for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ジャパンクリエーションシンポジウム

2009年12月11日

今日は、東京の青山でジャパンクリエーションに関するシンポジウムが行われました。私が興味深く聞いたのは、布作りをしておられる方の言葉でした。布づくりは文化だといわれてました。リネンとは違いますが、綿デニムをやっておられる方、ニットマフラーをやっておられる方の生地に対する思いというものは、景気が良いとか悪いとかの問題ではなく、自分自身が作るという姿勢を一番大事にしているところで、それを抜きにしては、すべてにおいてものづくりが難しくなってきている日本で物を作る必要すらないだろうなあと思いました。

最後の質問コーナーで、韓国のメディア関係の方が、「昔は日本製と言えばよかったが、ここ10年ほどの日本製というのは良いものがない。なんでも、最近の日本製はすぐに壊れる。」ということを言われていました。ずばりだと思います。本当にものがよい悪いを判断できる本職の人がいなくなっているのも原因だと思います。日本のラミーにしても世界最高クラスを誇っていたのですが、国内紡績といわれているロットですら、昔から同じ銘柄の糸を使っていますが、最近のものはかなり質が落ちてしまっているのが実感でき、海外ものとの差が縮まってきています。

私の経験上シルクにしてもそうでした、カネボウシルクも、結局、上海やブラジルで紡績を始めて、国産よりもグレードが劣るということでしたが、それでも、世界トップクラスだったのですが、品質が完璧でなくなると中国の少し価格の安いものとの競争に巻き込まれ始めたのでした。日本産という砦を失ったときに、日本の文化的な産物ではなくなるのです。

糸を作る人はネップなどの数値で品質を見るので、実際の問題を経験しておられないことが多いです。染工程での問題、織工程での問題、加工工程での問題などが絡んで最終的な品質が決まるので、実績というのが非常に大事なのですが、ロングセラーの糸の品質が落ち始めたら要注意が必要ということです。不思議なことで、品質というのは上昇し途中から落ちてゆくものなのです。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内