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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

伝統産業

2012年11月05日

ここ数日10度、11度ほどを経験しますと、冷え込んできたなあと思います。でも、11月なのでこれはこれでありがたいこと、自然を守るってそういうのを受け入れるところから始まると思うのです。カリフォルニアにいて、砂漠の地に水を引き込み都市を作り上げるとからっとしていて過ごし易い砂漠のオアシスが生まれます。日本もそれを求めるのかと言う話がダムや原発の悲劇の話につながってくるのです。

安く便利なものを求めるのが経済というものですが、それならコンビニでよいのじゃないかで、日本では百貨店よりもコンビニのほうが集客力がある流れになっています。コンビにでも売り上げ頭はおにぎりサンドイッチなのです。集客の基本なのですが、人間にとっての必需品である食べ物を制するものがすべてだったりするのは逆に悲しいところかもしれません。

昔はコンビにも値下げしないことが商売の鉄則といわれましたが、集客のためにおにぎりすべて100円とかやってます。稼ぎ頭で値下げをするほど勝ち組のコンビニですらもトランプで言う切り札を常に使わないと経営が成り立たなくなっているのが、大手の電器メイカーの苦悩と共通をしているところです。

毎年新しいものを良いものとして出したらお客さんもそんな商法には飽きるだろうというのが分からないのが今の日本のマーケティイグで、そんなからくりに騙されないで、何十年も続く良いものを使い続けることこそが賢い選択であるのではないかと思います。

私自身も、アメリカにいるときにイギリスのレーシングカーのエンジンを搭載したジャガーXJSというスポーツカーに乗っていましたがほんとよく壊れます。マドンナの歌ではありませんがファンシーな車というのは長持ちしないというのは定石で、マドンナのようなポップシンガーすらもが世界的に歌い広まっていることすらもが自分自身の人生の教訓になるというのが意外でした。これって、方丈記につうじるものがあるんじゃないでしょうか。マドンナのエクスプレスユアーセルフやシンディーローパーのトゥルーカラーズなど案外ポップソングのなかに日本的な哲学適な価値観が存在していることに派手でハチャメチャにおもえるアメリカンシンガーたちにすらアーティストを感じざる思えません。

でも、ジャガーXJSのような壊れ易い車に乗ったことが今の自分の仕事でシャトル織機を動かすのに生きていたりするのです。XJSもクラフトマンシップの塊で、中古で10年落ちの100万くらいの車ですが、もとの定価は1500万円委譲する宝石のような車です。それをどう乗りこなしていくかは自分次第で、壊れても自分の覚悟があればそれなりの価値があるものなのです。

究極の価値観というのは求めると孤島を目指すような世界で、林与の場合ですと、近江上布の着物の世界にこだわるべきでなかったのかということに似ています。たぶん、その路線を歩んでいても息絶えて今は林与が産地で麻を織ることも続いていないと思います。一方で、半世紀以上昔に林与のなかで途絶えたものを、糸からも近江上布を再現できるようにすべて封印して残しており、近江上布が究極を極めたときのものづくりをいつかは越えることも過去の資料が残っておればそれをヒントに可能ではないかと思います。

原型のままの形で残そうとすると周囲には飽きられてしまうことも多く、支持が得られにくいというのが伝統産業の性です。究極を極めたものでも時代の流れとともにどんどんと支持層が減っていき、買い手のないつくり手だけの世界になってしまうという状態に陥りがちなものです。


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