2020年07月21日
今日は朝から、整経したビームを降ろして、スタッフの子がタイイングマシーンで繋いでくれる。途中、タイイングマシーンの下糸を取らない問題で、診てみると、タイイングマシーンの下の歯が正しく動いていない。外れ気味になっているのを正しくセットしなおしたら問題が解決した。
今回の整経は、本体の糸に合わせて耳糸の番手を太めにしたので織りやすいだろうと思う。この前は耳糸が細かったようで耳糸が切れる問題が頻発して、織るのにすごく時間が掛かった。整経のときに、それを回避しようと倉庫で綿の30/2の糸を2kgほど見つかって丁度よかった。
繋ぎ終わって織機を立ち上げる。シャトルを他の台に使ってこの台に使ってたシャトルがないので、他の台からシャトルを持ってくる。するとやはり、シャトルの納まりがよろしくなく、シャトルをホールドする強さを調整。まあまあ、合格。その後、ドロッパーの前に畔棒を入れる。厚織用に調整した台なので、若干ドロッパーが下気味で横から見ると経糸はドロッパー部分で折れ曲がった「く」の字で織れている状態。本来は、ドロッパーの位置を上げて糸を水平に戻して織るのが適切なのだろう。だが、今回は畔棒を入れることで上糸のゆるみをとることで安定させて織る。こういうあたりがシャトル織機の調整の難しさなのだけども面白いところ。
この織機は杼替えができない織機なので、杼替えの部分を他の織機の交換部品として使って外して合ってそれを戻した。経糸を繋いでくれてそれを送って織だしをするも巻取りローラーが回っておらず、織前がどんどんと後退してゆく。なにこれ?超異常現象。
探ってゆくと横糸切れ完治のフォークがフックに常に引っかかってて、それが巻取りローラーが働かないようにギアの引っ掛かりを避ける働きをし続けているのが分かった。フォークの動きを正したら織機が正しく動き始めた。
織機の異常というのは動いているときの音とかで感じることが多い。普通と違う音だなあと思うと、織機のどこかが正しく働いていない。本当に正しい原因が見つかると良いけど、見つからないとそこで下手に織機に調整を掛けたりすると織機が余計に織れなくなってしまう。正しい答えにたどり着けるかたどり着けないかが、一つの仕事だけでなく、その織機の明暗を分けてしまう。私自身も織機のことは実戦で覚えてきた形なので、自分がその場で原因を考えて直しているだけの話。分からない問題でも考えるだけでなく実際に織機を触っているうちに原因が見えてくることは多い。そのため、手はシャトル織機をいろいろと触ると油で手が汚れるので、糸を触るために1時間に10回くらい手を洗いに行ったりする。手は道具。
正しい答えが見つからなくなったら、その時は終わりだろうなあと思う。今のスタッフはしっかりとしていてくれて、問題があったとしても私自身答えがすごく見つけやすい。まだ1年半なのに、同じように織機や機械の違和感を感じておかしいと判断できるあたりは、いろいろ考えながら仕事してくれているんだなあとありがたい話である。