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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

リネンストール

2012年10月05日

弊社のリネンストールに関しまして、滋賀のアイテムとしまして推薦をいただいたということで、県からアンケートをいただいたのですが、それに答えようとすると弊社のストールにもいろいろとあってどのリネンストールを提案させていただくべきなのか。

私自身が、自分のできるベストで挑んだ北アイルランド紡績のアイリッシュリネン140番手ストールなんかが国際的にみても最高の目玉だとおもうのですが、見ていただくのにはよろしくても、販売して皆様に使っていただくことを考えると一般的なもののほうがよろしいのではないかと思うのです。

ハンドメイドの皆様向けにご提案させていただいているリネンガーゼストール生機なんかが、おもしろいのではないでしょうか。ボリューム的には、何千メートルも一年でお使いいただいておりますので、最終で何千人の方にご愛用をいただいているベストセラーアイテムです。

あるいは、ブランドさま百貨店様向け仕様に仕上げた、リネン66クラスあるいは、ワンランク上のリネン100番手ストールが高品質なイメージでよいのかとも思います。今では当たり前になりました、やわらかなリネンガーゼストールに関しましても、手探りな状態からこの10年ほどの積み重ねで出来上がってきたもので、小さな機屋のものづくりが世界に広まっていくというのは面白いものだなあと思います。

不思議なことに、最初の頃に手作りに近い状態で作り上げたアイリッシュリネン140番手ストールが、今もリネンストールの手本とするには良いのです。海外の展示会でも、皆さんに見て触ってもらって、これがリネンなのと感動してもらって、私の取り戻そうとする昔のリネンの憧れの世界というものを形にしたもので、非常に高価ではありましても、海外のブランドデザイナーの皆様にも感動を与えるような世界だったりいたします。良質のリネンを使い化かしていないのも自分自身では気に入っているところです。

迷った挙句に、日本の麻織物の本場近江の麻織物をより多くの皆様に体験していただいたほうが良いのではないかと、一番手軽なリネンストール生機で応募させていただこうかと思いました。手軽といいましても、買っていただいた方ご自身で洗い上げて房を作って仕上げてもらうので、1枚のストールに仕上げるまでに凝ったことをされると何日も費やしてくださる方も多いのです。使い込むごとに風合いがまして、また思いいれも増していくというリネンの本質に迫る要素があるので、よろしいんではないかと思います。

多くの皆様から、自作したものを自分用にだけでなくプレゼントして喜ばれたというお話をいただいており、大事な方へのプレゼントにお使いいただけるというのは、手間を掛けて織っているだけに、本当にありがたいお話です。

プロの皆様も作品つくりのベースに使ってくださっているケースも多く、もともとプロ向けに作ってありますので決して安いものづくりのものではなく、リネンのシャトル織を極めた一つの形だと考えています。実は、日本の着物の小幅麻織物の流れを残しておけないものかという思いもあったりするのです。実際、本麻の小幅織物も将来的には生産が難しくなってくると思いますが、文化が途絶える前に、手を打って技術や生産環境を保全しておかないと、一度途絶えたものを復興できたとしても、数年だけの話題性はあってしばらくは出来ても長続きはしないものなのです。

今言われる、サステイナビリティという言葉ですが、商品のサステイナビリティを考えるよりも、生産環境のサステイナビリティに取り組んでいくべきではないかと思っています。ものづくりそのものが永続性がない世の中ですので、新しい商品に飛びつきながらサステイナビリティを求めるというのもおかしな話です。本当は自動車なんかでも、エコな車に買い換えるよりも使える車を大事に乗るほうが最終的にはエコだったりすることも多いのです。原発問題なんかがエコのコンセプトに潜む一番のパラドックスだったりして、国連を挙げて、原発を地球環境保全と称し推進するほど盲目的になってしまうと地球温暖化も防ぐことなどはできませんし、損得が優先して問題の先送りばかりで、人の命の軽るさにすらもつながっています。その裏で、日本国内では何百年も普通に続いてきた永続性のあることを禁止して自然の循環を妨げるようなことになってしまっています。


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