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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

手間こそ仕事

2012年06月25日

今日は工場の中で、シャトル織機のヒガエのカードを組みました。蝶番のようなイメージの穴の開いた鉄板を組み合わせて長いカードを作るのですが、これが、柄が大きいと長すぎて上手に回らないので、正転ばかりでなく、逆転させることで、長い柄を短いカードで作り出すようなこともできます。

これって、コンピュータプログラミングとすごく似ていて、頭の中で、カードの動きをシミュレーションして結果ヒガエが正しく出るようにしないとなりません。最近はシャトル織機に難しい動きをさせることは少なかったので、逆転がうまくいくかどうか心配だったのですが、組み上げたテスト用のカードを織機にセットすると想定どおりに動いてくれて、簡単な柄が出来上がりました。後は、長さを調節するだけでOKです。

織機というのは理論的にはうまく動くはずなのですが、織機自体の調整がうまくできていないと、いくら正しくカードを作っても織物はうまく出来上がってきません。織物を織るという仕事は織る仕事よりも織機を調整するという作業のほうが時間が掛かることが多いものです。特に特殊なものを作ろうとすると織る時間よりもそれを準備する時間のほうが何倍も掛かったりすることがあります。

結局、特殊な織物を作ろうとすると織機を調節する能力がなければどうしようもない。万能織機と呼ばれるシャトル織機ですら、調節ができなければ万能でもなんでもなく、普通のものしか織れないのです。

ヒガエの鉄板を組む作業もすごく時間が掛かって何時間もの時間を要しますが、分かる人にはそのあたりの手間も通じるのではないかとレピアだと生産性がたぶん2倍以上あるかと思いますが、普段からそのくらいの大変さが当たり前でないと、楽なものづくりに流れ、本当に違うものの世界を考える実現することも面倒に思えるでしょう。

私自身が思うのは、林与にあるシャトル織機にしても非常に希少な4色のヒガエのできる織機で洋服の幅まで織れる。他から見れば宝物であること自体が幸運、それが使いこなせないようでは駄目だろうなあと思います。普通の人だとできるのはわかってもその煩雑さにあきらめる世界です。似たようなものを作るのにもっと簡単な方法がある、安くできる方法がある、わざわざ、難しい方法を選んで高くなってしまう。業者の方だと嫌うケースが多いですが、最終的な消費者の方だとそれを好んで下さるケースが多いのが、私自身が布を販売させていただいていて感じるところ。


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