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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ひこね繊維ものがたり

2009年12月14日

2月に彦根市の市民創生事業の一環として行われます「ひこね繊維ものがたり」の企画会議が夜ありました。彦根地域の縫製の歴史や現状を語れるような講師の方にお願いして、彦根市民や滋賀県内の方に彦根についてもっと知ってもらおうという講演会です。

今のところの予定では講師の方というのは、地場産業に実際に精通しておられる方に講演していただこと仕事をやってこられた方を当たっています。他にも、地場産業に興味を持って研究していただいている方にも発表の場としてこの講演会が役立てば有意義ではないかと思うのです。

来年はじめころには、パンフなどの配布が始まりますので、そのパンフを作成するところから始まります。ひこね地域には、3Bと言われる仏壇、バルブ、ブラジャーの地場産業があります。(バルブは実際にはVなのですが、ローマ字で書いた和製英語ということで…)近江上布も実は彦根藩の特産品だったのですが、今の彦根では近江上布は彦根の地場産業としては認知が薄く、明治以降の近江上布の名残を組む機屋というのはとくに愛知郡や神崎郡に集中していました。

私が麻織物に関わってからはまだ15年ほどですが、この15年で、実際に100年以上も機を守って織っておられるところがつぎつぎに廃業されていかれる感じでした。ひとを抱えてものをつくることの効率の悪さというのが、今の時代とは合わないのです。生産性が重視される時代に、麻織物のような手間暇掛かるものを織るだけでなく、独自企画の新商品を自らの手で生み出していくことのロスの大きさが命取りとなってしまうのです。

今の新しい世代が仕事ができないといわれておりますが、職人さん世代にしても、仕事振りが良い人は少なく、サボり癖が付いていたり、単純な作業は出来てもトータルなものづくりをできる人というのはまれで、その人の仕事を完璧にするために補助の人をつけてあげないといけないという半人前な話をよく聞きます。日本で物をつくることの難しさは、社会全体の構造であるといえ、しっかりとしたものづくりができる人というのが少なくなってきているのは事実だと思います。

一日一日しっかりと出来ない人が上達するかというと退化していき、企業も退化して行き、産業も退化していくという流れに包まれるのです。個人的な手作りの匠の世界というのは一人で守れるものですが、産業として匠の世界を守り続けていくことは相当難しい時代になって来ています。向上心や意欲をもった海外に追いつかれ、追い越されるのが当たり前といえば当たり前の時代で、その構造的な大きな問題を解決しないことには、景気が良い悪いとかではなく、日本の繊維産業というものが立ち直るとは考えにくいです。


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