リネン日記
林与の近江上布柄プロジェクト
2013年10月07日
珍しく、リネン日記に画像、これは今回のインターテキスタイル上海でのプレス取材用に撮影した、林与の近江上布の見本切のうち20柄ほどの画像です。このような本生産の端を残したものが、一年に何百柄、戦後昭和27年から40年位までの分が、何千枚もののコレクションとして残っています。
質とボリューム的にも驚異的な織物コレクションの一つで、小さな林与でこれらの近江上布が生み出されていたのは驚くべきことで、柄に関しても、よくありがちな和柄から、林与らしい色彩に、十数年で急速に進化をしているのを見ることも出来ます。
これがプリントでなく数千のすべての柄が横絣なのは、日本の織物の力そのものだったと思います。また、50年以上過ぎたあとも、この透明感を残しているのは不思議でしかなく、林与自身にとっては、これが本麻なのだという手本です。着物用の近江上布なので細い糸を高密度に織り上げ、しっかりとしたザラザラとした風合いです。
そのほかにまたの機会にご覧いただくことになりますが、白地の襦袢地などは、紋絽や紗などあり、透明感があってしなやかでサラサラの本麻です。戦争中は麻織物が禁止され、戦後も麻織物に戻るところが少なかった産地でも、とことんなモノづくりを走りました。白絣シリーズなども綺麗です。今ではほとんど見ることのできない日本の麻織物たちです。
これらの柄を生かし近江上布プリント柄として再現、日本人の愛した色柄の世界を今、海外に向けて情報発信していきます。