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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2021年12月
リネン日記:28
2021年12月08日
今日はスタッフの女の子が工場の朝の寒さにダウン気味、私のやっていた事務所でのキッチンクロスの縫製作業を交代する。まだ雪も降ってなくて10度あたりだけども寒いところでの生活経験が今まで少ないので、気温に対する体温の調整などがなかなか難しいのだろう。これからさらに寒くなると厳しいだろう。私自身はキッチンクロスのケアラベルをつくったりの作業があるのでそれを行うが絵表示を組み合わせたり結構な時間が掛かる。

最近は、私も温かい恰好にモードチェンジで、裏気ボアのフリース2枚重ね着と裏気ボアのスウェットパンツの上に裏気ボアのカーゴパンツ。寒さは感じないくらいに完璧。暖房に慣れていないというのもあって体温調整もしやすいのだろうと思う。私が現場の夜を担当することも多いので私自身は寒さには慣れているといえる。寒さに慣れていると、寒さを気にせずにすぐに動けるけども寒さを気にしていると動くのも辛いだろう。

麻織物というのは雪に包まれたような冬の寒い時が織りやすいのである。滋賀県の豊国村というのは100年くらい前までは冬場は雪に閉ざされてしまってみたいな地域で、新潟などの豪雪地帯と被りそういう地域が麻織物を織りやすい地域なのである。夏場に蒸し暑いということも利点かもしれないが、夏場は案外おりにくいのである。昔は夏場は田んぼで冬とか夜中の仕事が麻織物。

子供のころに雪の中で自分の背丈ほどもある大きなつららが工場の屋根のフチに何本もぶら下がっていた。そんな中で1日中遊んでいたことや、小さなころから暑い中寒い中剣道をやっていたことで、温暖化した今の状況くらいはなんともない耐性があるんだろうけども普通は耐えられないわなあ。と一般的には思うが、仕事の負荷に耐えられるのもそういう耐性をもっているからで、織物というのは寒い地域ほど世界的に見ても高度な織物文化が育まれてきた。過ごしやすい南国ほど織物はあまり発達しなかったというあたりも興味深い。エアコンの普及で、自然の寒さを経験することも少なくなり、織物は発達しない方向に動いてゆくのだろう。
2021年12月07日
ものづくりに試行錯誤はつきものだけども、人生や仕事も壁に当たったときには試行錯誤は必要だろうと思う。壁にぶつかってあきらめるのかどうかというあたり、成すがままにほっておくと時間が経つだけでそのままのことがほとんど。よい結果を望むなら、自分の力で動いて成り立つようにもっていかないといけない。繊維のアパレルの業界をみてもこういうコロナ禍で今までやってきたことでもが難しくなっていても、そのままでいるのか今必要とされているものを作るのかでは、今必要とされているものを自分なりに手掛けてみることも大事だろうと思う。駄目だからといって何もしないという状況は経験値も上がらないので良くないだろうと思う。

新しい物事をやってみるときには、いろんな壁にぶつかるのでそれを乗り越える試行錯誤の経験をもつということは知識だけでなく実際に作業をするので、たとえばAという人がやるのとBのという人がやるのでは同じ物事をやっても違う結論になることも多いし、同じ結果のものができても、Aの人はまだまだこんなこともできると前向きで、Bの人はやっぱり無理やんと結論付けたりするもので、結局は前向きな人にはゴールがなく、後ろ向きな人にはスタートがないということなんだろうと思う。
2021年12月05日
昨日パン屋さんの店頭で、100円均一税別だったのが税込み118円になって、今は128円になった。値段とボリューム的には128円でも安いくらいで、2個食べれば満足感があるので決して高いわけではないけども。人気のパン屋さんでも、10円値上げしてゆかないと成り立たない情勢はモノづくりしている側からすると成り立つか成り立たないかの厳しい状況が続いているのだろうと思う。儲けようとかそういうのではなくて続けて行ければよいと思う程度で一生懸命の値段だろうと思う。

京都の加工工場さんが、1m10円の加工代の値上げがどこも受け入れるのが難しいといっておられ廃業を決意された話を2年前に廃業された加工工場の方が言っておられた。そして加工業をやめて抗菌関係のグッズを展開される形に織物加工業よりもそちらのほうが商売としては簡単だったようで、新事業なのに一気に拡げられる形。

コロナで苦戦の飲食業界も同じく、コロナ対策で、経営時間が短くなったりまた、座席数を減らす形なのでどうしてもコスト高になりがちで、コロナ以前とでは1割とか2割弱値上がりしただろうか。ラーメン1杯は500円くらいからが長年のイメージだったが1000円くらいが普通になって来た。リネンの太い番手も5年前の2倍くらいの値段で、アパレル不況、繊維不況の中でコスト高は厳しい現実である。

今日は朝に農業用水の泥上げ作業。作業内容はそれほどは負荷もない程度。できる人が作業して高齢の無理をできない方でも見に来てみんなが参加するあたりに意味があったりする。できない人は無理してもらわなくてもよく、できる人が自分の判断で動いて進めてゆく。普段農業で作業しておられる方の作業と判断というのは参考になる。農業というのは自分の田んぼだけでなく、水利など含めるとどうしても共同意識がないと成り立たず、誰かが他のことも考えてボランティア的に動いておられる側面があって集落内での農業全体が成り立っている。
2021年12月04日
林与では、織物にどっぷり浸かりたい織物製造販売全般に動けるスタッフを随時募集しています。1日中立ち仕事でうごいたり、重いものもたまに運びますので、体力と気力が必要で、淡々と作業することが得意な方でないと難しいと思います。1週間の職場体験から経験してもらって適性など判断したうえでの採用となります。働いてみようと思われる方は、お問い合わせから、お問い合わせください。
2021年12月03日
本格的に寒くなってきて今年もやっぱり年末までには雪が降るのかなあと。大阪から帰って来て仕事に戻って、今週が明ければ、あと3週間ほどで外の世界は年末の休暇に入る。年末は1週間ほど自分が自由に仕事で動けて年始も1週間ほど自由に動ける。そして外の世界が明けると1月末納期がすぐにやってくる。1月末納期の仕事の話を先週から詰めていて、これから1月末までの生産が今シーズンの仕事の一番の山か、多色使いのシャトル織もこなさないといけない。

今までは平織の1色2色使いがほとんどだったので、シャトル織機1年目のスタッフの女の子がドビーと4色杼替えを経験する。ストールなんかを織っている時には、4色杼替えは当たり前だったけども、横糸が切れたりしたときにドビーカードを戻す作業が入ってくると今までとは異次元の複雑さになるだろう。ギアを戻す、横糸の処理、ドビーカードを戻す、その3つの作業を正しくこなさないと、織っていて正しいところに戻れなくなり迷子になってしまうのである。そういうのを乗り越えられる人というのは案外少ないもので、投げ出したくなる状況に一日何十回も遭遇するだろう。

こういうところで大事なのはそれぞれの作業の基本で基本がしっかりとしているとそれほど迷うこともない。一つ一つの作業を確実にこなせるかが大事な要素で、高度な織物というのは基本作業の積み重ねみたいなもので、織機よりも使う人の作業の正確さみたいなものが一番のよりどころとなる。理論的には分かっていても、頭と体が連動しないといけないし、あやふやな要素をどこまで消せるかが大事な要素。

織機の問題じゃなく人が織機を正しく理解して使えているかどうかというあたり、完全に一回正しい手順を体得できるところまでいかないと、あやふやなままの作業だと、ほんと迷子になってしまう。こういうのをこれからの人には乗り越えてもらいたいなあと思う。子供たちだと興味とゲーム感覚で乗り越えられることなのだけど、大人になってしまうとなかなかこういうのを乗り越えるのは難しいのが多いというのを、今まで職人さんとか経験者の方と接してきてじれったく思うところで、海外だと織物の仕事として普通にこなしていることでも今の日本ではまったく超えられない壁みたいな世界にトリップすることが多い。
2021年12月03日
昨日、大阪の帰りにスタッフの子と一緒に、京都市の北側周りで途中三千院を観光してから滋賀県に戻った。三千院はたぶん5回くらいは訪れたことのある場所で、京都の寺院の中でも市内からは離れているので自然の中の寺院というあたりが好きなところ。

スタッフの女の子が社長もおみくじを引きましょうとなって、おみくじをおごってもらって、別々に1枚づつおみくじを引いたのだが、同じような職場で働いて仕事しているものが、おみくじの内容が9割方同じだったのでびっくりした。私のほうが若干良いようで、あまりよい運にはいないようだけども、がんばれば報われるでしょうみたいな内容で、私の人生のスタイルともあっていて悪いなりに良い内容。

大阪に行く前に月末の出荷があったのだけども、運送会社の人が協力をしてくれて諦めてたのに月末納品に間に合ったとか。普通じゃあありえないような対応に救われたり恵まれているのに、おみくじは凶なのか。凶でいっぱい厳しいことが書いてあったのに、なぜか、あきないはすべてよし。というのが書いてあった。そこだけが違和感あるくらいにおみくじの他の部分と整合していない。

2021年12月02日
今日、昨日の商談会で購入した生分解ラメを少し試してみようと経糸に織ってみる。どうすれば織れるのかからの模索。素のスリットラメ糸なので、ツルツルのツルツルで、腰もなく糸を結ぶことすらも難しいような感じ。束ねて行けば織れるような太さまで持って行けるのだろうけど、強度との絡みでぎりぎりまで細くスリットされたラメというあたりの魅力を生かしたい気持ちもあって、とりあえずそのままでテスト的に数本織ってみようと思ったが、今日のところはなかなか難しく断念。

昔、織るのが難しいと言われた帝人さんのモルフォという糸を織ったことがある思い出がよみがえってきた。今だったらそのモルフォも織るのに解決方法を見出しているけども、当時はそのまま織ってささくれるのとの戦いみたいなあたり。みんなが織るのが難しいという糸というのは織るのがほんとうに難しいことが多いものである。合成繊維のフィラメント糸というのはなかなかの曲者で静電気などもたまりやすく、整経も難しいことが多い。そのために整経も工夫が必要。

今回の糸にしても、シャトルの場合、細いので糸が管に巻けるのかとか、巻けても滑って崩れてこないのかとか、光感フィーラーがちゃんと機能するのかとか、フォークが糸の有無を検知できるのかとか、レピアの場合には多分、レピアが糸をうまくもっていかないだろうからというあたり。麻とは別の世界だけども、そういうのをクリアしていくことを考えるだけなら案外楽しいものであるけども、実際にそれを乗り越えようとすると賽の河原の石積みの世界が待っている。

もうひとつ心配が織れたとして、織れた織物の布の強度の問題、密度を混めたとしてもスリット糸というのは強度が足りないことが多く、手で簡単に裂けるような強度だと、アパレル向けには難しい問題があり、合糸するなどの解決方法も必要となってくる。簡易的に織ってみて、そこからテストをしてみるのが一番良いのかもしれない。
2021年12月01日
昨日のビジネスマッチングのイベントの一番最後のお客さんが滋賀県の県の工業技術センターの繊維関係の後任の方でご挨拶に来てくださった。何十年も担当されてこられた方の次の世代の方。私が繊維の仕事に入った時でも、1970年代ころと比べると小さくなってしまっていた感のある日本の繊維業界がさらに25年ほどたった今から日本の繊維業界のサポート役を担われるのは大変なことだろうと思う。

自分で織物が織れますかみたいなご質問させていただいて、まだ織れませんみたいな状況だと、いろいろと依頼案件を受けるときにも専門分野外みたいなことも多く、総合的な解決方法に結び付かないとかあったりするだろうから、早いうちに織物はつくれるようになったほうがこれから先のことを考えると良いだろうなあと思ったりする。そこで、林与に1週間来たらたぶん織物を自分で作れるようになりますよみたいなこれからの方に期待してご提案をさせていただいた。そういうのをチャンスだと思って飛び込める人というのは経験がどんどんと増えてゆくだろう。立場は逆なんだろうけども次の世代の方を応援したいなあとは常々思っている。

林与に来て織物の経験をしていただくときに、呑み込みの早いひとと呑み込みの遅い人がいるけども、そういうのはそれまでの人生観が大きく影響をしていてい、これは自分の人生じゃないみたいな思いがあるとなかなか作業一つが難しいだろうなあと思う。そういうの割り切って1日でも作業するからにはそれが私の仕事みたいな感覚でやれる人がやはり何をやっても修得も速く、結局、すべてがうまく行くことにつながる。