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Hayashiyo Linen Fantasy幸せのリネンYoshio Hayashi序章 地球には、まだ南極大陸や北極大陸と呼ばれるものがあったころ、地上の人々は、いたるところで織物を作り続けていたのです。その当時、ヨーロッパと呼ばれた地方では、6月になると一面に紫色のリネンの花が咲いているのをみることができたものです。この花が地表から姿を消してしまうとは誰も想像すらできていませんでした。 人類は、神様が作った森を伐採するだけでなく、地球が青い星であるための海を炊くような愚かな行為を犯しました。海の生物が保たれてこそ森が保たれるのです。神様の使いである天使の仲間である妖精たちの住みかである森はなくなってしまいました。妖精たちは精神で生きるのです。形だけの人間に管理された植林や街路樹には生きることはできません。妖精たちの仲間である動物たちが住んでいない森では楽しめないから意味が無いのです。地球という星には、本当の緑があって、森の妖精たちが住むことができたのです。 地球から森がなくなることで、それまで妖精たちと遊ぶことで純粋であった天使たちが、妖精がいなくなったことで純粋でなくなってしまい、神様のいうことをきかなくなり、天使たちが飛び回って集めていた人々の願いを集めることができなくなったのです。 人々の願いは大きくなりすぎ、神様もその願いをかなえるためのリネン作りに忙しくなりすぎて、幸せなのが当たり前に思い始めた人々の願いを叶えてあげるべきなのかどうかすら迷い始めていたのでした。神様が、機織を辞めてしまうと人々が努力してもその願いが叶うことはなくなります。 神様は、リネンの三人の子神である、リネンちゃん、ラミちゃん、ヘンプくんたちを呼びました。子神で子供にしか見えないのですが、この3人が願いを紡ぐことで、糸ができあがり、それを神様が織ることで天空で幸せの布が出来上がるのです。最近では、人々のわがままな願いが多くなり、リネンの三人の子神たちも良い糸が作れなくなってしまっています。 地上で人々が織る布というものに神様の幸せの布の願いが吹き込まれることで、地上でその布を使って作った服を着た人の願いが叶うのです。神様が人々の願いを叶えようとたくさんの幸せの布を与えると、人々はその布を大切にしなくなりました。布があれば幸せになれると考えた人々は、自分たちでたくさん布を作れば幸せになれると考えたのです。人々は機械というものを作り、地上でたくさんの布ができましたが、神様が幸せの布の願いを吹き込めるのは、本当に一部になってしまったのです。 神様が幸せの布の願いを吹き込むのは、決して地上で作られるすべての布に吹き込むのではありません。人々が思いを込めて織った布だけに人々の願いを叶える力を与えるのです。自分の手で織った布を着ている人たちが幸せに満ちているのはそんな理由からです。人々が幸せになれるかどうかは、その布に詰まった思いを感じ、たくさんの布の中から幸せのリネンを見つけることができるかどうかに掛かっているのです。 序章終わり *この物語はフィクションです。 Yoshio Hayashi © 2010 All Rights Reserved
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