事としては成り立たないので、プロならば答えを見つけられないといけない。作業が分からないとかは論外だったりする。すべての作業を理解したうえで問題にぶつかり、それを超えて行く。作業を理解するといっても、毎回のことで、最初の1回目から理解できない状態で放っておいて、いつか理解できるとかは無理な話。毎回毎回、自分自身との戦いの部分を乗り越えないと、ものづくりの仕事は前に進まない。

小幅を織っていたシャトル3号台で、綾織を始めたら、問題が発覚。ドビーの2枚目3枚目が調子が悪い。原因を究明するために、ドビーを分解し始める。ドビーの鋳物が割れていて、これを直すのは難しい。16枚のドビーで、8枚分のソウコウ枠がついているだけなので、後ろに送ることで対応する。5枚目から8枚目を綾組織、9枚目10枚目で耳の平組織、15枚目と16枚目でヒガエを取る形。正しいに近い形に直すなら、ドビーの中のシリンダを外して、壊れた2枚目3枚目の部品を使わない13番目14番目に移すとかすればよいのだろうけど、それをやると、ドビーを織機から一度下ろして修理する必要があり大掛かりすぎる。原因は判ったので、その状態を理解してキズを背負った織機をどう使いこなすか。

ソウコウを後ろに動かすとソウコウの高さが高すぎて、シャトルの飛びが悪く、シャトルを挟みそうな雰囲気。ソウコウ枠を下げて、シャトルの飛びを安定させる。シャトルを挟みそうな原因を見誤って、シャトルを叩くのを強くしたりとか他のところを調整してしまうと織機がガタガタになる。正しい原因は一つ、それを見極め正しく調整を加えないとアウト。
2018年07月22日
昨日の夜は、一人、工場で織機を調整する。私自身、職人といわれることがあるけども工場でゆっくり修理している時間もない。昨日の夜というのはめずらしくゆっくりと織機を調整できた。動きが気に入らなかったレピア織機を理想の状態に持ってゆく、縦糸の張りなんかをゆっくりと確認しながら微調整を加えて行く。

2年前に移設したシャトル織機も動きが不安定だったので、安定して動くように微調整を加えて、縦糸も横糸も問題なく、横糸を交換するだけの状態に持ってゆく。現場経験が長いことと能力とは比例しないことが多い。面倒くさがる人というのは小さなことを気にしないので問題を多く生み出してしまう。

たとえば、糸を繋ぐときにすべての糸を一本も間違えずに繋ぐとか、繋ぎ間違えたら繋ぎ間違えたでそれを把握しているかどうかとか。どうしようもないのが、まっすぐに糸が走っていないと織りにくくてキズになりやすいのに、それも理解しないで、どこが問題なのみたいな人は何十年やっている人にでも多い。

海外の織物でその問題が少ないのは、縦糸を繋がずに、機に毎回縦糸を通して、機とビームを丸ごと乗せかえるから、案外、海外のものづくりというのは安定しているのだろうと思う。タイイングマシーンも使わず、よく出来ているなあとおもうけど、一回の生産量が異なると異なる手法が良いこともある。

林与の工場の中には30台くらいの織機があるけど、全部を動かすことはまずなく、ほとんどが違う規格の機が掛かっていて、見本、本生産で、1年が過ぎてしまうことがほとんど。機の乗せ替えを極力減らして、織りながら糸を繋げるようにして、少人数での生産効率を確保する。全部の織機を動かそうとしない、多様性のあるものづくりに特化した珍しいといえば珍しい形。
2018年07月20日
今日は、倉敷の縫製工場に急ぎの生地を納品に向かう。途中、新名神を走ったのだが、山の中の道、走っている車のほとんどがトラック。山の中の道をヒタスラ、倉敷に向かって走る。ワープしたい。もう一つ問題は、カーナビのデータが古くて新名神がないので、道のないところを走っている。携帯のナビのほうがいつも最新で信頼できるというのもおかしな話。

倉敷について迷うかと思いきや、案外すんなりと目的の住所にたどり着いて、生地をお渡しして失礼させていただこうとするも、お茶を一杯いかがですということでお邪魔させていた。岡山というのは、繊維でもデニムの世界をもっており、創作的なものづくりが根付いていて、味の世界を理解でき、作り上げることができる方々がおられる。結局、頭の中でものづくりはできてもそれを形にできる人というのは何枚も上でそういう人がいないと成り立たないのが日本のものづくりの部分。サラリーマン化した工場ではそれは難しく、やはり気を持った人がやっている小さな工場だから人の要素が差を生み出す。産地は異なるのだが、デニム素材を代表とするカジュアル素材や縫製、一方で、メンズの高級ブランドの縫製にも対応できるノウハウがあるのが岡山や大阪の枚方だといわれる。技術があるようにおもう大きな工場の中に職人はおらず、小さな家族経営的なところが日本のものづくりを支えている感がある。

手間隙かかるものが日本の大きな会社や工場で出来るのかというと、それは無理な世界。大きな工場というのはどうしても生産性が重視なので、一つ一つの商品を人の感性で手がけるは無理だと思う。私自身が今回の納品した生地にしても、丸々2日、すなわち48時間。あれば私だったら一人の作業で、普通の人なら6日分なのでできるだろうと思っていたけど、結局、丸々4日かかって、ほかに2日分ほどの他の人の力も必要で、普通の織物工場だと一ヶ月の半分くらいの力を使うことになる。一つの織物の見本に普通だと織物工場の一ヶ月の半分の力が必要なことになる。

普通の会社だと難しい話だし、それを受けて縫製してくださる方々にしても規模は小さくても大きな会社を動かす覚悟と同じ要素をもっておられるから。私が思うのは自分がやればよい、どこまでできるか、自分がやらないで成り立たない話。結局は個人の力がすべてじゃないかというのは日本のものづくりの世界でそれをやれないと仕事を受けることも出来ない。ので、担うことすらも無理。素材の世界では相当に厳しい世界で、自分が作れるのかどうか、だけのこと。他に求めるでなく、自分で生み出してゆく力がなくなりつつあるのが日本のものづくり。生み出せる人の力を感じた一日。
2018年07月11日
阪急うめだ本店10Fのスークにて、テキスタイルマルシェ開催中です。松尾捺染さん、IPテキスタイルさん、カツミ産業さん、林与の4社の出展です。林与は今回はいつもの2倍くらいの生地を持ち込んでおります。

今日、初日は、スタッフのものが立ちました。リネンの藍染のストールなども販売しております。林与は会社での仕事が詰まってしまっているので、それを前に進めるために会社で留守番です。ご近所でご不幸ができてしまい、本来ならお手伝いしないといけないのですが、母親に代わりに出てもらい、遅れている作業を進める。経つなぎなど準備作業を中心に行いました。

滋賀県には天然繊維の産地が3産地あって、長浜の絹、高島の綿、湖東地域の麻の3つですが、滋賀県の工業センターが、3産地の素材にインクジェットプリントして浴衣をつくられるのですが、その麻の素材を弊社で織ることになり織っています。横糸に80番手の強撚糸を使ったものは、なかなか手ごわくて、吟味が必要という判断。2種類の糸を2本交互に織るタイプは、横糸の感知があまりうまく行かず、織機が横糸切れしていないのに止まってしまう問題と、幅の広い織機で織っているのであまった糸を連れ込んでしまう問題。着物1着分を織るだけなので時間を掛けて織ればなんとかなりそうな問題。

2018年07月10日
今日は明日からのスークなテキスタイルマルシェのための準備で、夕方から大阪。1週間ぶりの阪急うめだ本店でのイベント。今回は、場所が広めでありがたくできるかぎりいろんな生地を持ち込む。準備予定時刻の7時丁度に会場準備に入って、いつも遅れることの多い林与が時間通りで皆さんびっくりで私も普通に準備時間に着けてびっくり。

時間丁度に到着するために、車に飛び乗ったために。ほとんど手ぶらの状態で、必要なものはポケットに。電車に乗ってもバタバタと準備をして急いだので、暑くて暑くて、おーいお茶の濃い目をゴクリゴクリ。携帯電話はポケットだが充電が足りず、外付けの充電バッテリーは車の中に置き忘れる。

今回は、広々としたレイアウトで、逆に商品が足りないのではないかと心配するくらい。松尾捺染さんのご夫妻がきれいなレイアウトで早々と準備を終えられて、IPさんのお二人と一緒にレイアウトを考える。

私自身、会社の中の仕事が詰まってしまっており、準備は出たものの、明日からはスタッフのものに立ってもらう予定で、アポイントが14日に会社でということになって、後は最後の片付けにいくのが私の役割になりそう。今回は、14日から16日が三連休ということもあって、沢山のお客様に来てもらえますようにと、祈ります。いつものテキスタイルマルシェよりも沢山の生地をもっていきましたので、皆さんみに来てください。
2018年07月05日
今日は学生時代の友人と昼過ぎに京都で合流して5年ぶりくらいの再会。大学時代の親友なので久しぶりにあっても変わってない感じもする。京都駅の近くのレストランで飲み放題をしてから、イタリアンレストランで電車の時間まで雑談。今日は雨がすごくって電車が遅れ気味で、本格的な雨。帰ってから仕事の続きをする。